ミッション・インポッシブル
夏休みの宿題には苦い思い出しかない。小学校6年間できちんとできたことは一度もない。
べつに勉強がきらいというわけでもなかったし、宿題をやる必要性を考えたあげくやらなかったというような高尚な理由もない。ただただ、楽しいことを優先させていたら宿題が後回しになってしまったというだけのことだ。
とはいっても、夏休みの宿題はハンパなく多い。ふだんは計算ドリル2ページとかのレベルなのに、国語・算数・理科・社会のすべての教科でドリル数冊+自由研究や読書感想文までついてくる(夏休みだからってスペシャルバージョンにしなくてもいいのに)。そして学年が上がるごとにむずかしくなり、量も増えていく。後回しにしてはいけないものなのだ。
はい、前フリはここまで。
というわけで今回は、我らがたまちゃんの企画「#たまごまると舟を編む」の募集記事として、宿題をテーマにした日記を書いていきたいと思います。
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小学6年生のゆきちゃんの日記
今日は夏休みの最後の日です。
でも、おかあさんは怒っています。なぜなら宿題をやっていなかったからです。おかあさんは「みんなで手分けしてやろう」と言いました。
自由研究はおとうさんと弟、家庭科の宿題はおかあさん、絵日記はわたしと妹がやることになりました。
おとうさんと弟がつくってくれたペットボトルロケットは、見えなくなるくらい高く飛びました。おかあさんがつくってくれたワンピースには弟が刺しゅうをしてくれました。弟は、刺しゅうで賞をとったことがあって、とても上手です。妹は、犬が山登りをして、犬がケーキを食べて、犬が泳いでいる絵をかいてくれました。おもしろかったので犬が主人公の絵日記を書きました。
こうして宿題を終わらせることができました。みんなで力を合わせるっていいなと思いました。
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コピーライター・ゆきの日記
夏の休暇の最終日、突如として母が怒りを爆発させた。教師から課せられた学習上の課題―ミッションーを終えていなかったからだ。急遽、母によりチームが結成されることになった。
自由なテーマで研究や実験、ものづくりを行うプロジェクトには父と弟のエンジニアチームをアサイン。母自身は専門分野であるソーイングプロジェクトを担当。妹はイラストレーター、私はコピーライターとして休暇のログをつくっていく。
最初にコンプリートしたのは父と弟のペットボトルロケット・プロジェクトだ。手元から勢いよく放ったペットボトルは空中を舞い、太陽より高く飛び、視界から見えなくなった。母がデザインを描き、パターン(型紙)をおこし、縫製をしたワンピースは、仕上げに弟が刺繍を施す。県内随一の針の使い手である弟の手にかかれば、あっというまに芸術作品ができあがる。妹は飼っている犬が登山をしたり洋菓子を食したり水泳をするシーンを描いた。プロジェクト本来の目的からは逸れるものの、他者との差別化が図れると判断して採用。
ミッション・コンプリート。
一人ではできなくてもチームで協力すればできる。こうして私はチームの力のすごさ、素晴らしさを知ったのだった。
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いやー。むずかしかった! でも、それ以上にめちゃくちゃおもしろかった!!!
たまちゃん、すてきな企画をありがとー♡
ちなみに、「かっこいい文章」=コンサルっぽい感じに、勝手に変換してつくっちゃったのですが、たまちゃん教授いかがでしょうか? せめて落第にしないでいただけると嬉しいです(*´∀`*)
― 後日談 ―
この日記、(お気づきかもしれませんが)実話です。なので後日談があります。
・ペットボトルロケットは作り方を聞かれてもわからず、自分で作っていないことがすぐにバレる。
・母の作ったワンピースが学校で賞をとる。
・妹がイラストに目覚める。(今でもよく描いていて、めちゃ上手い)
というわけで。
みなさん、宿題はちゃんと自分でやりましょー!!!
(あとで先生と父と母からこっぴどく叱られました。二度とこんなことはしてません)