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タペストリー25 「善人をだますか、悪人をだますかで罪の重さが変わる」

今回の織り方
蜂の残した針 23話の模様について
むじなは商人の優しさを解したか
・おじいちゃん「わァ……あ……」 此紀「泣いちゃった!!!」

前回の織り方
・この五人はおそらく不幸になる。救い方もわからない

両目の邂逅


刹那

皇ギの性格、酔うなあ!
付き合ったら体調悪くなるが、離れられない女だな、これ。

此紀

転ばせて切って薬を塗る、一人かまいたちね。

傷が治る時って気持ちいいよな。

その「気持ちよさ」を天然で使いこなしている女と言うべきか、それを使わないと生きられなかった女と言うべきかは、かなりデリケートなところだけど……。


月の明るい晩ばかりじゃないんだから、気を付けるのよ


「試し行為でもなんでもいいけど、逃げたりしないでね。あんたの身も、誰の身も、自分ひとりのものじゃないんだから」

 難しい響きの言葉だった。脅迫にも聞こえるし、労わりにも聞こえる。


脅迫にも気遣いにも聞こえる……聞き手の鏡ね。

皇ギのこれは、その域を逸脱してるだろ。

「どっちなのかわからない」ということにおいては同じでしょ。この女は実際に、両方の意味で言っていると思うし。そのウェイトは聞き手の心に左右される。


その爺さんが何をしたっていうの


 こぶとり爺さんの、隣家の爺も、たいがい何も悪くはない。かつて誰かがやけに熱心にそう訴えていたなと、沙羅は本当にどうでもいいことを考えている。



これはね。

「意地悪だからひどい目に遭った」と、「ひどい目に遭った者がたまたま意地悪だった」は、はかりにかけると目方が同じになってしまうから、混同されてること多いよな。

八雲の『』は、「善人だとわかった上で凝った脅かし方をしてる」から、沙羅の中で「ひどい話だ」と分類されているんでしょうね。

あっ、本当だ! ちゃんと読んだことなかったのだが、貉はきっちり商人の人間性を確認できている。

妖怪にありがちな「なんとなく言葉を喋るけど、よくはわかってない」という例かもしれないけどね。そば屋のふりくらいはできても、商人の親切については「なんか色々言ってんな」としか思わなかったのかも。

ディスコミュニケーション……。

あんたもかなり妖怪よ、そうでない者からすると。


目方は確かに同じなんだけどさ


前に耳に挟んで、「ほほう」と思ったクソ話があるのよ。

クソ話なのか。

「同居している義姉の下着を盗んだと疑われている。
確かにオレが盗んだし、前に盗んだこともバレているのだが、今回も盗んだと決めつけられることは納得がいかない!

一寸の虫が五分の魂を主張している……いや、そんなことを言ったら虫に悪いな。

まあ、正しいか正しくないかで言うと、完全に正しい言い分なのよ。無罪推定の原則的に。

刑事事件ならそうでも、民事きわまりないだろ。

そう、その通り。
司法の裁きが入らないということは、家族が司法に代わるということだから、「家族がどう思うか」がすべてなわけ。

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