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タペストリー17 「こいつがレスバで負ける写真はレア」

今回の織り方
『蜂の残した針』15話 の模様について
・誰しも「槍玉としてのポテンシャル」を丁寧に拾われてしまうと厳しい
・敗色濃厚を感じ取ってなお、典雅はここには来ない

前回の織り方
・そうか、あいつだけ妙に善属性だったのは、そういう……。

ホスピスか治療か

「治す必要があるのか」

『蜂の残した針』15話


刹那だが……

こんな、この世で一番重いテーマを語りたくない。

此紀

典雅はもう、絵に描いたような、典型的なイネーブラーここにありね。私が頼んだら酒を持ってきちゃうわね、これは。

イネーブラー負の救い手」はアル中用語というイメージだな(何の依存症にも使われる言葉なのだが)。

実際、『蝶』だともう寿命来てるんだろ、お前は。いくらかブレがあるとしたって何年も違わないだろう。「じゃあもう死ぬ前に好きにさせてやりたい」という気持ちも充分わかる。

そうなんだけど、この場所にイネーブラーが配置されてたら、もうどうしたって治らないわよね。桐生が「邪魔」と判断するのもわかると思って。

そうなんだよな……。典雅自身は善玉なのだが、こういう効き方するときついなあ。

典雅ってずっと一貫して「こういうタイプ」なのよね。

専門医の診断が出ている朝露のことも障害だとは思っていないのだとしたら、それは……良いことだとは私は思えない。

「診断は、差別するためではなく、適切な治療とサポートを与えるために行われる」と考えてほしいわ。個性と特性と患部はそれぞれ別なのよ。重なることも多いけど、同一視すべきではない。

それは正しいのだが、典雅は私宅監置が存在した時代の者だろう。屋敷では今現在それが行われているし、ならば、個性ということにしたいというのも理解できるだろ。

典雅は「ありのまま主義者」というだけじゃない?
骨折だって副木をあてないと変な形でくっついちゃうこともあるんだし、適切なケアのために、診断を受け止めることは必要よ。

森田療法は「ありのままを求めつつ、放っておくわけではない」ので、お前の未来の方針を任せるにしても、典雅よりは宣水のほうがいい気がする。

いや、その比較は。「子供がどう育ったか」を考えると。

宣水はダメか。


傷と傷口の関係


「君には何もわからない。酒を飲んでいないと、この女は、身体のやわらかいところを引っ掻くんだ。喉や、手首の内側を」



あっ、飲んでいない時は自傷行為があるのか!
じゃあ、これは典雅が逆転優勢なんじゃないか。人里ならば強制入院のレベルだが、それができない以上は、酒を飲ませておくのも仕方ないのではないか……。

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