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ポルトガル旅物語 Ⅲ/コインブラ編 中世?黒いマントを纏う学生たち


ポルトガル国有鉄道CP/Comboios de Portugalに乗って

ポルトガルも早5日目。
人けもまばらな早朝のSanta Apolonia/サンタアポローニャ駅。

ここはリスボンのCP/Comboios de Portugalのターミナル駅。駅ホームに入ると、既に目的の電車が待機していた。

駅舎に改札がある訳でもなく、勝手にドアを開けて乗り込み、指定された座席に座る。
駅舎で買ったコーヒーを飲んでいると、僕らが乗るPorto行の特急電車は静かに発車した。

日本の主要駅の機械音声アナウンスに、駅員アナウンス、更に輪をかけての車掌アナウンスの三重奏は、もはや何処の誰に何を言ってるのか意味不明にすら感じる時がある。

ここポルトガルでは構内アナウンスは皆無。ただ電光掲示板を確認するのみ。海外の鉄道駅は大抵そうだが、電車は静かに動き出す。

全ては自己責任と言うことだろう。
この凛とした雰囲気が旅の風情を高めてくれる。

自転車も乗車可能な電車

Coimbra/コインブラへは、約2時間半の旅。
リスボンを離れると、すぐに荒涼とした車窓風景へと変わっていく。首都と言っても小さなものだ。

海沿いに茶褐色の乾いた大地を、結構なスピードで北に進む。
電車は遅れることなく定刻にコインブラに到着した。

コロナ前にギリシャを旅した時、鉄道はギャンブルだった。
頻繁なストライキに車両故障、遅延は常識で、いつ、どこで止まるか分からない恐怖の乗り物。定時発着なんて拍手喝采もの。

それに比べれば、ポルトガルCPのなんと優秀なことか。

Coimbraへ向かう特急車内で

Tourist Informationには立寄るべし

コインブラ駅に着いた僕らが最初に訪ねるのは、ツーリストインフォメーション。ここで、地図をもらい観光のアドバイスを聞くのが一番。

夕方にはバスでPorto/ポルトに向かう予定なので、観光できるのは概ね6時間。重い荷物は、隣の土産物屋で預かってくれるらしい。もちろん有料だが。

街歩きは身軽が良いに決まってる。
早速隣の店に行くと、やる気のなさそうなオッチャンがいた。

彼はブラジル出身。結婚してコインブラに移り住み、奥さんの実家であるこの店で店番をしているらしい。何が不満なのかは知らないが、ブラジルに帰りたいとブツブツ言っていた。

ポルトガル旅行中に、何人かのブラジル出身者に出会った。街ではブラジル料理屋もあった。ポルトガル語言語圏として、かなりのブラジル人が移住しているんだろう。

ポルトガル屈指の名門国立大学コインブラ大学

さて、コインブラ唯一と言っても良い観光名所、1290年に創建された世界遺産のコインブラ大学へは、ひたすら20分ほどの坂道を登る。

コインブラ大学の学生。正装では黒いマントを羽織るらしい。

リスボンもポルトも同様だが、なんでポルトガル人はこんな丘の上に街をつくるのか。毎日が登山気分だ。

ようやく辿り着いたコインブラ大学。特に有名なのがジョアニナ図書館で、世界一美しいとも評される図書館だが、残念ながら入館は叶わなかった。まだ9時台だが、入館は16時以降の整理券が残るのみ。オンライン事前予約は必須のようだ。

ジョアニナ図書館以外の旧大学は、事前予約無しでも入場は可能だ。
700年も前から使っていた、冒頭写真にあるような標本、教室、教科書やら科学実験やらを見学してると、僕の学生時代の風景と大して差が無い、いや、僕の学生時代を遥かに超えるレベルに思える。

そりゃそうだ。
当時の世界最高峰の大学には、現代でも三流大学では太刀打ちはできないと妙に納得した。

現代のコインブラ大学

お昼は現代の学生食堂にお邪魔した。学生食堂がリーズナブルで美味いのは、全世界共通かもしれない。

大学近辺を散策していると、コインブラ大学の学生が、路上で男性ファドを披露していた。

コインブラ独特の男性グループのファド

叶わぬ恋の歌だろうか、ポルトガル語は全くわかぬが、哀愁たっぷりに歌い上げる若者には、多くの人が足を止めていた。

世界遺産のコインブラの街を下ると、大きなMondego/モンデゴ川が流れている。

かつては物流の大動脈であったであろう、この川にかかる橋から見上げるコインブラの街並みは、悠久の歴史を纏う美しさを感じさせた。

頂上にあるのがコインブラ大学

困惑の長距離バスRede Expressos

そろそろ、バスターミナルに向かう時間となった。
CPコインブラ駅から北に10分程歩くとRede Expressosのバスターミナルがある。

各地へと向かう長距離バスターミナルはかなりの混雑。チケット売り場の窓口は長蛇の列。オンライン予約をしていて正解だった。

次から次へとあちこちに向かうバスがやってくる。ところが、僕らが予約している16時発のポルト行きバスが、全く姿を見せない。

時刻は5分、10分と16時を過ぎていく。
バスが遅れているのか、遅れていないのか?
見逃したのか? そもそもバス停が違うのか?

頻繁に構内アナウンスがあるものの、ポルトガル語で意味不明。
不明なアナウンスはより不安を掻き立てる。

その辺でバスを待つ人たちに聞くも、「分からない」というような反応しかない。いや、英語が通じていないのか。
焦り始めて、次から次へと片っ端から聞きまくる僕を見かねたのか、ようやく「Do you need some help?」と声をかけてくれる女性が現れた。

彼女とともに、あちこちに訊ねている内に、20分程遅れてバスが現れた。
どうやら遅延していただけらしい。

周りの人たちが、それを知っていたのか否かは不明だが、バスは何事もなかったようにポルトに向けて出発した。

CP/Comboios de Portugalチケットの買い方

コインブラへの切符は、CP/Comboios de Portugalのスマホアプリから2日前に購入。購入にはポルトガル内での電話番号が必要なので、SIM購入後に予約した。
アプリは、英語 or ポルトガル語の表記しかないが、とても分かりやすい。チケットも車掌にアプリ内の購入画面を見せるのみ。
僕らが乗車したのは2等席だが、車内は一般的な特急電車と変わらない。トイレもある。座席は8割方は埋まっていただろうか。やはり事前予約はしておいた方が良さそうだった。

Rede Expressosのバスチケットの買い方

バスは、Omioのスマホアプリ経由でRede Expressosのバスを当日予約した。
Omioアプリもとても分かり易く、路線・時刻検索から購入まで迷うことはないだろう。
バス本数は多いので、当日の状況次第で買うのも良いだろう。
Omioのアプリはヨーロッパの様々な乗り物予約をサポートしているようだ。以前ギリシャに行ったときは、サントリーニからミコノスへのフェリー予約にも利用した。

https://www.omio.jp/


ポルト/Porto編につづく


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フレッド@FIRE専業主夫
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