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タペストリー3 「右近の職業」

今回の織り方
蜂の残した針 2話の模様について
・機を織ったことがない高齢者を引っかける詐欺(特殊犯罪)
・右近の職業がようやく判明

前回の織り方
・俺はママがいないと泣いちゃう。

詐欺に気付いたぞ


刹那

俺、機を織ったことがなかったんだわ。
巫女と、あと鶴がなんとなくやるもんというイメージだった。

此紀

私も布を織ったことなんかないわよ。

でもお前は、縦糸に対して横糸のほうがはるかに多いということは知っていたのだろう。縦糸の色を途中から変えることは、できなくはないが、横糸よりも難度が高い。
だからお前は、多く通せて色変えも容易な横を選んだ。

チッ。

言ってよ~。
譲るわ、別に。俺よりはお前の方があらゆる知的能力が高い。そんなもんわかってんだから。

能力の低さと欲望の多さは反比例することもあるわ。
いいえ、別に、あんたの能力が低いとは思ってない。よく見てる。
でもダメなのよ。原則、あんたは性善説なのよ。

善人が急に悪くなることはできない」というの、俺はうまいこと言うと思ったがな。
悪にも才能が要る。皇ギや克己を除外するのなら、そこまでの悪って居なくないか?

その「悪人がいなければ悪事も起きない」と思っているところよ。

すごい。それで全部わかった。

いないのに大変なことになったのが『蝶のように舞えない』、さらに『そして鳥はいなくなる』。否定形のタイトルをすでにふたつも生んでいるのよ。

善人の織り成す模様の醜さ、あるいは薬の過剰投与によるオーバードース。これを洗い出さなければならない。

その筆頭が、私の師よ。

……そして対義語が、弥風や皇ギだな。
あいつらの模様は美しい。血で刺された赤いものだとしても。

模様、今のところはうまく織れてるわよね?
開幕性病のペアはいたけれども、まあ話しぶりからして、軽いクラミジアかなんかでしょう。

『蝶のように舞えない』よりは相当軽微な下半身トラブルだろ。そういう意味かと思ったが。

そうなんでしょうね。そして豪礼の三子全員、さらに桐生の存命も確認できた。スタート好調だわ。犬も元気でなにより。

沙羅は東雲つけてりゃ大丈夫だと思うのよ。まあ病気うつされた可能性はあるとして、それは薬を飲んでちょうだい。

次の横糸は……宣水がいるのであれば、和泉の近くに配置したいところだけど。……この保険が凶となることはあるのかしら? いえ、宣水は原則としては、娘に手を出す男じゃない。

俺は、お前はその「保険」で自分の足を引っ張りがちだと思っているが。
男と女は一人ずつのほうがもつれないだろ。一般的に。

白鷺がいる時点で「ペアリング」の完結性は否定されてるでしょ。
保険って、遺族のためのものだし。つがいだと片方が欠けた途端に用を成せなくなる。だから皇ギは合鍵を手元に置きたいんでしょ。私は、典雅がいなければどうなっていたかわからない。

あー、経験則なのか。

……別にそんなに特殊なこと言ってないでしょ。
スペアの価値がわからないのは、ジェミニの血筋だから?

言うなし。

縦糸と横糸では、常に縦糸が主導するものよ。横糸は縦に沿うことでしか通せない。……皇ギはどうするの。

この座でもっとも悩む種のひとつだな。
うーーん。父親よりは弟に寄せた方がまだ、なんというか、マシではないか?

上の弟は神無の側から離れない。西帝を生贄にするということ?

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