構造設計者の地位向上は難しいが個人でできることはある
こんにちは、まきやんです。
建築の構造設計の仕事をしていると雑誌やコラム、ブログなどで、構造設計者の地位向上の話をたまに見聞きします。
・責任の重い仕事なのに給料が少ない
・仕事がきつくて構造設計のなり手が少ない
ざっくりまとめると、こんなことを理由に出してきて構造設計者の待遇改善や地位向上などを訴える内容のことが書かれていることが多い印象です。
しかし設計実務をやっているひとりの設計者として見た時、地位向上はなかなか厳しいんじゃないかなと思わずにはいられない気持ちになります。
今回はなぜ構造設計者の地位向上が難しいのか、一個人としてどんな働き方をしていったらいいかについて考えてみました。
構造設計者の地位は低い
構造設計者の地位がなぜ低いかというと、
① 仕事の需要と供給
② 仕事を作る側・こなす側の力関係
③ 設計業内部の力関係
というのが背景にあるためです。
ひとつずつ確認していきます。
① 仕事の需要と供給
これは資本主義社会の仕組み上揺るがない事実です。
今日本は少子高齢化の真っ只中で、新設住宅着工件数も年々減少の一途をたどっています。
一方で、最近はコロナ禍の影響で郊外の住宅需要が高まっているそうです(全体でみると微増ですが・・・)。
ただ一過性のものに過ぎないため地位向上にはつながらないと思われます。
参考記事を貼っておきますね。
② 仕事を作る側・こなす側の力関係
これも資本主義社会の宿命のような事実です。
基本的に、
仕事を作る発注者 > 仕事をこなす受注者
の力関係になるため、想定的に地位は低くなってしまいます。
③ 設計業内部の力関係
基本的に設計プロジェクト全体のとりまとめは意匠担当者が行うことがほとんどです。
結果的に業界のトップのポジションのほとんどは意匠設計を経験した人がなっています。
クライアントの視点で考えると、
関わりの深い意匠経験者 > 直接関わりのないそのほかの設計者
となってしまいます。
佐藤淳さんのように個人で設計事務所・研究室などがあり強い発信力を持っている人でない限り、構造設計者が日の目をみることはないでしょう。
ただ、構造担当者の話を聞いて安心感を覚えるクライアントも少なくありません。一律に地位が低いというわけではなく担当者自身の積極性次第で解決できる話でもあると思います。
個人でできることはある
ここまで構造設計者の地位向上が難しい理由を挙げてきました。
じゃあ自分はどうしようもないのか、というとそうではありません。
そもそも「設計者」というくくりで考える必要がないのです。
あなたが目指すべき着地点は、
・構造設計者の地位全体を向上させたい
・ひとりの人間として成長したい
のどちらでしょうか?
迷わず後者を選ぶのではないでしょうか。
大事なのはあなたがこれからどういう働き方をしたいか、どんな人生を歩んでいきたいかということです。
業界の構造を変えていくよりも、まずはあなた自身でできることを積み上げていきましょう。
具体的にどうすればいいかというと、
① 社外の人とつながりを作る
② より報われやすい大手の会社に転職する
③ 独自のコンテンツを作って販売する
がおすすめです。
① 社外の人とつながりを作る
社外の設計関係者とのつながりを持って仲良くしておくと、あなたと一緒に仕事をしたいと協力の依頼がもらえたり、クライアントの紹介をしてもらえたりします。
将来独立するしないにかかわらず社外でも通用する人材になれるので、営業活動はやっておいて損はないでしょう。
② より報われやすい大手の会社に転職する
あなたの設計の実力があって給料が少ないと不満を感じているのであれば、迷わず今いる設計事務所よりも大手のところに転職することをおすすめします。
今コロナ禍で求人数は減っているのは事実ですが、会社の大小問わず設計技術者が人手不足なのもまた事実。
逆に今の時期に求人を続けている会社はどこも体力のあるところなので、転職に成功するとあなた自身の待遇が改善する可能性は高いです。
迷っているなら今すぐ転職エージェントに相談してみましょう。
③ 独自のコンテンツを作る
難易度はほか2つに比べて高めですが、あなたの地位向上には一番貢献してくれるのがあなた自身のコンテンツを作ることです。
例えば、
・ブログやSNSなどで自分が経験した有益な情報を発信
・クライアント向けに独自のサービスを提供
などが挙げられます。
実際にどんなことをやってみるかはあなた次第。過去の経験やこれから挑戦してみたいことを中心に考えてみるといいでしょう。
私自身もブログをはじめ、noteやSNSなどさまざまな媒体を使って日々試行錯誤しています。うまくヒットするものもあればまったく当たらないものもありますが、引き続き挑戦していこうと考えています。
なんだかんだでクリエイター思考なので、やり始めてみるとわりと楽しかったりするんですよね〜。
今できることに挑戦しよう
構造設計者として全体の底上げをするのは難しいと思います。しかし、個人レベルであなた自身の待遇や地位を向上させていくことは十分可能です。
今の働き方や地位、待遇などに不満を感じているのであれば、まずは今できることに挑戦してみましょう。
昨日の自分より今日の自分。過去の自分より未来の自分。
こんな感じで自分に向き合って自分を成長させていきましょう。
今回はこの辺で終わりたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
今は苦しい時期ですが、ともに頑張りましょう。
それでは、また。