鬼様のブランチ 「幸せになりたい、でも幸せとはいったい何なの」
今回の鬼ブラ!
・急にこんなテーマ語るか? 素朴にいこうぜ。
前回の鬼ブラ!
・みんなの楽しみ、アウトドア編。波に乗ったり風を切ったり、その積み重ねが幸せってもんじゃないの?
洗濯物を干し終えて
ハァ~ア、幸せになりたいですわね。
………!?
なんか………あったのか?
え? 別に、「なんかいいことないかなぁ~」くらいの素朴なつぶやきですわよ。
師とお嬢さんのお世話をして、おこづかいをいただいて、今日はヒマだからお買い物にでも行こうかしらなんて、要するに「まあまあ幸せだからこそ、余裕こいて言ってること」でもありますわ。
まあまあ幸せな自覚があっても、満たされてはいないってことか?
満月ではなく、居待月かしらねくらいの話ですわ。
師も愛人も、結局わたくしのものにはならないわけですし、な~んかな、みたいな。かといって熱烈な恋人が出現すれば円になるのかというと、そうではないと思いますし。
月にかかる影は、青い鳥なのでしょう。その鳥は、時が満ちる時にしか姿を現さないのでしょうね。
そ………そんなステキなこと言うのか!!
メモしといて女に言おう。えーっと、居待月の……影が………青い鳥と。
彼女にとっての青い鳥候補たち
こっちのビン……夏に作ったびわ酒は、いつまで飲めるんだ。もう捨てるか?
一年は寝かしとけって本に書いてあったから、置いといてくれ。
秋はどうしよっかな~。栗でも拾ってなんか作るか。女は栗が好きだし。
栗はかなり面倒だぞ。虫止めと追熟をして、二重の皮を剥いてまで使いたいか?
「甘すぎないマロンペーストを山盛り食いたい」っていう需要があんだよ、女からは。売ってるやつは全部甘いだろ。
旬のものを使って菓子を作ることくらいしか、俺には取り柄がねえんだから。
誠実さとかを取り柄にしたらどうだ。
誰に対して? 誠実さってそこが泣き所だろ。
一夫一婦の誠実さは一途さで、一夫多妻の誠実さは経済力なわけでさあ、女囲うほどの金はないぜ、俺。
たいして金を持っていない浮気者だとしても、今よりは誠実になれると思うが……。
神無様のことは置いといたとしても、一途になった俺って相当怖いだろ。
こんなでかくて心の湿った男がさあ、自分が浮気しないかわりに、女に嫉妬しだしたりしたらさあ……。
なるほど、いちばん事件を起こしそうなタイプだな。
経験上、モラハラの痛烈さは顔の良さに比例するし、明るいふりをしている男はほぼ100%、家では厄介だ。
いやいや、ホントそうよ。
俺が女だったら、俺とは絶対付き合いたくねーもん。爆発はしねえけど、「永遠に撤去できない不発弾」じゃん。
そこまで自分の印象を客観視できているのに、改善できないというのも不思議なものだな。
俺と付き合って幸せになれる女はいねえと思う。
だからせめて、手間のかかる菓子を作れる男として、希少価値を感じてもらうしかねーんだよ。
自分のいる場所に幸福があるタイプ
今日は天気がいいし、森を散歩して、滝を眺めながら京極夏彦の新刊でも読むか。
そういうシチュエーションで、そんな分厚い本を選ぶか?
電子書籍だから厚さは関係ありません。
飲み物と菓子も持って行くかな……水と飴でいいか。おじいさまも行きますか?
行ってもいいが、水と飴て。どうせピクニックするのなら、もっといいもん携えろよ。
紅茶淹れてもらって、菓子も包んでもらうから、ちょっと待ってろ。白鷺~!
そんなわざわざ。
「今あるもので快適に暮らす」のが大事だと思いますけどね。
誰からこづかいせびってそれっぽいこと言ってんだ。
手に入る範囲のものを工夫するのが、知恵であり生活というもんだ。
鳥を……えーと、存在しない青い鳥を追うのはアレだが、スズメみたいなの愛でるのは……それが満たされることというか……。
??
ステキなこと言おうとして、中身が追い付かなかった。俺も本を持って行こうかな。
幸福を振りまく仕事 上級/下級
やあ、いい天気だ。
香を焚いて、レコードでもかけようか。少し風も入れよう………おや、刹那の猫だ。よしよし。
ジジイ~。
普段は若いふりをしているんだから、何もない日くらい寛いでもいいだろう。
ほら、水飴。メロン味。
わーい。
あたし、水飴練るの大好き。♪♪………♪
可愛い女だな。おっさんを転がしているとは思えない。
おっさんはみんな働いて疲れてて、どこにも逃げられなくて、息を抜きたいだけだもん。あたしが転がさなくても勝手に癒されてるんだから。
中高年の男の逃げ場のなさは、想像するだに辛いからな……。
それをわかってくれてる時点で、君くらいどの角度から見ても金目当ての女でも、癒しの女神か。
むっ、イヤミ~?
いや、立派だと思ってる。対価として、女神や妖精の役を引き受けてやるわけだろう。
離婚させないテクニックを教えてくれないか。私の女はどうも、すぐ離婚して私と再婚しようとするんだが……。
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