タペストリー11「今回のゲストは………あれっ?」
今回の織り方
・『蜂の残した針』10話 の模様について
・おいでよ おいしいお菓子があるし、お茶も沸かしてあるんだから
前回の織り方
・「だんだん重くなる尻軽女」という妖怪による述懐。
「あわれな被害者」という鋳型なんかにおさまらなくていい
甘蜜の悪口、キレッキレだな。
性格が悪い。「意地悪を言う時の蘭香」を上回ったわね。
俺は甘蜜に同情する者として、「ちゃんと性格が悪い」というのにけっこう安心する。
ああ、それはわかる。そうね。
しかし右近は「風刺とドヤ顔」をわりと担当している者だと思っていたが。だからお前が嫌っているもんと思っていた。
そう。そうなんだけど、どうも右近は「自覚的にそういうマジカルを担当していた」という線があるわね。メタとかいうことじゃなくて、ピエロとか憎まれ役、そういうのに近い意味の。あの服装がそうであったように。
弱者の反撃を「なんか嫌だ」と言うやつ、平和主義者ではない
まあ見出しでわざわざ言わなくても、右近は自分でわかってるようだが。シラクスの王だって平和を望んでいるのだ。
今、風刺でも訴訟起こせるようになってきてるわよね。
右近は『蜂』でこれが初出? けっこう他の世界線と違う……いえ……あんまり違わないのかも。
「右近の心の中」はレアな写真だから目新しいものに感じるな。
元来、素朴なタイプというのは予測できたことだが、思っていたよりも素朴だな。フツーに上にムカついて、フツーに典雅に同情して、フツーに甘蜜の悪口をちょっと嫌だなと思いながら聞き流している。
典雅もよくそういう評価を受けてるわね。
お高く見えて、実際そういう風に振る舞うこともあるけど、心の中はフツーっていう。若い頃はコイツいてこましたろかと思ったこともあるけど、向こうからすれば私が目障りだったというのも、今となってはわかるし。
典雅は朝露がいると一気に立場が弱くなり、才祇がいると「それでいて背負うものが増える」という倍々ゲームっぽくなってしまうのだな……。
才祇の「身体が弱い」はあまりピックアップされていないが、「おそらくひとりでは下山をしない」という程度にマジで弱いものと思われる。早世することもあるし。
右近も同情するわな、と思うと同時に、甘蜜が「色舞どうにかしたれよ」と思うのもわかるな。
これは、もう「色舞自身がそういう性質の女」だから……。同じ状況でも「知らんし」と思えるタイプだったら、立場やストレスをそれほど気にすることもないんだけど、色舞は介護係になってしまうタイプなのよね。
こういうのって天秤っぽい性質があって、同居でストレスを溜めるのは繊細なほうなのよね。一般的に嫁が姑に対して参るのは、「家の中でいちばん繊細なのはそりゃ若い女だから」でしょう。
すっっごい雑で無神経な嫁が家にいたら、参るのはまず姑でしょう。逆にじゃなくて、「順」に。
才祇は「雑で無神経なほう」っぽいよな。
マスオさんタイプの男が不在ね。『蜂』の典雅がいちばんそれっぽいか。
俺もかなり苦労してるんだけど~。
マスオさんは一夫多妻に憧れてドヤらないのよ。
そろそろまた糸を入れるか
俺は今のところ、もうちょっと様子を見てもいいと思っているが、お前はそろそろ糸入れないと、色舞の救済が難しいのではないか?
なんもできんくない?
思いつかんな。
兄や妹がいなくなれば、重責は軽くなるだろうが、それは絶対手をつけてはいかん糸だし。
色舞は常に「大きな不幸」からは守られているけど、「幸福に至る道」のヒントも見えない。どうしても、自身の「知らんしと言えない性格」に引っ張られてしまうっぽいのよね。
薄幸属性だよな。
やめてよ、ろくでもないマジカル付与するの……。
ちょっと典雅を呼んでみましょうか。
おーい
あれ?
ん? 拒否?
拒否しないだろ、あいつは。お前が呼んでんだから。
招喚が届いてないのか? 「招いたら入ってくる」のだろう。
いいえ、そのルールはまったく保証されてない。
入れなかった桐生が勝手に立てた仮説にすぎないわ。
え? でも宣水と右近は招いたら来たよな。
皇ギは招いてなくても来ている……。
何? 怖っ。典雅だけが呼んでも来ないという唐突性が怖い。ブランチでは普通にいて喋ってただろ。
この小屋、誰が入れて、誰が入れないのだ? 試すのもなんか怖い。
仮説①
・杼を奪う者は入れない……?
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