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Photo by
caac71
雪のマネキン
スマホでブラウジングをしていると
ふと一つの絵画に目が留まる
「雪の中のマネキン」
お世辞にも白銀とは言えない白の中に
民族衣装を着たのっぺらぼう
後ろにはレンガをジェンガみたいに
並べてできたかのような家?家
不思議な絵
なぜか僕は目が離せない
ジョン・シンガー・サージェントと
その友人、エドウィン・オースティン・アビー
の合作と説明文には書いてある
ジョン・シンガー・サージェントは写実的な肖像画家、アメリカで生まれ、パリ、ロンドンと渡る
当時の時代の潮流、印象派、キュビズムなどから離れ、まるでベラスケスのような独自のリアリズムを実践した。代表作は「マダムXの肖像」
どうして、こんな絵なんだろう
でもどうして目が離せないのだろう
ふと窓の外を見る
一面、白銀の雪景色
まるで街全体がクリスマス用の飾りをつけたみたい
窓から見える公園にぽつんと立っている人影を見つけた
それは誰か、きっと近所の子どもが作った不恰好な雪だるま。マフラーも剥ぎ取られ、鼻の人参も地面でしとどとなっている。全く面白くなさそうに佇んでいる、でも足がないから、脚を作って貰えないから動けない。そう、彼はいつか消えてしまう雪のマネキン。
ジョン・シンガー・サージェントはマネキンを写実した。
キンジョノコドモはマネキンを創造した
そして僕は僕は
きっと、マネキンを妄想しているのだろう
部屋のエアコンの音が急に耳に入ってきた
だんだんと体の表面が暖かくなり
寒暖差が大きくなる
部屋の外では雪が降り
部屋の中では温暖な風が吹く
窓は結露し
まるで煙に巻くみたいに
僕から外の景色を隠していく
僕もだんだんと眠くなってきた
もう寝てしまおう