「なんのなみだなの?」
もう必要以上に傷つきたくない。だから必要以上に干渉しないようにしよう。奥底に眠っている人の感情に触れないようにしよう。他人の目を気にせずにやっていこう。
そうやって私はいつの間にか、無自覚にも自分の殻に閉じこもり自分の世界だけで生きてしまっていたのだろうか。
自分が興味あること、やりたいことが他の人にあてはまらないなんて分かっているはずなのに、訳の分からない正義感でひとり突っ走っていた。
“他人の目を気にしない”の意味を完全に履き違えていた。
それに気づきもしなかった。
だからあなたにそれを指摘された時、私は動揺した。
自分を正当化する思考が頭の中を巡りそうになったが、なんとか抑えて現実と向き合った。そしたら自分に腹が立って情けなくなって恥ずかしくなった。
感情が溢れて涙が出た。
あなたは私に聞いた。
「なんの涙なの?悲しいの?悔しいの?」
答えられるわけがなかった。
たとえ信頼していて仲のいいあなたにも、自分が情けないなんてプライドが邪魔をして言えなかった。
だから私は適当にはぐらかした。
思えば、今まで生きてきてこの質問を何回されたことだろう。でも涙腺ガバガバで涙脆い私にも分からなかった。なぜか出てきてしまうのだ。
もしかしたらずっと自分に対しての涙だったのかもしれない。