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ベリーズ日記 2024.07.19 サバイバル
数週間前のある日、ネットをふらふらしていたら、おもしろそうなツアーをやっている会社を発見しまして。ツアーの名前はずばり「Jungle Survival」。1泊2日500ベリ(4万円くらい)は相当高いですが、ほかでは見ないツアーだし、自給自足的な生活に憧れがあるので、隊員仲間に参加を募って、いざジャングルへ。
1日目。集合場所のベルモパンでガイドさん(Hさん、40代のベリーズ人)と落ち合うちょっと前から、だいぶ雲行きが怪しい。大して天気をチェックせず、気楽に来てしまったことの迂闊さを後で大いに感じることになる。
Hさんは気さくで、こちらの希望をしっかりと聞いてくれ、可能な範囲でツアーを組み立ててくれた。車でまずツアー会社の事務所?へ。そこでガイドさんの荷物を積み込んで、今回のサバイバル会場?であるジャングルへレッツ・ゴー。シトラス農園を営んでいる人の私有地(ゆうても超広大)らしく、ベリーズではめったにみない電動ゲートで中に入る。そこからオレンジの木を両側に見ながら出発地点の東屋へ。到着と前後して雷鳴がとどろき始め、雨脚が一気に強くなる。
しばらくして天気がちょっと落ち着いたので、勇んでジャングルへ。雨季のジャングル、水蒸気と何かの香りが混ざって鼻をつく。水を得るための植物や薬用植物なんかを教えてもらいながら進む。
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歩き始めて20分ほど、川の方へ下りると、当たり前かのように川渡り開始。深さはひざぐらい。こんな開始直後に靴がぐしょぐしょになるとは思っておらず、ちょっとテンションダウン。しかし、後から考えたらこんなのは序の口の序の口。まだまだ優しい顔をしたジャングルだったと思い知らされることになる。
川を渡ってすぐのところで、火を焚くための場所をつくることになった。雨が降っても火が消えないように、屋根を作らないといけない。10m以上に育ったと思われるパームツリー(といっても、ガイドさん曰く「まだまだ若い木」。根元から葉がたくさん伸びていて、そういう葉のつき方をしているパームは若い木なのだそう)から大量に葉を切り出す。(たぶん)15枚以上運んで、組んだ木に斜めに寝かせて完成。
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その後、パームツリーの茎の部分を食べながら(これが筍のようでおいしい)ベッド・ベッド部分の屋根をこれまたパームツリーの葉と木で作りあげ、火おこし。火おこしには、繊維質の多い木が役に立つ。Hさんはジャングル生活をしていたマヤの血をひいていて、ジャングル経験も豊富。ホントにすぐ目的の木を見つけてくる。
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火が整ったあたりで暗くなり、体は疲労困憊。手袋忘れて素手で作業したせいか、なんかやたらと手が痒いし、日頃の運動不足がたたって腰も痛い。そして、よく考えたら昼飯食べてない。外は雨が轟音を立てて降り続く。焼きマシュマロをもらってちょっと回復。プランテーンを皮のまま火でしばらくあぶったものを用意してくれ、これまた美味。ほくほくで、さらにちょっと体力回復。コフンナッツ(パームツリーから採れる実)は、火に突っ込んで、しばらくしていい感じに焼きあがったけど、Hさんに忘れられて、あした送り。ずーっと降り続く雨音を聞きながら、パームツリーの葉でできたベッドで就寝。
2日目。寒さを感じて、3時ごろに目が覚める。火が落ちている。かすかに残った種火でなんとか火を起こそうとするが、なかなか起きない。ちょっといい感じになってきたところで、同行してくれたMさん起床。蚊よけスプレーを取り出し、2人で若干ためらいつつ火に噴射。可燃ガスのおかげで一気に着火。文明のありがたさを痛感する。外は相変わらず雨。
夜明け。ガイドのHさんの指示を受けながら朝食作り。ゆうても川からの水くみくらいしか役になってないけど、一応がんばった気になる。スパゲティとコーヒー。めちゃ旨。ありがたい。外はずっと雨。でも、9:00になって、2日目のメインイベント「滝ハイク」開始。片道1時間半、川渡り6回とのこと。
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昨日から降り続いている大雨。水かさは時を追うごとにどんどん上昇、山深くへと進むにつれ、川渡りのレベルがどんどん上がる。水位は膝から腰、腰から胸へ、流れもきつくなる。轟音とどろく急流を泳いで渡る(これは見た目よりは平気だった)、強い水圧をびんびんに感じながら、大岩につかまって進む(これが個人的には一番怖かった。当然命綱なんてものはない)、渡された1本のロープをつたって激流(急流じゃない)を渡る(立つことは絶対に無理。一瞬で吹っ飛ばされる)。Hさんがガイドじゃなかったら、たぶん生きて帰ってない。それくらいのレベルの経験だった。
500ドルどころじゃない、とんでもない価値のツアー。帰ってきて、ほっとしたのか、1日体が動かなかった。ジャングルでしか経験できないこと、雨季のジャングルでしか経験できないことを山ほど体験させてもらった。
正直、次は乾季に行きたいけど。
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ちなみに、滝帰りのご褒美は、ジャングルから採れるTea Vineを煮立てたお茶と昨日のコフンナッツ。ナッツはアーモンド風味だが、それより優しい味でした。