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ドイツの敗北は、必然?W杯1戦目の日本の勝利から考えてみた、ドイツが失ったもの。

 
 2022年11月23日、カタールW杯グループEの日本vsドイツが行われた。

 結果はご存知の通り、2-1の逆転勝利で日本が大金星をあげた。

 今回は、その日本の勝利の要因を、多角的に見ていこうと思う。

戦術面に関しては

 日本も、ドイツも、最初はいつも通りのシステムで入り、前半は完全に
ドイツのペース。PK1点のみの失点に抑えることができたが、複数失点で、勝負を決められてもおかしくはなかった。

 後半から、日本は3バックにして、ある意味「奇襲作戦」でドイツを混乱させ、攻められるも2点を勝ち取り、勝利を挙げたという形になった。

 これは、5バックにしたことで日本の守備のタスクも明確になったり、
ドイツは日本に対してどう守る、攻めるかのタスクが不明瞭なまま、
点が奪えず、2失点もし、試合が終了したと私はみる。

 この戦術に関しては、もっと詳しく解説している人がいるので、他を参照してほしい。

失ってしまった、ゲルマン魂

 

ゲルマン魂とは

 これが、今回の私が最も強調したいものになる。

 ゲルマン魂とは?と聞かれそうだが、明確に定義されている言葉でもない。

 ここから先は、私なりの解釈になるのだが、聞いてほしい。

 ドイツの国民性として、「勤勉である」ということで有名だ。着実に成長し続けている、ドイツの経済などを見ても分かる。

 また、歴史的に見てもドイツ帝国などで、ヨーロッパを支配してきたり、世界大戦も戦ってきた。

 「勤勉である」が故に、「作戦を着実に遂行する」ということと、
 地政学的に国に囲まれていて周りに敵がいる、「勝たなければ生き残れない」という大陸国の宿命を背負っている。

 これらの特徴を評して、ドイツの人が持つスピリットを、ゲルマン魂
呼んでいるのではないか。

 日本の武士の精神を「大和魂」と呼んでいることに似ている気がする。

今のドイツ代表が失ったとは、どういうことか

 2014年ブラジルW杯を思い出していただきたい。その年、ドイツは優勝したのだが、忘れもしない、準決勝。

 ブラジル代表と戦い、7-1という大差でブラジル代表を下したのだ。

 当時のブラジルは、自国開催でブラジル国民にも大きな期待がかかっていた。

 しかし、そのブラジルのショーを圧倒的大差で終わらせてしまったのが、ドイツ代表だ。

 ドイツ代表は、何点とっても手を緩めることはなく、1失点はしたものの、終始ブラジルを圧倒し続けた。

 どんな相手にも手は抜かない、それがサッカードイツ代表のゲルマン魂だ。

カタールW杯でのドイツ代表は

 今回の初戦で、手を抜いた訳ではないと思う。

 前回、ロシア大会の失敗も踏まえて、初戦は落としてはいけないという教訓を得たのでから。
 そのロシア大会のときも、ゲルマン魂を失ったと揶揄されていたのだから。

 2014年の時、代表のコーチをしてW杯を制覇し、
2020年ではドイツの強豪バイエルンでCLを獲った、
現ドイツ代表監督ハンジ・フリックは、この大会での目標は、「優勝だ」と声を大きくして言っている。

 そのため、チームも一丸になっているに違いない。

 ただ、2014年の優勝を知り、今回も選ばれているのは、
ミュラー、ノイアー、ゲッツェの3人のみだ。

 ゲッツェは決勝でゴールを決めたものの、まだ当時は若手でチームを牽引する存在ではない。

 ミュラー、ノイアーは当時から主力で活躍していた。

 ミュラーは、相手の嫌がるポジショニングをとったり、ゴールへの嗅覚に長けており、
 ノイアーは、後ろから守護神として、ゴールを守っていた。

 しかし、一角であるミュラーが途中交代で抜けてから、日本に流れが来たということが事実としてある。
 ピッチ上にノイアーはいるものの、フィールドプレイヤーで、しっかりと舵取りすることのできる人間が必要だったのかもしれない。

 かつての、フィリップ・ラームのような存在が。

 2014年のドイツ代表キャプテンであった彼は、当時のドイツ代表、バイエルンを牽引して、最強のドイツを作った功労者であった。

 幾多の選手も、彼を最高のキャプテンと称し、
当時指導をした監督のペップ・グアルディオラですら、「指導してきた選手の中で、最高の一人」と褒め称えている。

 彼の存在こそが、ドイツ代表の強さを体現したいたのかもしれない。

残り2試合のドイツ代表は、どう建て直すか

 引退してしまった選手のことを、嘆いてもしようがない。

 それでもまた、すぐに試合はやってくる。

 優勝を知るミュラー、ノイアーから他の選手に、この『ゲルマン魂』を伝承できるかが、世代交代を図るドイツ代表の注目ポイントになるかもしれない。

敵ながら天晴れである、「最後まで徹底的に嫌なことをする、ドイツ代表」をまた見たい。

 ドイツ代表が、次に戦うのは「無敵艦隊」スペイン代表だ。

 スペイン代表は1節で、コスタリカ代表に7-0と、
かつての2014年ブラジルW杯の準決勝のドイツのように、徹底的に相手を負かしている。

 このスペイン代表も、その名にふさわしい活躍をしているので、ドイツとの対決には要注目だ。

最後に日本のグループリーグ突破は厳しくなるかも?

 日本もグループ突破を楽観視できる状況にはないと思う。

 ここから2連敗する可能性も十分にあり得る。

 また、次戦のコスタリカ代表に勝てても、ドイツ対スペインで、ドイツが勝つと、スペインは勝ち点3を取りに本気で来る。

第2節終了時点で、
日本勝ち点6、ドイツ勝ち点3、スペイン勝ち点3、コスタリカ勝ち点0

この状況になった時が、一番まずい。

前述の通り、スペインは本気で勝ちにくる。
また、ドイツも格下のコスタリカ相手に、スペインと同様の得点差で勝つかもしれない。

そうなると、下の図を見てほしい。

まさかの突破ならずという、シナリオ

ここでは第2節を日本対コスタリカ 1-0で日本勝ち
       ドイツ対スペイン  1-0でドイツ勝ち

    第3節を日本対スペイン  0-3でスペイン勝ち
       ドイツ対コスタリカ 7-0でドイツ勝ちとして計算している。

これが、机上の空論でサッカーは何が起こるか分からないことは、十分に分かっている。

しかし、破れたドイツ代表を、コスタリカ代表を侮ってはいけない。

このワールドカップは国を背負って、戦う戦士たちの熱き闘いなのだ。

だから、私も最後まで日本代表を応援し続ける。



引用:日刊スポーツ 写真ニュース カタール2022より
2022年11月25日閲覧
https://www.nikkansports.com/soccer/qatar2022/photonews/photonews_nsInc_202211240000035-1.html

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