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コロナではなく病気によって失われた3年


瀬尾まいこさんの新刊を読んだ。

「私さ、感染症で青春が奪われた、やりたいことができなかったって怒ってる人がうらやましいよ。
私なんか感染症のおかげで、不登私でも目立たなくてよかった、感染症ってありがたいと思ってたくらいだから」

『私たちの世代は』より引用

まったく同じことを、私も想っている。

私が精神疾患やら胃腸障害やらで寝たきり生活になったのは、2020年のコロナがちょうど流行り出した頃。

当時の世間は「未知のウイルスに怯える」みたいな感じで人と会えないことにストレスを感じている人も多かったのかもしれないけど、私はコロナどころじゃなかった。

生きる気力もなく死にたいと思うようになり、身体も動かず、家族にも申し訳なくなって。

だから大学がオンライン授業になってめちゃくちゃラッキーだったし、人と会ってはいけないみたいな社会になってめちゃくちゃ自分にとってメリットしかなかった。

こんなこと言ったら非常識人で、不謹慎だと思ったから、一度も誰にも言ったことはなかった。

だけど、本に私と同じように考えている人がいて、なんだか救われた。


2020年からの3年間。
私にとっては、あまりにも辛くしんどい期間だった。

〈コロナ〉でじゃなくて、〈自分の病気〉で。



普通に、大学生活や卒業旅行やバイトを楽しみたかった。
新卒の第一志望で入った会社で働いて、稼いでみたかった。

周りの人たちが楽しんでいるように、旅行にも行きたいし、友達とランチもしたいし、ライブやフェスにも行きたい。

寝たきりで過ごした〈失われた3年間〉は、あまりにも私に深い傷を残した。

もし自分が元気だったら、今頃どんな人生を歩んでいたんだろうと考えることすら、しんどくてできなくなってしまった。



それでも。


送るべきだった日常。
用意されていたはずであろう未来。
そこにあったはずの喜びや楽しみ。
そこに付随する悲しみや困難。
私たちはそれらを手にすることはできなかったのかもしれない。
だけど、私のもとにはあの日々が連れてきてくれたものがたくさんある。

さあ、これからだ。
私はさっきより濃くなった日が差す扉のほうへと身体を向けた。

『私たちの世代は』より引用


本にこう書かれているように、

私は、確かに〈私の望む生活〉を手にすることができなかったけど、きっとこの闘病生活が私を大きく変えてくれてのは間違いない。

病気になってよかった、なんて綺麗事はまだ言えない。
だって現在進行形で、悔しい想い、怒り、寂しさ、途方もない絶望感を抱いているから。

それでも主人公と一緒に「さあ、これからだ」と日が差す扉のほうへ向かっていきたい。





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