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ジリからのエベレスト街道クラッシックルート Day 17 ジョルサレ

ソマレの朝。
朝日に照らし出された山々が美しい。
まだここは4,026mの高地とは言え、昨日までの厳しさとは明らかに違う。

頭痛は無くなった。空気の薄さも感じない。今日も駆け下りるが如くに、一気に下ってまた上り、そしてまた下る。

Shomare(4,026m)〜Debuche〜Namche(3,446m)〜Jorsalle(2,831m)
計21.03km


山の生活にも、さすがに飽きてきた。
シャワーを浴びたいし、美味いビールも飲みたい。たまには気の利いた料理も。

下界での生活を楽しみに、自然と歩みが速まる。

とんでもなく辛そう表情で登ってくる多くのトレッカーたち。笑顔で下る僕。すれ違う度に、彼らの羨ましそうな視線を感じる。

Coming down is easy, ha?  
なんて声が飛んでくる。

途中、Kyangjumaでランチ休憩とした。往路で一泊した場所だが、なんだか遠い昔の事のように思える。

テラス席でぼんやり景色を眺めていると、十数人のお年寄り日本人団体さんが入ってきた。見た感じ皆70歳オーバーだろうか。

疲れた雰囲気はなく、ワイワイガヤガヤ楽しげだ。一体何処まで登るつもりなんだろう。健康寿命万歳だ。

ランチを終えて歩き始めると、すぐに声をかけられた。

「あの〜日本人の方ですよね」「山から降りてこられたので、様子をお聞きしたくて」

聞けば彼は36歳。これからハイレベルな5,000m越えのThree Pass Trekking(コングラマパス、チョラパス、レンジョラパス)にソロで行こうとしており、今日はナムチェで高度順応日らしい。

社会に出てすぐにオーストラリアやニュージーランドでガイドの仕事に就き、今はカナダに住んでるそうだ。

会社の意思ではなく、自分の意思で進む彼。良い人生ではないか。

何故かこの旅では海外在住の日本人ばかりと知り合うのは単なる偶然か?
世界に飛び出し、人生を堪能する彼ら彼女らが羨ましい。

どうやらガイド無しに登る彼は不安てんこ盛り。上の寒さ、ザックの重量、ロッジの混み具合などの実体験情報などをお伝えしながら、一緒にナムチェへと歩いた。

不思議なもんだ。日本語であれこれ会話しながら歩いていると、急ピッチ下山の疲れと足の痛みを忘れさせてくれる。

ガイドとの拙い英会話とは、一味も二味も違うのである。まだまだ英語ネィティブには程遠い。

ナムチェの街ではシェルパミュージアムに立ち寄った。
シェルパ族の家、暮らしが再現されており、彼らの生活を学ぶことができる。

ジリからの辺境の地を歩いてきた僕には、宿泊してきた宿がほぼ似たような構造だと思えた。
自給自足、何でも手作りの生活なのだ。

ところでネパールには100ほどの部族が存在し、カースト制度もある。シェルパ族は有名だけど、僕のガイドのライさんはライ族だ。

さらに、同じライ族でもいくつもの言語が存在し、グループが違えば方言どころの違いでなく、全く通じないと言う。

最近でこそかなり自由になったが、以前は部族外の結婚もできなかったと。

こんな状況だから、全国民共通語のネパール語でコミュニケーションをとり、さらに英語教育に力が入るのだろう。

そして最近は日本人観光客が減って
中国人が増えているので、中国語学習熱が高まっていると言う。

ジョルサレの街が見えた。
ひたすら歩き続けて、時刻は16時。

もう7時間も歩いている。僕のスマートウオッチの距離計は21kmに達していた。今日はここまでとしよう。




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