沼への後戻り→沼離れ?
沼への後戻り
沼とは簡単に抜けられるものではない。
前の投稿「沼からの脱出」で私はクズ男との未来の見えない曖昧な関係に終止符を打ったつもりだった。だがしかし、沼からしのびよる魔の手?とでもいうようなものから避けることができなかった。
前回までのあらすじを簡単にふりかえる。(あらすじというとフィクション感があるがまぎれもない実話である。)
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物語の発端は1年前の5月くらい。社会人デビューした私は仕事一筋ではあまりにも寂しすぎることを悟る。そしてマッチングアプリを始めた。
そこで出会ったのが沼にはまることになる彼。彼は同い年の大学院生で、イケメンとかそういうわけではないが、最初に電話で話してみたときに感覚的に好きだ!ってなった。会ってみると、やっぱり楽しくてこれでもかってほど笑わせてくれる。頭がいいが故なのかもしれないが、ツッコミが面白くてこんなに自分の話を聞いてほしいと思える人は珍しかった。そしてうまい具合に女の子扱いをしてくれてときめきっぱなしの私だった。こんなに魅力的な人いるんだと思った。
(恋愛経験の少ない私なのだが…)、前の彼氏のことは人としてはすごく尊敬していて好きだったが、恋愛として好きなのかがずっと分からなくて、一度も好きと伝えることなく別れてしまった。ほんと今思うと最悪な彼女だ。それと比べると、マッチングアプリで出会った彼のことは、まだ人間性を深く知れるほどの時間を一緒に過ごしたわけでもないし、知らないことの方が多いのは間違いないのだが明確に「好きだ」ということができた。過去のちょっと苦い経験から、次付き合うなら自分がちゃんと「好き」と言い切れる人と!というわがままな願望があった。だんだん好きになるとか、嫌いでないから、とかそういうのではなくて本当に好きでたまらない人と恋愛してみたかった。
そんなこんなで、彼の沼にはまったのだが、ここまでの話だとどこがクズなの?となりそうだ。なのでしっかり説明しておく。
2回目に会った時から家に来たがったり(ふざけた感じで)、本名を知らなかったので3回目に会った時に何気ない感じで聞いてみたらそれはまだ早くない?と言われたり、4回目に会った時にはチュウまでしてきたのにそのあとはこっちから誘ってもうまいこと断られてなかなか会ってくれなかったり、と。
連絡を取り始めて8ヶ月ほどが経ったが、会ったのは4回で付き合う気は全く見せてくれなかった。それでも沼ってる私は、「もう少し時間がいるだけ…、この関係を終わらせたくない…」とただただ追い続けていた。
転換点となったのは、そんな私を見かねた友達にしっかり怒られたことだった。「遊ばれてるだけだ」という本当は分かってはいた事実を突きつけられた。言われることに何一つ間違いはないし冷静に改めて考えると自分自身が虚しくなった。そして私はある決心をしたのだった。
(ここまでがあらすじ)
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関係を断ち切るために私は、ずっとだらだら続いていたLINEを既読無視することにした。
もう彼と一生会えなくなるんだ、他の誰かが楽しい思いをするんだ…と思うと悲しかった。彼から「何で返してくれないの?」みたいな連絡が来ることを願っていた。そんなタイプでもないのは分かっていたが。
結果そこから、喪失感?(はじめから所有できていないのだが)に打ちひしがれていた。
その後、彼から連絡が来たのは2週間後のことだった。「何で返してくれない?」みたいな内容ではなかったが、前の会話の内容に重ねる形でメッセージが一件入っていた。私にはこれで十分であった。嬉しかった。
待ち焦がれていた彼からのLINEに私は舞い上がった。
そして、全然会ってくれなくて、めんどくさがられているのかなと思って寂しくて悲しかったこと。そのせいでLINEが返せていなかったことを伝えた。すると、彼は「ごめん、そんなつもりは全然ないよ。引きこもりが加速しただけで…」と返してきた。これがクズ男のやり方なのかもしれない。中途半端な状態で私はつなぎとめられているのだ。
そこから私は一度頑張って抜けたはずの沼に後戻りしてしまった。
また、普通にLINEをだらだら続ける関係に戻っていた。
それから少し経った水曜日、「今週末どっか行く?」と彼から誘いの声がかかった。なんとも3か月ぶりに会えることになったのだった。すごく楽しみなのと同時にどんな顔で会っていいのか緊張もあった。
「今回会うなら、絶対想いを伝えてくれんだよ」と、友だちからアドバイスをもらっていた。告白の練習にも友達に付き合ってもらった。こんなことに付き合ってくれる友達には感謝しかない。今回でけりをつけないといけないのに間違いがないことは分かっていた。
もう最後という覚悟を決めていくことにしていたので、「どこ行く?」と聞かれて、「水族館行きたい!」とザ・デートな場所を選んだ。
当日、バスで合流した。駅の最寄バス停から乗る私は彼からおつかいを頼まれてウィダーを買っていく。後から聞くと、どうやら彼は前日研究室の同期と宅飲みをしていたようで二日酔いとのことだった。そんなところも愛おしく感じてしまう私はおかしいのいだろうか。
水族館はとにかく楽しかった。久しぶりに会えて嬉しかったのももちろんあるし、色々な生き物を見ては面白い話をして「ああ、やっぱり好きだ」と思った。川みたいなエリアで川に落とされそうになったり(もちろん本当に落ちないように支えてくれているのだが)、時間をチェックしていなくて見れなかったイルカショーが終わった広い会場で、2人で真ん中の席に座って練習をするイルカを眺めながらおしゃべりをしたり。
夜ご飯を食べて、この後どうする?という雰囲気になった。告白するなら今しかない。事前のシミュレーションでもこのタイミングでどこか静かに話せる場所に移って想いを伝えるつもりだった。でも、やっぱり言えなかった。彼が「バスちょうど来るわ」と言うので普通にバイバイしてしまった。
沼離れ?
