鬼様のブランチ 「いつかチョコレートケーキになる心」

今回の鬼ブラ！
・ピザ食いて、父の立派さを思う。

前回の鬼ブラ！
・俺の好きなインターネットを教えてや「発言小町だろ」そう。

もぐ

桐生

…………。

普段は入ることなどない叔父の部屋

桐生

仕事終わりで疲れてるところ、ごめん。
昨日から考えてることがあってさ。

西帝

（金は少しなら貸せるが、貸し借りの関係になりたくないから、「やる」と言った方がラクだ……）

桐生

俺、ピザが好きかも。

西帝

…………？

桐生

違う、ピザが好きだ。

西帝

いや、疑問込みから断言になったところで、何を言ってるかわかんないんだけど……。
なんかの隠語？　俺は若者言葉わかんないよ。

桐生

イタリア発祥の、小麦粉？ の生地を薄く延ばして、トマトとチーズで味つけて焼くやつ。ナスが乗ってる。

西帝

ピザじゃねーか。ナスはさじ加減だろ。
ピザが何？　ピザ作る職人になりたい？　みたいな話？

桐生

違うよ。
昨日食べて、おいしいなあと思ったんだ。

西帝

桐生はそんな素朴なこと言わない。乗っ取られてる。桐生を返せ。

桐生

厳しいな、乗っ取り判定。

乗っ取られてねーよ

桐生

ピザなんて別に、珍しいものでもないじゃん。
なのに俺は、昨日まで「ピザはおいしい」っていうことに気付かず生きてきたんだよ。

西帝

昨日初めて食ったの？

桐生

そうじゃないけど、熱い状態で食ったのは初めてだと思う。
それで、俺は世の中のことを何も知らないな、と思ったんだよ。

西帝

桐生はそんなぼんやりしたこと言わない。桐生を返せ。

桐生

はっきりしたものとして喋ってるけど……。
俺、今までは、親父とか白威さんが料理してるの見て、バッカでぇ～と思ってたんだよな。

西帝

よかった、乗っ取られてなかった。