燃えてくれ孤独
仄かに揺蕩う炎天下の陽炎が
僕のこの頭の中みたいで
どことない浮遊感に堪えようと
唇を噛んでみたけど
血も涙もない、そんな現実なんだ
ふと目を開けてみたんだ
僕は道路に立っていて
目の前には親子の姿
母親が子どもをブランケットみたいに
包んで、そこには温もりがあった
それをみて汗ばむ僕は
無邪気に手を伸ばしてみたけど
その手は空を切って、蝶すら掴めない
くたばってしまえと叫べ
すべてが崩壊して
親子の姿ももう散り散りに
自分すらも形を保てずに
くたばってしまえと溢す
そんな当たり前たちが
海洋ゴミみたいに揺蕩う
幽霊となる
夏の孤独は凄絶で
死体は腐敗した聖櫃の中身
腐敗したって清廉かもしれない
でも腐っているってことは変わらない
揺れた街路樹を蹴り飛ばす
そこには空虚さしかなくて
目の前には太った老婆
贅肉がまるで屍肉みたいに垂れて
融けて、そこはがらんどう
それを見て後ずさる僕は
がむしゃらにあたりを蹴り回すけど
その足は空を切って、太った老婆は笑った
くたばってしまえと叫べ
すべてが崩壊して
老婆の姿ももう散り散りに
自分すらも形を保てずに
くたばってしまえと溢す
そんな当たり前たちが
海洋ゴミみたいに揺蕩う
幽霊となる
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