告白なんて今までの人生でしたことなかったし、おそらくすることなく終わるんだろうなと思っていた。人に自分の気持ちを伝えることがこんなに難しいと思ってなかった。アドバイスをくれた友達は、絶対に言わずに後悔するより言って後悔する方がいいと言ってくれていた。確かにそうだ。
過去を振り返って、ちょっといいなと思う人がいても想いは伝えない人がほとんどなのではないかと思う。言わずにいるからこそ友達の関係で居続けられていたり、いい思い出のままで残せているという場合もあるかもしれない。でも疎遠になってしまって、あの時伝えていたらどうなっていたんだろうと後悔することもあると思う。
言って後悔するとしても3、4日落ち込んでそのうち回復するだろう。でも言わずの後悔は一生だろうなと思った。
せっかくこんな好きと思える人に出会えたんだから伝えないといけないと強い思いを持っていた。でも結果、言えなかったのだ。
私はバイバイした直後に、友だちに泣きつきの電話をした。
「結局、言えなかったよ。」
友達は「まだ遅くないから電話して戻ってきてもらい!」と。
さすがに二日酔いで疲れてる彼を呼び戻すことができなかった。
「会ってみてどうやった?楽しかった?」と友達に聞かれて、その日の出来事を口に出してみてやっぱり好きだということを改めて気づかされた。友達は「覚悟決めて電話でもいいから伝えてみ」と背中を押してくれた。
結局、その日はもう彼が寝てしまっていて連絡が取れなかったので次の日仕事から帰ってきて、22時くらいに彼に電話した。
LINEの電話ボタンを押すのにこんなに時間がかかったのは初めてだった。
「電話していい?」と彼に聞いたからには、かけないわけにはいかない。そのおかげでなんとかかけられた。彼も告白めいたことを言われることは分かっていたと思う。私がなかなか言い出せずにいると彼が世間話で間を埋めてくれる。
私は心を決めて、ひとことひとことゆっくり、普段であれば「どんだけ時間かかるねん」とつっこまれそうな感じで想いを伝えた。
「毎回毎回、○○くんといると楽しくてまた会いたいなぁって思ってて。なかなか会えなくてもうやめようと思ってたんだけど、昨日会ってみてやっぱり楽しくて…、私は○○くんのことが好き」
言えた。
彼は「想いを伝えてくれてありがとう。俺も○○ちゃんのこと好きだし、付き合ってもいいかなと思ってたよ。でもおれ就職関西じゃないと思うし、仮に一年続いたとしても…。遠距離は難しいって聞いたことあるし。女性って20代のうちに結婚したい人多いやろ?だから1年を自分に捧げてもらうのは申し訳ない。うーん、ほんと難しいなぁ。」というようなことを言われた。後半はきっといいわけでしかないと思う。ほんとに好きなら1年でも付き合うだろうし、離れていても関係ないと思う。やっぱりクズ男は優しいのだ。はっきり振らないし嫌いにさせない。「また遊ぶのは遊びたいと思ってるよ。」とも言う。そのあと1時間くらいおしゃべりして夜遅くなったので電話を終えた。
おそらく人生で最初で最後の告白が終わった。私自身、付き合えると思って告白したわけではなかったので、軽い失恋をしたわけだが全然落ち込みはしなかった。ちゃんと言えてよかったという思いの方が強い。
人に想いを伝えるって難しい。でも言った後すごくすっきりした。もう後悔しないと思う。
友だちに告白の結果を報告すると、「○○ちゃん、一回り成長したよ。ほんとにお疲れ」と言ってくれた。
ここから一切連絡を取らないというようにきっぱり彼から卒業することは正直できないと思う。たぶんまた遊びに誘われたら行っちゃうとは思う。
でも一区切りつけられたと思う。
一応、沼離れできたということにしておこうかなと思う。
一回り大きくなった私はまた日常を生きていくのだ。ちょっとカッコよく言ってみた(笑)。恋愛はしばらく休憩したいという思いが今はある。でももしかしたらまた彼くらい好きと思える人がふと現れて恋愛に突っ走っているかもしれない。それはそれで悪くない。
とりあえず言いたい。お疲れ、私!
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