立ち直るのは自分の力
この世の中、いろいろなことに遭遇する。良いことばかりじゃなくて、苦しいこと、辛いこと、途方に暮れたり、もう生きていたくないなんて感じることもある。誰かがそういう苦しさを感じていると、自分まで辛かったり苦しくなったりする。誰でも落ち込んだ顔を見るより笑顔で会えるほうが楽しい。あなたの気持ちを軽くできる術があったらどんなに良いだろう。
だけど、誰かを救ったり、支えたり、立ち直らせるようなそんな力は私にはない。私は非力だ。そして、あなたが感じている辛く苦しいこと、深い悩みは、軽はずみに触れてはいけないことだと知っている。
だけど、こんな風に捉えてみたらって、今は目に留らなくても、耳に残らなくても、いつか何かに触れることができればって想いを書いてみたい。
あなたが辛い思いをしている、苦しさの中にいる。真摯に自身の中にある孤独や寂しさや失意や失望や困難と向き合っている。その気持ちを想像することはできても、共有することは難しい。辛さ苦しさは一様ではないから。暗闇の中で何も見えなくてもがいているのか、沼の中で足を取られて沈んでいきそうなのか、歩いても歩いても壁にぶつかる迷路にいるのか・・・
どんな想いも、その人独自のもの、軽々しく理解できるなんて言えない。「助けたい」「力になりたい」その気持ちだけはある。だけど「助けられる」「力になれる」と思ったり、そう言ってしまうのは傲慢な勘違いなんだと思う。
誰かに話して相談できたり、そうすることで解決したり、気持ちが軽くなるくらいの悩みは、実はそんなに深刻でなかったりする。深い絶望や失意のどん底、他人に理解されないことは、人に話すことができなくて一人で背負い込んだり抱え込んだりしがち。苦しければ苦しいだけ自分の殻に閉じ籠もって悶々として抜け出せなくなってしまう。別の人から見て、抜け出せそうな手立てがあったとしても、悩みの禍中にいるときには周りが見えないし、人の言葉も受け入れることができない。
例えば、リアルでは出せない悩みをnoteで吐き出したとして、誰かが善意で救いたい、助けたいって気持ちでコメントしたとしても、当人がどう感じているのか危ういな~って感じることがある。助けてあげるつもりの言葉が、逆に相手を深く傷つけてしまうこともある。かけられた言葉に傷つきながら、それでもありがとうって言わなければならないとしたら、悩みが解消するどころか余計傷が深くなる。
暗闇の中にいる人、本人だけが真っ暗なのかもしれないけれど、闇雲に「こっちだよ」って大声を出したり、身体を動かしたり、手を引っ張ったりしても恐怖で余計動けなくなる。その時、必要なのは手を掴むことじゃなくて、微かでも光を当てること。一筋の光が見えて一足でも進むことができたら、もう少し強い光を感じることができるかもしれない。
身近な誰かが辛さの中にいるとき、どんなに辛いだろうって、その人の想いを想像するだけで自分の心も痛くなってくる。だけど、直接その心を和らげたり癒やしたり軽くする術は中々見つからない。彼女が、彼が、抱えている苦悩を察して、ただ近くにいることしかできない。何も言わずにその苦しみに一緒に耐えること。どんな言葉より、近くで自分を見ていてくれる。それが1つの支えになるんじゃないかって思う。
誰の心の中にも、立ち直るための種があるはず。悩んで悩んで悩んだ先に、何か見えてくるものがあるはず。悩みの底にいて、それでも少し気分が上がったとき、少しだけ気力を振り絞って大きく周りを見て欲しい。
必ずあなたの心に染みこむ言葉が見つかるはず。人間は落ち込んで凹んで悩んでしまう弱さがあるけど、立ち直って乗り越える強さも持っている。
折れた心は必ず修復してもっと力強くしなやかになるはず。
私自身を振り返って、正直、心底辛かった時には、誰にも会いたくなかったし、知ったような、お説教じみた言葉には一瞬殺意さえ覚えた。誰も悪気はないけれど、善意で前向きな言葉とか説得するような語調が、すごく気に障って余計に孤独を深くした。
今、そんなこと覚えていないくらいに回復しているわけで、どうして乗り越えたのか思い出してみると、やっぱり時薬の効果が一番大きい。誰かに何か言われたみたいな、そんなドラマチックな展開はなく、自然に任せて少しずつ少しずつ立ち直っていった。自分を見放さないで近くにいてくれた家族、ほんの少しの友人、新しい環境で知り合った人とか、他者の存在も確かに自分の力になった。余計なことに触れないで、その時々の何気ない会話を交わすことが一番のリハビリになる。
いつだって夜明け前が一番暗いけれど、明けない夜はなくて、どんな大雨でも降り止まなかったことなどない。
辛いこと苦しいことはあるけれど、それが終わらないこともないはず。
心は傷つくけれど、必ず、立ち直ることができる。人には必ず立ち直る力が備わっている。自分の経験からそう言い切れるし、人生の先輩方を見ていてもほんとうにそう思う。
直接の言葉で傷を癒やしたり、立ち直らせることは難しくても、逃げないで傍にいて、日常を共に過ごすこと。一緒にいることさえ辛くなっても、乗り越える強さを本人が持ってることを信じること。立ち直るのは本人にしかできないけれど、一人じゃないって思えれば力が沸いてくるような気がする。
傷ついたあなたに、今届かなくても、私が伝えたいこと。私はいつでもあなたを肯定して傍にいる。あなたが自ら立ち直る力を持っていることを信じている。