鬼様のブランチ 第100回「蜂への手紙」
今回の鬼ブラ!
・最近どうしてる? 元気? 手紙のように、模様の予後を知らせてくれ。
・針と傷の物語、タペストリーのその後。
前回の鬼ブラ!
・金が……ないっ! 節約するしかないっ!!
愛らしい刺繍を入れたいの
わたくし、夏はつばの大きな麦わら帽子をかぶりたいんですの。
いいですね、爽やかで。
きっとお似合いです。
それでその帽子に、太めのリボンを巻きたいのですわ。
リボンの端にちょっと刺繍を入れて。
ああ……。
何を刺しましょうか。
デフォルメした蘭の花を刺して、名札を兼ねたらステキと思いましたの。
リボンは水色の可愛いものを買ったので、道具とやり方を教えてください。針や糸はオカダヤで買えますか?
へえ……。
はい、買えると思います。刺繍道具ならお貸しすることもできますよ。糸はそれほど種類がありませんが。
フフン。
わたくし、刺繍をしていただいて当然だなんて思っておりませんわ。「ずうずうしいママまとめ」を読んで勉強していますし、あまりひんしゅくを買わない方と自負しています。
ああいうのは嘘ばかり投稿されていると思いますが……。
だからこそ、「不快とは何か?」ということが追及されていると思うのです。たま~には見ると見聞が広がりますわ。0.5ミリくらい。
来週のどこかで、オカダヤにご一緒しましょうよ。通販では色味の感じ方も違うでしょうし。
構いませんが……。
充分ずうずうしいと思いましたか?
あえてグイグイ行くことで、「チェッ、わがままで可愛いやつ!」と思われることを狙っているのですわ。
フフッ、そうでしたか。
えへへっ。
ユニコーンの通した縦糸
和泉。
ああ、帰っていたんですね。
……あまり近寄らないでください。
Pourquoi? なぜだ?
なんとなく。
遺伝子の近い者を避ける本能が働いているんでしょうか? あなたに近付かれると、こう、「憂鬱になる物質」が脳から分泌されるんです。
その物質が分泌される感覚はなんとなくわかるが、俺が近付くことでお前に分泌させていたとは……。
俺とお前とで子を成す確率はゼロなのに、別の種の本能から影響を受けることがあるのか。
子を成すって、気味の悪い。
言い出したのは私ですが、そういうところを掘り下げないでください。分泌量が増えます。
かつて機織り小屋だった場所
ウー……ン😊💖
ご機嫌ね。
ユニコーンは水の毒を清める神獣だから、通しやすい糸でよかったわね。
別に「俺の女!」と思ってるわけじゃない。
あいつの未来から、絶対に不幸になる芽を取り除けたのだから、いいことだろ。
「俺の女!」と思ってないの?
ホントは思ってる。
白鷺がそういう系統の妻じゃないから、「俺の女」がいるのは正直うれしい。美しいし俺のこと愛してるし、チュッチュ。当社比でたくさん抱いてやろ。
うん、まあ抱いてやるならよし。
今夜も抱いちゃお。
(それはそれで「俺の女じゃない時」との差がエグいけど、まあ今夜抱いてやるならよし……)
Je me sens seule……
…………?
ヒマ丸出しじゃん。
エッチする男も女もいないから、庭なんか見ちゃってさ。
男とはもともとしない。
お前こそヒマそうだ。化粧も薄いな。今日は金を出してくれる中年男たちと会わないのか?
むか~~っっ!!
あたしのこと、おっさんに媚びるために化粧ケバくしてる女だと思ってるの!?
? 違うのか?
ジジイ! 白髪! あしながおじさん! あしながおじさんのくせに貧乏!
大っきらい!!!!
あんたなんて、あんたなんて、かっこつけて女にテキトーなこと言うだけで、心が一文無しじゃない!
ほう、上手いことを言う。
お前は元気そうだな。時月は元気か?
むむむむ、むか~~っ!!!!
なによ、なによ、またかっこつけちゃって! 泣いてたくせに!
泣いてた? とは?
ウキ~~~!!
なぜ俺に対して猿になるんだ、お前は。
俺が憎いのならそう言え。気に食わないのなら関わるな。どうしてわざわざ来て絡んでくる?
ばかたれ~~っ!!!
奇声が聞こえる……
また万羽が負けてるな。
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