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【ゆるり暮らし】ネズミといえばゴキホイ

お絵描き教室に通い始めた相棒が、暮れから一所懸命描いているのは「ネズミモチ」。夏に白い花が咲いた後、秋になる実がネズミのウンチに似てて、葉っぱはモチノキに似てるので「ネズミモチ」っていうらしい。

ネズミと言えば、一生忘れられない強烈なネズミの思い出。大学を出て三年目。準公務員から広告制作会社の見習いに転職。給料に見合う部屋へとグレードダウンして、堺市の文化住宅へ。いわゆる、風呂無し、ポットントイレ、小さな台所つきの二階建て長屋。家具はほとんどなく、段ボールをつみかさねて本棚に。一人暮らしのお年寄りも多く、隣のおじいちゃんも一人暮らしで小鳥をたくさん飼っていた。

ある日の夜中、ガタガタ、シュシュシュシュ、ザザザー、と今まで聞いたことがない物音で目が覚めた。おそるおそる電気のヒモをひっぱると、壁際に置いていたゴキブリホイホイが部屋をぐるぐる走り回っていた。恐怖で心臓が止まりそうやった。ゴキホイの動きに少し目がなれてくると、その先頭に見えたのは小さなネズミ。ネズミのしっぽはゴキホイの強力な粘着シートにくっついていた。恐怖で泣きながら、ネズミがぶら下がるゴキホイをゴミ袋に入れた。

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隣のおじさんが小鳥をたくさん飼っていたためかネズミが多く、壁をかじって穴をあけ、わが部屋に侵入。夜中に、壁際に置いていたゴキホイをしっぽにくっつけて部屋の中を走り回りったみたい。決して心霊現象ではないことはわかったけれど、40年近くたっても、ネズミときけば、文化住宅の暗い部屋をグルグルと走り回るゴキホイが目の前にあらわれる。

ネズミモチは、漢方にも利用されていて腎臓や肝臓を丈夫にしたり、腰、膝も強くするそうだ。そういえば、あの時の、ゴキホイをしっぽで引っ張っていたネズミの走りも力強かったな、といまだにあの思い出からは逃れられない。

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