AIについて

AIに物事を考えさせることがはやっているこのご時世に、ある作家が恋愛ものの小説をAIに書かせようとした。 いつも通り設定は自身で考えて「恋愛小説を書いてくれ」とプロンプトを入力したところ、AIは淡々と恋愛小説を作り出した。

しかし、作家は内容が気に入らなかったのかリトライした。ただ、何度やってもいまいちありきたりな小説だった。

そうしていくらか繰り返したのち、とても気に入る小説が出来上がった。 彼はうきうきで、その内容をじっくり読みながら文言を直して、清書していた。そこで、あることに気づく。

その内容に既視感があった。

どのように女性と出会い、デートをして恋人同士となったのか。 作家の心臓はバクバクと音を立てて、冷や汗をかいた。作家の知っている場面まで読み進めると終わりかと思いきや、話の続きがあった。

内容は彼女の描写に移っていた。彼女は鼻歌を歌いながら料理をしている。ただ、なぜか片腕がないので、とても料理しづらい描写がある。 時折不気味な笑顔で、彼女は彼に呪いの言葉を吐いた。彼のせいで私は死んだ。いつか必ず迎えに行くと。 作家は戦慄して、もういないはずの彼女に連絡をしたが、連絡はつかなかった。

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