私がガチ恋さんを避ける理由【後編】
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人によっては酷く不快になる恐れがあります。
ご自身の責任の上でご覧下さい。
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3/17 12:00 頂いたご質問を元に大幅に加筆しました。
前編はこちらから。
自立している人の特別な存在になれている特別な自分
矢島先輩とのデートから随分経った。
以前に比べて矢島先輩が
部活に顔を出すことは減ったが
連絡は毎日取っていた。
徐々にパーソナルな話もするようになったある日の夜
「実は、人が怖いんだ」
という言葉をきっかけに矢島先輩は
自分の弱さを私に話すようになっていた。
年上の男性の
人に言えない弱い話を話せる相手
になれている自分に酔って
日々、矢島先輩の話に
耳を傾けては
優しい言葉をかけていた。
私と矢島先輩が部活外で
親しくしていることは
誰にも知られていないだろう。
そして知られちゃいけない。
だって弱い矢島先輩のことは
誰にも知られちゃいけないんだ!
私は矢島先輩にとって
特別な存在なんだ!
とヴェルタースオリジナルを舐めながら
ニヤニヤしていたある日の部活中。
二つ上の祐介先輩に
「ふうか、矢島先輩とできてるの?」
と聞かれた。
まさかの質問に驚き
「え、そうなんですか?」
とわけのわからない返事をしてしまった。
「矢島さん最近よく顔出すし
何かあったのかなーって思って
様子見てたんだけど
ふうかの方よく見てる気がして。」
なにやっとんじゃあの人。
と心の中でツッコミを入れ
「そうなんですね。
ふうかが愛しいから狙われてますね。
祐介先輩、何かあったら
絶対責任取ってくださいね。
約束ですからね。」
「やかましいわ!」
と笑いに変えて誤魔化した。
しかし
その約束がまさか必要になる時が来るとは
夢にも思わなかった。
事件は自宅で起きた
そして誕生日を迎えた。
何事もなく平和に1日が過ぎ
今日は家で
イチゴのケーキが食べれるぞ〜
と浮かれて帰路に着いた。
家に帰ると母が普段は絶対見せない
怒りの表情を露わにして
私をリビングに引き入れた
「矢島って誰!?」
「えっ!?」
何で母が矢島先輩のこと知ってるの?
寝てる隙に何か見た?
冷静さをなくした頭で
有る事無い事いろいろ考えていたら
母がリビングの隅を指差した
「これ何!?」
そこには大きな段ボールに
あのリラックマがうなだれた状態で積まれていた
「あっ…」
私はそこでようやく状況を理解した。
スタバで話したこと
「誕生日当日は平日だね。
これじゃ直接渡せないな。」
「じゃあ住所伝えとくんで
当日必着で送ってください!(笑)」
「うわ〜、それなんか寂しいな〜(笑)」
と言いつつも、矢島先輩に住所を伝えていた。
矢島先輩は本当に誕生日当日に
プレゼントを送ってくれたのだ。
そんなことを知らない母からすれば
見ず知らずの男から
娘の誕生日当日に
でっかいクマが送られてきた
これを異常事態をと捉えずにはいられない。
すぐに理解などできるはずがない。
まして
住所という個人情報を知られていることから
何か盗聴器でも仕掛けられているんじゃないか
とありもしない恐怖で震えていた。
「なんて軽率に個人情報を人に伝えるんだ!
