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【不妊治療記録vol.42】子宮外妊娠が怖い

陽性判定から1週間

 前回の診察から1週間、胎嚢を確認するために再び病院を訪れた。前回と同じように血中のhcgを測り、内診室へと向かう。どうか胎嚢見えてくれと願いながら、エコー画面を見る。素人の私が見ても、何も変化のない子宮だった。

医者胎嚢はないですね。では隣の診察室へお越しください」

 表情をひとつと変えず、淡々と告げられた。胎嚢があれば喜べたけど‥陽性から一週間経っても何も見えないだなんて。

医者「今日のhcgの結果です。数値は530です」
「やっぱり少ないですよね?」
医者「妊娠している方なら、この時期は1000欲しいですね」

 移植してから14日、通常の経過であればhcgは1000超えるところが、私の場合はその半分だ。あまり期待しないほうがいいのかもしれない、と自分に言い聞かせた。

新たな可能性、子宮外妊娠

医者「hcgは上昇はしているので、お薬は続けていきます。それと、今回hcgが上昇しておらず胎嚢も見えてない場合は化学流産の診断なのですが、ゆるりさんの場合が上がっているのにも関わらず胎嚢が見えていません。この場合、子宮外妊娠の可能性があります」

 子宮外妊娠とは通常なら子宮内に着床するものが、子宮外、つまり卵管など別の場所に着床してしまうことだ。当然卵管は子宮と違い小さいので赤ちゃんが成長すると激しい腹痛、そして最悪の場合卵管破裂などの事態に陥るようだ。

「その子宮外妊娠になった場合は、どうなるんですか?」
医者「こちらの病院では手術などはできないので、大学病院へ紹介状を書くことになります。子宮外妊娠は判断がとても難しいので、こちらでhcgと胎嚢を確認しつつ、可能性が高くなった場合大学病院で診断してもらいます。」
「子宮外妊娠って、どうやって治療するんですか?」
医者方法は卵管で妊娠した場合は卵管切除するパターンや、薬で散らすパターンなど様々です。大学病院で検査した後に、最善の治療方法が提示されます」

 妊娠したらそれで終わりではなくて、それが正常の妊娠だったかも心配しなくては行けないだなんて、ますます妊娠は奇跡の連続だと思った。

FT手術の弊害?

 医者「それにゆるりさんはFT手術をしてますよね。FT手術、つまり卵管の詰まっている方は、子宮外妊娠の可能性が他の人より高いんです」

精子は卵管を通って受精するので、その卵管が詰まっていればその途中で受精し、着床するということだった。ただ私の場合体外受精でそのまま子宮に胚盤胞を移植したので、自然妊娠に比べれば子宮妊娠になりづらい気もするが…。

子宮外妊娠に怯える日々

 妊娠して嬉しいはずなのに、あんなに夢見た赤ちゃんなのに、手放しで喜べない。私もhcgが正常で「妊娠してました!」と喜べる人になりたかったと心の底から思っていた。
 そして家に帰り、子宮外妊娠をした方の体験を読み、ますます恐怖しか生まれない。手術もかなり痛そうだし、薬で散らすとしても抗がん剤の一種のようで体への影響もとても心配だ。しかし今の私には何もできることはなく、ただ次の診察を待つしかできなかった。
 夫には「子宮外妊娠がとても怖いから、このまま継続できないなら化学流産の方が体や心の負担が少ないから、化学流産がいい」なんてラインしていた。すごくバカな話だけど、あんなに望んでいた妊娠なのに、痛い思いをして何も得られないなら、化学流産の方がましだと思ってしまっていた。化学流産ならそのまま生理を待てばすぐまた移植できる。でも子宮外妊娠になればまた時間がかかり、いつまで日本にいるかもわからない。ただストレスが溜まっていく一方であった。


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