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ヤクルトのドラフトは本当にこれでよかったと思う

10/28の文春野球で菊池選手(ライターさんのペンネームです)によって「ヤクルトのドラフトは本当にこれでよかったのだろうか?」という記事がアップされた。
私もドラフトについては85点で足りない点はあると前回の記事で書いたが、獲得した選手については何ら不満はないと考えている。
ここからは、菊池選手の記事を引用しながら、それに対して自分なりの回答を記していきたい。

清水昇の1位指名に感じたこと

 ドラフト1位には、相応の役割を期待してしまうもの。清水に過度なプレッシャーをかける必要があったのか。清水を指名する時点で、スケールの大きな甲斐野央も梅津晃大(ともに東洋大)も残っていただけに首をひねってしまう。球団としては「ウェーバー順が10番目になる2位では清水は残っていない」という判断だったのだろう。

ここで、筆者が書いているようにスワローズの2位では清水は残っていないという判断をしたのだろう。清水に特に熱心だったのはスワローズ以外では楽天と横浜だった。
楽天はハズレ1位で外野手の辰己選手の交渉権を獲得した。
横浜はハズレ1位でスワローズと重複して上茶谷投手を指名し、くじを引き当てた。
この時点で、横浜は目的である即戦力投手を獲得したため、2位で清水投手を指名する可能性は低いが、楽天は1位が野手なので清水投手を指名する可能性が高かっただろう。
つまり、スワローズがハズレ1位で梅津投手を指名していれば、楽天が2位で清水投手を獲得していただろう。

そもそもスワローズは梅津投手より清水投手を高く評価していたのではないだろうか?
清水投手はすでにある程度完成されており、開幕から投げることが可能だと思う。
一方の梅津投手は即戦力と言われながら、まだ未完な部分がある。
今年、原樹理が後半躍進し、小川も安定したが、まだまだ絶対的なローテーション投手は足りていない。だから、球団としては開幕直後から一軍で登板できる先発投手が欲しいというのが第一にあっただろう。
上記の条件に当てはまるドラフト対象投手と言えば、上茶谷投手と清水投手だったと思う。そこで、球団的に優先順位は①根尾②上茶谷③清水となったのだろう。

もし、外れの外れで梅津投手にいくのであれば、外れの段階で吉田投手に行っていたと思う。素材を追うのではなく本当の即戦力をもとめた結果と言えるだろう。

廣岡大志をスターに育ててこそ「ヤクルト」なんじゃないか

 今季、廣岡はレギュラー獲りに失敗し、27歳の西浦直亨が中心的に起用された。とはいえ、廣岡が持つスター性、存在感は天性のものと言っていいだろう。一部首脳陣からは思考面を疑問視する声があがっていると聞くが、廣岡のような素材を一流に育ててきたからこそ、ヤクルトは大資本を擁する球団と渡り合えてきたのではないか。もちろん、根尾を遊撃に据え、廣岡を他のポジションにコンバートするつもりだったのかもしれない。とはいえ、「ウチの未来は三塁・村上宗隆、遊撃・廣岡大志に預けた」という姿勢を見せてもよかったのでは、とも思える。

近年の山田哲人、村上宗隆、古くは池山隆寛など高卒野手を球界を代表する選手に育て上げる実績がある。これは、スワローズ独特の超強化選手制度によるもので、個人的にはスーパーマンロード(キン肉マンでジェロニモが人間から超人になるのに登った道)と呼んでいる。
廣岡もこのスーパーマンロードを登っていた。しかし、今年で3年目。筆者が言うように成果が出ていないのが現状である。

山田の入団3年目までと比べると

■山田哲人
(1年目)
・二軍成績 114試合 .259 5HR
・一軍成績 出場なし(CSにて初出場)
(2年目)
・二軍成績 40試合 .293 0HR
・一軍成績 26試合 .250 1HR
(3年目)
・二軍成績 42試合 .301 0HR
・一軍成績 94試合 .283 3HR
■廣岡大志
(1年目)
・二軍成績 113試合 .218 10HR
・一軍成績 2試合 .429 1HR
(2年目)
・二軍成績 110試合 .244 16HR
・一軍成績 11試合 .250 0HR
(3年目)
・二軍成績 61試合 .244 6HR
・一軍成績 45試合 .209 2HR

2年目までほぼ同じような成長曲線をたどっていたが、3年目で山田と大きな差が開いた。
山田は3年目でほぼレギュラーを手中にした反面、廣岡は開幕スタメンで起用されながらも西浦にレギュラーの座を奪われてしまった。

山田の3年目は前年にベスト9、GG賞を受賞した田中浩康がレギュラーを務めており、今年の廣岡よりもレギュラーをつかむことは困難だったはずだ。

筆者が

これまでヤクルトという球団は、「これは」という選手にポジションを与えてきた。

と言っているが、これまでポジションを「与えられた」選手はいない。
今、20代でレギュラーをつかんでいるのは山田と中村だけ。西浦はまだ完全にレギュラーとは言えないだろう。
山田は田中浩から、中村は相川から競ったうえで奪ったものであり、与えられたものではない。

山田が開花した3年の月日が廣岡にも経った。
スーパーマンロードにタイムリーミットがあるとすれば3年ではないだろうか? すでに後から入った村上は二軍では2年目の廣岡を上回る成績を記録している。4年目からは育成を脱し、あとは選手自身の問題となってくる。

この後、廣岡が必ずしも成長する保証はない。チームとして廣岡と心中することはできない。そうなれば、当然別の候補を立てるのはチームの危機管理からしても当然のことだと思う。その候補が10年に1度とも言われる逸材であれば、指名しない手はないだろう。
廣岡に対する危機管理という証がドラフト8位で吉田選手を獲得しているところにも表れていると言える。

個人的には今回のドラフトについては球団の意図が見えるし、それに即した指名を行っていると思う。

だから、今年のドラフトは根尾、上茶谷と連続して外してしまったが、
ヤクルトのドラフトは本当にこれでよかったと思う。

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