こいつは誰だ!!」
と強く叱られた。
「部活のOBで…」
「いつもよくして頂いて…」
いくら説明しても
母の怒りは収まらなかった。
私一人ではもう
どうしようもないと思い
泣きながら祐介先輩に電話をした。
「祐介先輩、本当にすみません。
助けてください。」
幸い、祐介先輩は近所に住んでいたので
すぐに駆けつけてくれた。
玄関前で待っていると
祐介先輩は車で現れた。
これまでの経緯を説明したら
やっぱりか、とため息をついた。
私にはそのため息がとても重かった。
祐介先輩の次の言葉を聞き
私は衝撃を受けた。
「矢島さん、こういうの
初めてじゃないんだよ」
聞くところによると
矢島先輩は以前にも
部活の後輩の子に好意を寄せ
ストーカーまではいかないけど
執拗に連絡を取ったり
デートに誘ったりしていたらしい。
そのうちの一人は
雰囲気が私に似ていたため
祐介先輩は気をつけて見ていてくれたそうだ。
「ふうかならしっかりしてるし
そんなことないだろうと思ってたけど
…ごめん
もっと早くこのこと伝えてればよかった
あの人、恋愛下手すぎるっていうか
弱すぎるんだよ…
とりあえず、お母さんに話つけてくるから
ふうかはここで待ってて」
そう言って祐介先輩は母の元に行った。
祐介先輩が責任を感じる必要は一切ないのに
謝らせてしまった。
私だけが知っていると思っていた
矢島先輩の弱さを祐介先輩は知っていた。
色んな事実が一気に押し寄せ
一人で呆然としていると
「ふうちゃん!」
と私を呼ぶ女性の声が聞こえた。
声の主は最も信頼している
さつき先輩だった。
「祐介から連絡あって来たよ
大丈夫?怪我とかない?」
色んなことを相談して
姉のように慕っていた先輩に
まさかこんな心配をかける日が来るなんて。
私はただただ情けなく
さつき先輩に謝り続け
泣き続けるしかなかった。
しばらくすると
祐介先輩がクマを抱えて
家から出てきた。
「もう大丈夫だから。
あとはこっちで話つけるから。
ふうかは家に戻って。
こいつは俺から矢島さんに返す。
それでお母さんの了承を得た。
異論はないな?」
「はい…すみません…
本当にすみません…」
「ふうかは悪くない。
ただ、自分の軽率な行動で
周りの人を巻き込み
信頼を失うことになる失敗があったこと
は絶対に忘れるな。」
「はい…祐介先輩、すみません…」
「ふうちゃん、大丈夫だからね
今日はゆっくり休んで
明日はこれそうだったらおいで」
「はい…さつき先輩、ありがとうございます…」
クマはトランクに積まれ
祐介先輩とさつき先輩は
話があるから、と
二人で近くのサイゼに向かった。
家に戻ると、母は怒りが落ち着いたようで
「このご時世何があるかわからないんだから
気をつけなさいね。
いい先輩がいてくれてよかったじゃない。」
と言ってキッチンに向かい
シチューの鍋に火をつけた。
それ以来
矢島先輩から連絡が来ることはなく
部活に来ることもなくなった。
大人になれない僕らの強がり
数年後
相変わらず祐介先輩とは仲良くしていて
年に一度は顔を合わせては
馬鹿話をしていた。
お酒を飲めるようになった私たちは
その日
個室居酒屋に来ていた。
「え、祐介先輩なんすか、
今日は口説きに来たんですか?」
「ふうかに限ってそれはない」
「えー!!ひどいーーー!!!」
久しぶりに会っても昔から変わらない
祐介先輩とのそのやりとりに安心し
ひとしきり互いの近況報告をし
だいぶお酒も進んだ所で
「ふうかに言おうか迷ってたことがあるんだけど」
と神妙な面持ちで切り出す祐介先輩。
ふと嫌な予感がした私は
私は梅酒のロックを飲みながら
「お、そろそろ愛の告白ですね!
待ってました!」
と両手を広げてオーバーリアクションをすると
普段だったらすかさずツッコむ祐介先輩は
「あー、緊張するな…
ちょっとトイレ行くわ…」
と言いホットのお茶を二人分頼んでから
席を外した。
お茶が席に届くと同時に
祐介先輩は席に戻ってきて
一口お茶を口に含んだ。
先程までの明るい空気はなくなり
きっと重い話だ。
と思うと酔いを醒まそうと思い
梅酒を置いて
お茶に口をつけた。
インスタントの薄い煎茶の味がした。
そして真剣な表情で祐介先輩は
あのさ
と口を開き、その言葉を口にした。
「矢島さんが、自殺した。」
「…へー」
その言葉をひねり出すまでに
どれほどの時間がかかったか
私にはわからなかった。
人の心の核になってはいけない
人の死
に向き合ったのは
祖父と祖母が亡くなって以来だ。
かつて
少しでも心を通わせ
弱さを共有した。
そんな人の死は初めてのことだ。
あまりにも突然のことで
言葉が出なかった。
祐介先輩曰く
その後も何人かの女性と
恋愛をしたらしい。
そしてその中で
大きな失恋を経験した
そのすぐ後の出来事だったそうだ。
遺書が近くで見つかり
『自分がいることで
これ以上いろんな人に
迷惑をかけてしまうのが
もう耐えられなかった』
という趣旨のことが書いてあったらしい。
その話を聞いて思ったことは
「私じゃなくてもよかったんだな」
ということだった。
もし仮に矢島先輩と深い仲になって
