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ポルトガル旅物語 Ⅳ/ポルト編 自転車で大西洋へ

Porto/ポルトに着いた9月11日、既にポルトガル5日目だが、ずっと晴れの日が続く。

まだまだ観光客が多いとは言え、欧州バカンスシーズンの終盤で、新学期が始まるこの時期を選んで正解だったと思う。

昼間は暑くて強烈な日差しだが、湿度が低くカラッとしている。
夜は薄い羽織ものが欲しくなる季節。
高温多湿の東京から来た身には、とても過ごしやすい。

ポルトvs.リスボンは、大阪vs.東京の如し

Coimbra/コインブラからRedo Expressosの長距離バスに揺られること90分。
夕方ポルトについて最初に感じたのは、「あれっ、涼しいぞ」だった。
リスボンから300km北上して来ただけのことはある。

一介の旅行者ではなかなか気づけないが、ポルトvs.リスボンは、気候だけでなく、方言やら気質やら食文化やらで、大阪vs.東京に匹敵するが如くの仁義なき戦いがあるらしい。

レストランで出される定番ビールでさえ、リスボンのSagresが、ポルトでは少々重めのSuper Bockに銘柄が変わる。

メトロも違う。リスボンですっかり乗り慣れたはずだが、ポルトに来て、またもやチケット購入には困惑する。
チケット料金の考え方がリスボンとは全く異なるのだ。

Zone/どの地域まで行くか?
Title/何回乗車するか?
券売機に英語表記はあるものの、英単語が示すポルト メトロ独特の表現や仕組みが分からない。

初心者には意味不明なポルト メトロの券売機

悪戦苦闘していると、この地でも優しいおばさまが現れて事なきを得た。
初めての地での乗車券購入は、いつも鬼門だ。
近い将来、日本のSUICAのような全国共通ICカードが生まれることを願って止まないのである。

メトロに順法精神の高さを見た

しかしだ、ようやく手に入れた紙製ICチケットのなんと軽く扱われていることか。

なんだ?このいい加減なメトロの改札は…
無賃乗車し放題じゃないか。

改札は紙製ICチケットをカード読み取り機にタッチするのみ。

チケットをタッチしようが、しまいが、誰でも出入り自由。
フラッパーもなければ、警告音もない。降車時は、ただ通り過ぎるのみ。
どこを見ても駅員の姿はない。

ポルト人は、そんなに順法精神が高い人種なのか?
あまりの緩さに、むしろ何か間違いを起こしているのではないか、と不安になる。

しばらく改札を行き交う人を観察したが、皆一応にチケットをタッチして入場していく。但し、その切符に正しく乗車賃がチャージされているか否かは分からない。

スマホで飲食店の席取りをする平和な日本の光景に匹敵する驚きだ。
この仕組みが機能しているなら、ポルトは間違いなく日本より安全な街だろう。

さて、3泊したポルトでも一通りの名所旧跡の観光はした。
美しいアズレージョの建物に、荘厳な教会の数々、ボリャオン市場…
観光名所詳細はガイドブックに譲るが、ポルトの街はリスボン同様に坂また坂の街。筋肉痛の足を引きずりながらの街歩きだ。

そんな中で僕らのおすすめは、「ポートワインの飲み比べ」「ドウロ川沿いのサイクリング」だ。

ポートワインが旨すぎる

ドウロ川を挟んでポルト旧市街の対岸には、ポートワインの酒蔵が並ぶ。
ここでのポートワイン飲み比べが楽しすぎるのだ。

ワイン好きにこの試飲はたまらない。
チョコとのペアリングで大満足。

因みに、当初僕はPort/ポートワインとPorto/ポルトワインが別物と思っていたが、どうやら英語とポルトガル語の違いのみで、同じものを指すらしい。

このポートワインは、ポルトガル北部のドウロ川上流地域で栽培されたブドウのみを使い、ポルト港から出荷される世界三大酒精強化ワインの一つ。

醸造の過程で、ブドウが完全に醗酵する前に、アルコール度数77度のグレープスピリッツを添加し、強制的に酵母の働きを止める。
その結果、ブドウの甘味が残り、20度前後のアルコール度数の高いワインができる。このため、封を切っても急激な風味の劣化が起きず、またタンニンの多少によらず長期保存が可能となる。
ポートワインは熟成期間などによって種類が変わり、2~3年熟成のルビーポート、10年~20年以上熟成のトウニーポート、特別なブドウから造られる長期間熟成のヴィンテージポートが有名。

なんとも魅惑的なワインではないか。
こんな素敵なポートワインの試飲コースが、ずらりと並ぶ酒蔵で用意されている。

午前中からテラス席でワイングラスを並べて飲む僕らを、興味深げに眺めながら、次々と観光客が吸い寄せられてくる。Saude!

