鬼様のブランチ 「これは魔性のコロッケ」
今回の鬼ブラ！
・揚げたて！ 鬼をとりこにするコロッケ。
・ドーナツひと口目の博打。そのタピオカを信用できるか。
前回の鬼ブラ！
・ユニコーンを恋う乙女と、騎士と狼藉者とカスタマーセンター。
チュッチュ
チュッチュー。
ヒッ、きしょっ………あら、ストローで何かを飲んでらっしゃるだけでしたか。
何を飲んでいらっしゃるのですか？
タピオカミルクティー。
今？
もう売っている店を見ないから、台所で作ってもらったのだ。
いつも行っていた店がタピオカの扱いをやめてしまったんだよな。まあ、もともとクレープ屋だったのだが。
俺はクレープなんか一生食わないから、全部のクレープ屋がタピオカミルクティー屋になったらいいと思っている。
勝手なことを言いすぎですわ。
でも、一時期は本当にそんな感じになっておりましたわよね。
寿司も好きじゃないから、寿司屋がからあげ屋になったらいいな。
ラーメン屋も行かない………インドカレーの店にしよう。牛丼屋はたまに行くかもしれないから、あってもいい。
独裁者気取りにしても、嗜好が偏りすぎですわ。
一方その頃、キッチン
よし、あとは揚げるだけだ。
オッ、お前が揚げ物してるの珍しいな。
気合い入れて何作ってんの～？
カニクリームコロッケ。
作るのが面倒な総菜発表ドラゴンじゃねーか。よくそんなもん作るなあ。
うわっ、カニ缶開けてある。ホワイトソースも作ったの？
今日はヒマだったからな。
お前も食べるなら、皿を出してくれ。
くれんの？ じゃあ一個もらおうかな。
わくわく
白威、そろそろでき………おっと。
ああ、女のリクエストで作ってんのか。
いちいちいやらしい言い方をするな。皿にペーパーを敷け。
火の通りは気にしなくて大丈夫だから、こんなものかな。
わあ、キツネ色でおいしそう……！
飲み物を用意しておいたから、私の部屋で食べないか？ 斎観もよかったら一緒に。
いいんですか？ 女の部屋に入れるなんてラッキー。
気持ちが悪い。思ったとしても口に出すな。
取っておいた白ワインを開けてしまおう
いただきます！
わあっ、衣がサクサクで………クリームが熱くてトロトロでおいしい！ 今まで食べたものの中で一番おいしい！
よかったです。
丸い方は、トマト味のポテトコロッケにチーズを入れてあります。せっかくなので二種類作ってみました。
あ、これは確かにうまい。つうか、お前のコロッケってうまいんだよな。魔性のコロッケだ。
トマト味のポテトコロッケって、これどういう意図で作ったの？
意図？ 別に、マッシュポテトにケチャップを入れただけだ。
中から溶け出すチーズと、ザクッと揚がった衣の組み合わせて充分おいしいと思ったが、酸味があるほうが飽きないだろう。
俺ならトマトソース作ってかけるが、そうすると衣が湿っちまうのか。
ハフハフ……。ハフッ……。
（かわいい……）
けど、カニ缶の残りとかどうすんの？ けっこう高いヤツだろ？ 日持ちもしないだろ。
チッ、今言うな。カニ玉でも作る。
あっ………私のわがままで、負担をかけてしまったのか。
すまない。費用は私が、いや費用というか、お礼をするから。カニ缶というのはいくらくらいなのかな。
いいんです、私も作っていて楽しかったので。
今この場で選べる話題の中で、最悪のものを選択されて、驚いています。ここまで気の利かない男だったかな。年を取ったのかな……。
沙羅ぴっぴ、コイツのことどう思ってんの？ そういう目で見てる？
何の権利があってお前が牽制するんだ！
わっ、お前も大きい声を出すことがあるのか。
どう思っていると言われても、仲良くしてくれて嬉しいと思っている。女をそういう対象にしないということは知っているし……。
コイツけっこう女もいけるけどな。
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