支え合う関係になろうと努力しても
当時の私はきっとその重さに耐えられず
共倒れになるか
矢島先輩から逃げて
一人にしてしまったと思う。
あの時の私は
矢島先輩を支えきれる自信がなかった。
もしかしたら
かつて矢島先輩に好意を寄せられた
他の子もそう思ったから
離れていったのではないか
と答えを受け取れない問答をしていた。
人という字は支え合って成り立っている
という有名な一節があるが
支え合うことを前提にした関係は
非常に脆い。
自立している同士だからこそ
支え合うことによって
より強い力を発揮出来る。
矢島先輩という人は
それが望めない人だった。
人は、弱い。
そう思うようになったのは
この時からだ。
これは一つの例だが
ソープ嬢や愛人をしている友人に話を聞くと
大きな会社の社長さんほど
変わったプレイを要求するそうだ。
多くのしがらみやプレッシャーという
日常からの乖離の為には
頭が真っ白になる時間が必要なのだろう。
しかしそれは
誰にでも必要な時間ではないか
と思っている。
そしてその乖離の為の場をどこにするかは
お客様次第だ。
選択肢は多いに越したことはない。
なぜならそうすることで
依存を防げるからだ。
だからこそお客様の選択肢の一つとして
メンズエステ
そして
自分を大切にしてくれる魅力的なセラピスト
が必要なのだと思っている。
メンズエステの存在意義
お客様にとってメンズエステは
どう存在するべきか。
常に私が思っているのは
メンズエステとは
すべてのしがらみから解放され
一人の人間として大切にされる時間
を得るための場所。
これは私個人の見解で
信念でもある。
日常から切り離された状態で
自分自身が気持ちよくなることが許され
自分自身が一番大切にされ
そのことだけに集中する場所。
それを追求すると
深いリラックス状態に
お客様を導くことができる。
そう意識しながら施術と向き合っている。
しかし、
絶対に気をつけなければいけないのは
その心理状態で終わらせないこと。
必ず帰るべき場所に
いつも通りの形に戻して
帰らせてあげること。
そこまでが我々の仕事だ。
ディスニーランドの中では
耳が付いたカチューシャをつけ
まるで魔法にかかったかのように
普段出さないような声を出して
アトラクションを楽しんで
普段溜め込んでいるものを
発散させるが
そこを出る時にはみんな
耳が付いたカチューシャ外し
そして現実に戻っていく。
またあの楽しさを味わいたい
そのために仕事や学校を頑張ろう。
その一連の感情の変化と同じことを
接客の中でも行っていくのだ。
アトラクションも
毎日乗っていては飽きてしまう。
その楽しさを思い出し
たまに乗るから面白い。
当たり前の場所ではなく
たまに行くからときめきがある。
私たちは夢を見させてあげるのだ。
夢だからこそ憧れ
憧れだからこそ会いたくなる。
大人のための夢の国
としてのメンズエステは
必ず最後
現実に戻してあげる。
そして自分のことを
思い出してもらえるように
少しのお土産を心に
持たせてあげるのだ。
少しのお土産とは?
それをここで話すと長くなる。
ぜひ今度話を聞きに来て欲しい。
あなたが変わりたいなら
私はいくらでも武器を差し出そう。
ガチ恋見込みの人ををガチ恋にさせない
話を戻そう。
矢島先輩と私は近づきすぎた。
その為に矢島先輩にとって私は
依存先になってしまった。
これを私はガチ恋状態
と認識した。
ガチ恋状態は相手を好きなあまり
自分の一方的な感情を押し付けがちになる。
受け取る側が押しに弱ければ
接触回数が増えたり
必要とされていることにより
相手を傷つけまいと思うあまり
深みに落ちてしまうこともある。
これがいわゆる
病む
ということの
原因の一つだ。
もし、相手に対して
自分が恋愛的好意を持っていない状態で
目先の利益のために
相手をガチ恋状態にしてしまうのは
恥ずべき愚かなことだ。
相手から向けられたその好意に対し
責任が取れないなら
絶対に線を越えさせてはいけない。
そうさせない為に必要で
当時の私にできなかったことは
線引き
である。
矢島先輩のことがあって以降
ガチ恋さんを生むことは罪だ
と思っている。
ガチ恋にしまった原因は
線引きができなかった自分
にあるからだ。
先ほどの夢の国の話で例えれば
矢島先輩に
現実世界でもずっと
耳の付いたカチューシャを
つけさせる呪いをかけてしまったのだ。
何度も言うが
責任が取れないのなら
ガチ恋にさせてはいけない。
矢島先輩のことは
好きか嫌いかで言えば好きだった。
だがしかし
異性として好きかといえば
それは違った。
その結果
周りの人を巻き込み
振り回し
多くの迷惑をかけてしまった
周りに対する思いやりが足りず
自分勝手と言われても仕方がないし
そのように言われて当然だと思う。
考えの足りない愚かな自分の言動によって
最も傷ついたのは矢島先輩だろう。
依存先を失った矢島先輩は
私のことを恨んだと思う。
言われた通りのプレゼントを用意して
言われた通りに送ったが
それを思わぬ形で突き返された。
どうしてそうなった?
自分は何を間違った?
