ヴェネツィアについて深く知るための本リスト
筆者がかつて一年ほど留学生として滞在し、今でも大好きな都市ヴェネツィアについて、都市・歴史・建築・絵画と幅広く知るための本を紹介します。筆者が一通り目を通した事がある本に関してはコメントを付けます。
ヴェネツィア一般
日本でヴェネツィアに関する本格的な書籍を最も多く書かれているのは、法政大学名誉教授の 陣内 秀信 氏だと思います(多分)。
氏による以下の新書は古いですが、ヴェネツィアについて手っ取り早く、かつ幅広く知るのに適しています。写真がたくさん載っていて、ヴェネツィアという街の雰囲気を眼で楽しむことが出来ます。
比較的新しい新書であれば、美術史家・宮下規久朗 氏による以下の本があるようです(筆者未読)。
こちらは絵画を重点に置いているとのこと。陣内氏によるものの方がより包括的だと思います。
陣内氏は、イタリアやヴェネツィアに関する書籍を多数書かれていますので、氏の名前で検索すればより専門的なものも出てきます。興味がありましたら是非調べてみてください。
ヴェネツィア中世・近世史
以下は、『世界史』がベストセラーとなった著名な歴史学者マクニールによるヴェネツィア共和国史の古典です。タイトルの通り、11世紀(中世)からナポレオンによる征服(近世)までを描いているらしい(筆者未読)。
比較的新しいものとしては、以下があるようです(筆者未読)。伝説上の建国から共和国の終焉までを描いているとのこと。マクニールよりも通史色が強めっぽい。
ヴェネツィア現代史
上2つは、ヴェネツィア共和国の崩壊までで終わっていますが、それ以降のヴェネツィアはどのような歴史をたどったのでしょうか?
以下は、イタリア統一運動(リソルジメント)から、20世紀(ムッソリーニの時代、戦後まで)のヴェネツィアを描いた少しニッチな本です。著者はオックスフォード大学名誉フェロー・イタリア現代史家のボスワース氏です。
"Italian Venice"というシンプルなタイトルには、「我々は"ヴェネツィア"なのであって"イタリアの一部"ではない」という強いアイデンティティを持っていたヴェネツィアが、いかにしてイタリアを象徴する都市の1つとして扱われるようになったのかというダイナミックなテーマが込められています。
旅行ガイドブックには載らないような、歴史的モニュメントの場所などを知ることが出来ます。
上の本は、イタリアの現代史を全く知らない状態だと、少し理解が難しい部分があるかもしれません。現代イタリアの通史については、東京大学教授・イタリア政治学者の伊藤武 氏による以下の新書がオススメです。
本自体はコンパクトですが、内容が詰まっていて読みごたえがあります。洒落たイメージからはかけ離れたその仄暗い歴史を知ることが出来ます。
ヴェネツィア建築
ヴェネツィアの建築については、ケンブリッジ大学名誉教授・建築史家のデボラ・ハワード女史による以下の書籍があります。
ヴェネツィアの各地に点在する建築について、歴史に沿って解説している良書です。これを一読するだけでも、同時期に建てられた建築や、各建築の注目すべきところなどを知ることが出来て、街の散策がより楽しくなると思います。
なお、英語の言い回しがだいぶ難しいので、辞書片手に読むことをオススメします。
ヴェネツィア建築に関する古典的著作として、オックスフォード大学で教鞭を取り、ルイス・キャロルとも親交のあった、ジョン・ラスキンによる以下の著作があります(筆者未読)。
ヴェネツィア建築を語る上では外すことの出来ない古典ではあるのですが、筆者のエッセイ的な側面もあり、記述にバイアスがかかっていると言われています。こちらは興味があったらで良いでしょう。
ヴェネツィアの絵画
ヴェネツィアの絵画はルネサンス期にその頂点に達しました。中世後期からルネサンス前期・後期の"ヴェネツィア派"による絵画については、セント・アンドリュース大学名誉教授・美術史家ピーター・ハンフリー氏による以下の本があります。
とにかく図が豊富で、視覚的にも十分に楽しめると思います。この本に載っている絵画の多くはヴェネツィアにあるアカデミア美術館および教会に所蔵されています。訪れる前に是非とも読んで見てください。
こちらは比較的読みやすい英語で書かれていますので、初心者にもオススメです。
邦訳版もあるようです↓
ヴェネツィアのお店
さいごに旅行ガイドブック的な本もご紹介します。沢山ありますが、筆者の個人的なお気に入りは以下の本です。
路地にあるような数多くのカフェ・バーカロが紹介されていて、滞在時にとてもお世話になりました。現地の人が行くような「いい店」が沢山載っているので、旅行の際には重宝するのではないかと思います。
さいごに
筆者は高校生時に『ARIA』という漫画に出会い、その漫画の舞台のモデルであるヴェネツィアに魅了されました。
絵とストーリーがとても綺麗で、万人にオススメできる癒し漫画なので、こちらも是非読んで頂ければ幸いです。
ちなみに、アニメ・映画はAmazon primeで視聴が可能です。漫画にはないオリジナルストーリーも豊富で、こちらもオススメです。バックグラウンドの音楽にも定評があり、サントラもとてもオススメです。
以上です。ここまで読んでいただきありがとうございました。
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