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「Brewer」は「職人」であり、「芸術家」であり、「研究者」だ。

「brewer(ブルワー)」という言葉をご存知だろうか。グーグルで調べると「ビールの醸造者」と出てくる。

もちろん間違ってはいない。

「brew(ブルー)」は「醸造する」であるし、「brewery(ブルワリー)」は「ビール醸造所」のことである。

でも本当に「醸造する」だけの人なのか。いや、違う。この半年間で、たくさんのブルワーさんに会って話を聞いてきたが、どの人も違う考え方を持ち各々の道筋があった。

北海道のぼりべつ地ビール鬼伝説の柴田さん。

秋田あくらビールの長谷川さん。

いわて蔵ビールの佐藤さん

宮城仙南シンケンの岡さん、吉田さん

茨城常陸野ネストの木内さん。

Y.Y.Gの山之内さん

名前を挙げたらきりがないほど、日本にはビールを愛し造り続ける方達がいる。

そしてどのブルワーさんにも、それぞれ職人としての「信念」・芸術家としての「ユーモア」・研究者としての「好奇心」があることを直接お話を聞いて感じたのだ。

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地元と共存し、愛される「羽後麦酒」

「信念」でいうと、まだ出来て間もない羽後麦酒は地元《羽後町》の食材を使ってビールを作り、地元の地域活性に貢献しようという強い想いがビールから伝わってくる。

去年の夏休み、ラベルを貼る作業のボランティアの募集がフェイスブックのTLに流れてきた。ちょうど秋田県に帰省していた頃だったので「手伝わせてください!」と志願したところ、お返事をいただき醸造所を訪れた。

辿り着いたのは小さいけれど、趣のある醸造所。驚いたことに、たった二人の男性の手だけでビールは造られていた。

一つ一つ手作業で瓶に詰められ、ラベルを丁寧に貼り、大切な我が子のように車に詰められ、道の駅や近所の酒屋に届けられる。

お店に並んで数日で瞬く間に売り切れてしまうほど、ビールに対する反響は大きいそうだ。それも頷ける。これだけの「想い」と「人の手」の込んだビールが地元の人から愛されないはずがない。

これからも地元の人から愛され続けるビールを造っていってほしい。そしてその輪を少しずつ広げて、関東や関西にいる人たちにもビールを通して《羽後町》の良さを伝えていってほしい。私が目指すべき場所はまさにその架け橋となる部分だと思っている。

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物語を名に宿す「Y.Y.G b&b」

「ユーモア」でいうと、渋谷区代々木にお店を構える「Y.Y.G brewery&beerkitchen」のビールの名称が非常に面白く、つい口に出したくなって注文してしまう。

2月18日に開催された「Tokyo brewery's story」というイベントで知ったブリュワリーパブ。醸造所と飲食店が隣同士になっていて出来たてのビールを味わえるのが売りだ。

都内にもいくつかこのようなスタイルのお店はあるが、ビールに「森の土は湿っていた」だったり「八方美人の彼女は優しい嘘をつく」と命名するところはなかなかないだろう。

メニューにも確かにそう記載されていて、思わず笑ってしまった。次々と新商品が出てくるクラフトビール業界でいかに他との差別化を測るかはとても大切な要素だと思う。

どのお店の何のビールが印象に残ったかと聞かれた時に、1番最初にぱっと出てくるのはやはり名前がキャッチーなものなのだ。もちろん、味が保証されてのユーモアだとは思うが、消費者の意識を向けるのにはとても素晴らしいアイディアだと感心した。

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まるで科学の実験室「銀座醸造所」

「好奇心」でいうと、3月17.18日に行われた銀座・新橋のIPA感謝祭で訪れた「BREWIN'BAR 主水 銀座醸造所」の醸造長さんが圧倒的だった。

上の写真。左端で腕を組んでいる方が榊醸造長である。お気づきだろうか。帽子から天に向かって生えている植物。

そう、ホップだ。

決してふざけているわけじゃない。本人は至って真面目にビールを愛し、尊敬しているのだ。その熱意の証が頭からホップを生やしてしまったのだと思う。

榊さんは確かな腕を持つ反面、少年のような好奇心をもちビールを造り続けているのだと伺った。時には新しいレシピを開発すべく、小さなタンクを使ってまるで「科学実験」のようにビールを造る。

日本のビールのレベルがどんどん底上げしている背景には、このような「造り手」の好奇心や向上心があるのだと確信した。

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「味」以外の付加価値をつける

かつて、海外のクラフトビールと比べると日本のビールはまだまだだと言われていた。しかし今では世界レベルの戦いで日本のビールが賞を受賞することも珍しくはない。

日夜「美味しいビール」を造ろうと努力している醸造家は年々増えていて、そのレベルもぐんっと伸びているのは確かだ。

それなのに、未だに日本人に浸透していないクラフトビールの存在。どうしたらさらに需要が高まり、日本に馴染むのか。

これから、人々がビールに求めるのは単純に「味」だけではないのかもしれない。「造る側」に求められるものは、「味」以上の付加価値なのではないだろうか。

職人としての「信念」を伝えたり、芸術家としての「ユーモア」を加えたり、研究者としての「好奇心」を探求することで人々はそこに共感や興味を抱き、「味」以上の何かに惹かれて好きになっていくのだと思う。

これは決して、今存在するブルワーを批判しているのではない。寧ろここまでクラフトビール業界を興してくれた先駆者たちにはとても感謝しているし、尊敬している。

だからこそ、次のステップへと踏み出すブルワーがどんどん出てきて欲しいと願ってやまない。

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ゆるみな。

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