ずっと問い続けていたかもしれない。
私の自分勝手な提案と
相手を思いやれなかった
未熟さによる巻き込まれ事故だ。
間違いなく矢島先輩を傷つけた。
私は向けられた好意に対し
自分の利益を一番に考え
軽く扱ってしまったのだ。
私は矢島先輩の好意に気づいていて
それを自分の都合よく利用していたのだ。
非常に愚かなことだ。
本当に恥ずかしいと思っている。
私の中で好きの気持ちが生まれる瞬間
私は尊敬の気持ちが生まれるときに
相手に対して強い好意が生まれる。
そこに年齢の縛りはない。
これは余談だが
かつて師と仰ぎ尊敬していた方から
「年下こそ尊敬し学びを得て
そして今より魅力的な人になるために
彼らの知らないことを与え
今の自分を超えてもらう様にしなさい」
との教えを頂いたことがある。
これはとても目からウロコだった。
自分にとって学びになる人。
自分の知らない世界を知っている人。
自分の興味関心を刺激してくれる人。
そんな人が私は好きだ。
そんな中でも特に惹かれるのは
芯を持って自立している人。
自分の人生観
自分の仕事観
これが明確にある人。
そこから恋愛に発展するかどうか。
自立し依存せず
しかしその中にある脆さ
そんなものを垣間見た時に
応援したいな
と思い抱きしめたくなる。
心の機微に触れた時
私はその人に強く惹かれるのだと思う。
矢島先輩は
自立ができていなかった。
あまりにも早い段階で
自分の弱さを見せたのは
自分に自信がなく毎日不安で
心の核になる存在を求め
優しい言葉にすがりたかった
からではなかろうか。
もし矢島先輩が生きていて
同じアクションを起こしたなら
私は異性としての線を
越えられないために
こう言うと思う
「話を聞くことはできるけど
自分の足で立つ勇気も
大切だと思います」
依存先を探してジプシーを続けていた
矢島先輩に同情する。
しかしそれは
自分の足で立つ
ということから逃げ続けた
結果なのかもしれない。
逃げずに立ち向かうことが
人として成長するための
一つの通過点なのだと思う。
きっと矢島先輩に必要だったのは
自分の足で立つことを支援してくれる存在
だったのではなかろうか。
ただ
依存先になることは
やはりできないが
支援する人、つまり
自信を失ってしまった時に
自分自身の頑張りを認められ
大切にしてもらえる甘えたい場所
にはなれると思う。
改めてメンズエステとは。
メンズエステとは
依存する存在になってはいけないが
自信を失ってしまった時に
自分自身の頑張りを認められ
大切にしてもらえる甘えたい場所としては
大いにその役割を全うできると思う。
近年、癒しフェア
が大きな盛り上がりを見せている。
早いインターネットの情報と
便利な物にあふれた現代で
人々はとても疲れきっている。
そしてそれが当たり前になってしまい
疲れを疲れと感じなくなっている。
だからこそ
ゆったりとした時間と
暖かなオイル
肌と肌が触れ
そこから心に触れ
人間味を感じることができる
非日常のメンズエステ
こそ
究極の癒しの世界
であり
現代人に必要なもの
ではなかろうか?
会者定離に溢れるこの世界で
少しでも素敵な出会いを
そして素敵な時間を過ごしたい。
一人一人を大切にして
最初から最後まで
互いを大切にし
尊敬しあい
深いところでリラックスしあえる
そんなメンズエステが
これからさらに増えていけばいい。
私はそう願っている。
最後の場所をなぜ車にしたのか
「あの車で山に行って練炭で自殺したんだって」
祐介先輩は最後にそう付け加えた。
矢島先輩が出会った当初
山梨にほうとうを食べに行った
という話をしていたのを思い出した。
きっと矢島先輩にとって
車は絶対に裏切らない
依存先で
かっこいい
と言われ続けた
自信の象徴だったのだろう。
だから車の中で最後の時間を過ごすことを
決めたのではなかろうか。
依存というのは
合法の麻薬だと思う。
最後に
これからも私は
いろんなお客様とも
いろんなセラピストさんとも
出会うだろう。
私は
依存先にはならず
自信を失ってしまった時に
自分自身の頑張りを認められ
大切にしてもらえる甘えたい場所
として存在し続けたいと思う。
一人でも誰かの心が
楽になる存在になれますように。
これからもその術を
追求していくのだろう。
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もしよろしければ
引用リツイートやDMで
考えたことや感想を頂けたら嬉しいです。
こんなに長い話を
最後まで読んで頂き
本当に有難うございます。
あなたのセカイが少しだけ動きますように。
ふうか
普段はこんな記事を書いてるよ!
\メンズエステで指名されるセラピストになる方法はここ!/
\ #ふうかの施術 体験談はここ!/
いただいたサポートは全て 勉強にあてさせていただきます。 あなたのサポートがわたしを育て わたしの周りの方の知識と経験になります。 応援ありがとうございます! ※近日中に個別でお礼のメッセージをお返しします