タペストリー35 「愛を脱がすと火傷するぜ! 誘爆で」
今回の織り方
・蜂の残した針 33話の模様について
・愛の服を脱がせていくと、何も残らないのでは? じゃあ服が愛か? 誰を抱けばいいってんだ。
前回の織り方
・沙羅は由緒正しいお嬢様なので、カイゼル髭が似合う。
やったじゃん
西帝が理想の女と付き合えてよかったな。
ここがいけると思って糸を寄せまくった私の手腕を褒めてよね。
父親の寵姫
こんなことを典雅に言う奴がいるのか……。
知らなかったの? まあ、典雅も知らないかもね。こういうのはすべて、色舞に向けて放たれるのよ。
色舞に向けられる悪意というのは、今までほとんどぼかされてきたけど、私は知っているから、「気にするな」じゃねーよという沙羅には同意ボタンをいっぱい押したわ。
でも……『蝶』では、こう言ったらその、あれだが、朝露はいないのだから……。
万羽が言ったということじゃないわ。「弱い者を狙う悪意」の威力の話よ。
色舞に向けられる悪意は、色舞にはどうにもならないことばかりなの。弥風が綾鳥によって権力を失うように。
…………。
すごいしょんぼりしていらっしゃいますけど
あんたはいつでも良識的な男なのに、なんで弥風のことは平気なの?
いや、平気ではない。
お前が豪礼と友であった理由と同じだろ。沙羅が甘蜜と友でありつつ、豪礼を愛したのも、同じことだろう。
それは違わない?
愛を違うとか違わないで断じるのか。
そういうことじゃなくて、沙羅のそれが「愛」かどうかはかなり議論の余地があるじゃない。ストックホルム症候群という万羽の見方に、私も賛同する。
だから、「それは絶対に愛じゃない」と断定できるのか、と言っているのだ。
それ言ったら、ナイフ突きつけて「愛してると言え!」が有効になっちゃうんだから、暴力で引き出したものはすべて違、あー。
そう、そこを否定すると、連動して否定される愛の数が多すぎるのだ。
極論、「虐待されていた者に救いの手を差し伸べる」のだって、それで愛を得るのがいいかというと、倫理的にはダメだろ。たまたまバッドコップが外部にいて、自分がグッドコップをやって成果だけ獲得したのと同じなのだから。
お前が神無を悪いと評したのはこのことを指しているはずだが、じゃあ、「和泉の俺に対する愛」もダメなのか?
意図的にバッドコップを配置して、「お前は殴れ! 俺が助けて好感度を得る」だと完全に有罪だけど、たまたま殴ったやつがいた場合、それを助けて発生する愛はもちろん無罪。
だけど、これが無罪であるのをいいことに、「女が殴られそうな場所で待つ行為」は……
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