ドウロ川をこんな舟でワインを運んだらしい。

自転車に乗って大西洋へ

ポルトの歴史地区である旧市街は、石畳の坂の街。とても自転車など乗れたものではない。
しかし、ドウロ川沿いに伸びる堤防側道に坂はない。

ドウロ川沿いを走る名物トラムと並走しながら、大西洋河口へのサイクリングは快適だ。歩車分離がされたサイクリングロードが整備されており、快適に走ることができる。

旧市街を離れて、10分も走ると、観光地ではない素朴な街並みに変わる。
左手にはドウロ川、右手にはカラフルな彩りの住宅街になる。
隙間なく、びっしりと建てられた石造りの建物。どれも年季の入った建物ばかりだ。

レンタルサイクルで走る

さらに進むといよいよ大西洋が現れた。
出発点のドン・ルイス1世橋の袂から、ここまで凡そ30分。
当たり前だが、この向こう岸はアメリカ大陸だと思うと感慨深い。

大西洋を臨む。
ビーチには海水浴やサーフィンを楽しむ人々。

キリスト教巡礼の旅に遭遇

ドウロ川から大西洋に沿って整備されたボードウォークを走っていると、トレッキングシューズに大きなザックを背負って歩く人たちを頻繁に見かけた。ザックには白い貝殻が結びつけてある。

Camino de Santiago Portugal Wayだ。
スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指すキリスト教巡礼の旅。日本の四国お遍路の旅のようなものだろう。

Camino de Santiagoには、様々なルートがあるが、ここはリスボンからポルトを通って、スペイン サンティアゴを目指す巡礼の道だった。

Camino de Santiagonのホタテ貝の印

たまたま出会った3人組の親子に話しかけてみた。
なんと、まさに今日ポルトから歩き出し、16日かけてサンティアゴを目指すらしい。

実は、僕は以前からこの巡礼の旅に憧れていた。いつか僕も歩いてみたいと思っている。目の前で続々と北に向かって歩く人たちを見て、ちょっと感動してしまった。
Buen Camino!

漁師町Rua Herois de Francaでイワシ三昧

大西洋に出た僕らは、ビーチが広がる海沿いをさらに北に進む。
出発点から、のんびりと1時間ほど走ったころ、本日の折り返し地点のMatosinhosのRua Herois de Francaという小さな漁師町に着いた。

小さな通りに、たくさんのシーフードレストランが並ぶ街。
どの店も、軒先で新鮮な魚を焼く煙が上がっていた。

Matosinhos のRua Herois de Franca通り
イワシの炭火焼きと茹でポテトのオリーブオイルがけは最高に美味

周りを見渡すと、シンプルなイワシの炭火焼が人気のようだ。
たっぷりのサングリアとともに腹いっぱいイワシを堪能したランチであった。

やはり、観光地を離れての街散策は楽しい。
次回ポルトに来ることがあれば、宿はMatosinhosで探すだろう。

ほろ酔い加減で、帰路につく。
あちこちに立ち寄ったせいで、だいぶ遅くなってしまった。
夕日に照らされた赤褐色の旧市街は、一層美しさを増していた。

ドウロ川対岸から見たポルト旧市街

旅の記録

おすすめレストラン
Petisqueira Porto de Leixões/Matosinhosのレストラン
R. Conde São Salvador 52, 4450-275 Matosinhos, Portugal
いわし料理を食べるべし。

Conga/ポルト旧市街のレストラン
R. do Bonjardim 318, 4000-115 Porto, Portugal
ビファーナも良いが、フランセジ―ニャもおすすめ。

アベイロ・コスタノバ編につづく

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フレッド@FIRE専業主夫の日々
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