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最近、せどらーにあまり腹が立たなくなってきた
ぼくは読書家というほどではないけど、本はまあまあ読むほうだ。
キンドルで買うこともあれば、書店で買うこともあるし、図書館で借りることもある。でも、圧倒的に多いのは古本である。
新型コロナウイルスが広まってからはリアル古本屋に足を向けることがめっきり減ってしまい、いまのおもな入手先は、
・ブックオフオンライン
・アマゾンマーケットプレイス
・日本の古本屋
この3つのサイトだ。
この中で、一番安く買えるのはもちろんブックオフである(例外アリ)。ただし、ここはせどらーの仕入れ先でもある。せどらーは、ブックオフオンラインで安く買った本に利益をのせてアマゾンマーケットプレイスに出す。なので、読みたい本を買うためにぼくはいつもこの人たちと争っている。
実店舗のブックオフに通っていた頃も、欲しい本を目の前でせどらーにかすめ取られることがあった。そして、いまは、ブックオフオンラインでそれをやられている。ぼくはかれらに出し抜かれて、「出し抜かれ料」を払うのが悔しい。
ブックオフオンラインでは、欲しい本を登録しておくと入荷と同時にメールで連絡が来るんだけど、すぐ買いにいっても売り切れている。
しかも、市場に出回っていないマイナーな本ほどすばやく売り切れるのだ。たとえば、グノーシス主義とユングについての本。いまこれをさがしている人が全国にいったい何人いるのだろう。
その、おそろしいほどの出足の速さはプロだと感じるのである。しょっちゅう出し抜かれている。
ぼくは売る気はなくて読みたいだけだ。そして読んだらこういう場所で自分の考えを書きたい。それも承認欲求を満足させたいとか、影響力を得たいとか、マネタイズしたいという色気があるわけじゃない。
「悪」というものについて、やむにやまれず考えているので、そのための材料が欲しいのである。
それを、せどらーに横取りされて、倉庫に眠らされる。そして高値に吊り上げられてしまう。まるで、ゲーム好きの人がプレステ5を目の前で転売ヤーに買われているようなものだ。
もちろん、「市場原理主義」的に言うと、せどらーも、転売ヤーも「悪いヤツ」ではない。市場のゆがみから生まれた必然的な存在でしかない。
とはいえ、ぼくが読みたい本を「カネにしたいだけ」のやつにかすめとられることを苦々しく思っていた。
でも、最近、ちょっと考えた変わってきたのである。
もしかすると、ブックオフオンラインは、「せどらーをメイン顧客する」というビジネスモデルなのではないだろうか。
ぼくがブックオフオンラインを利用するのは、せいぜい月に一回か二回である。そういう客だけであれだけ薄利多売のオンラインストアは成り立たないのではないだろうか。
ブックオフオンラインはせどらーがどんどん買ってくれるから成り立っているのかもしれない。どんどん買い入れれば当然売れない本も出てくるだろう。つまり、在庫リスクを背負ってブックオフオンラインのメイン顧客をやってくれているのではないか。そう考えると、ブックオフオンラインの上得意はせどらーであり、ぼくのほうがコバンザメなのではないかと思うようになった。
まあ、なにごとも考えようなので、腹が立たなくなったのは良いことだ。