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【無線機】Quansheng UV-K6の広帯域受信機化

都内でITエンジニアをしている ゆる写 です。
今日は怪しい中華ハンディ無線機Quansheng UV-K6(以降、無線機)の2台目が届いたので広帯域受信機化の記録を残していきます。


はじめに

UV-K6を含む中華無線機は日本のスプリアス規制では違法となるため、特殊なフィルターを装着する必要があります。スプリアスとは、無線設備から発射される不要な電波(スプリアス)のことで、スプリアスによって他の通信機器に影響を及ぼすため日本の電波法ではスプリアスの強度に規制をかけています。中華無線機はこの規制を超える強度のスプリアスを発射するため日本国内で使用すると違法となるわけです。本記事ではオリジナルのファームウェアを有志によるカスタムファームウェアで上書きして広帯域受信専用機に改造します。

注意

カスタムファームウェアに書き換えたからといって適切な設定をしなければ受信専用になりません。デフォルトではどのファームウェアも送受信ができる状態になっています。

用意するもの

充電済みの無線機本体

箱の外見
箱の中身
  • ハンディ無線機本体

  • リチウムイオンバッテリー(裏蓋兼用)

  • ストラップ

  • アンテナ

  • クレードル(プラグはAmerican)

  • ユーザーズマニュアル(TWO-WAY RADIO)

これが日本製だとクレードルが別売りだったりするんですよね。

クレードルにバッテリーをセットした無線機本体をセットし充電を開始します。このときアンテナの取り付けは不要です。誤って電波を発しないように念のため外しておきます。
クレードルのランプが赤 > オレンジ > 緑に変わったら充電完了です。
しばらくかかります。

充電中

プログラミングケーブル

無線機のファームウェアを書き換えるためにはプログラミングケーブルが必要です。また、ファームウェアメモリ管理ソフト(CHIRP-next)でメモリの書換えやバックアップでも使用するため必ず購入してください。

Windows 10以降のPC

ファームウェアのみを書き換えるのであればWindows 7でも可能ですが、Windows版のCHIRP-nextがWindows 10以降を要求しているためWindows 10以降のPCを用意してください。

カスタムファームウェア

今回はIJV Firmwareのv3.40に書き換えます。他のファームウェアは各ファームウェアの配布サイトを確認したうえで自己責任でお願いします。

下記のサイトにUV-K6/K5で使用できるカスタムファームウェアがまとめられています。

IJV Firmware v3.40のダウンロード
https://www.domox.org/?file=firmware_IJV_V3.zip

ダウンロードしたZIPファイルから firmware.N3.40.bin を取り出してください。本体を分解してEEPROMを交換している場合は、対応した firmware.X3.40.bin を取り出してください。
本記事では無改造のUV-K6を使用しています。

無線機の各部名称

カスタムファームウェアへ書き換えを行う前に無線機の各部名称を抑えておきます。本記事ではUV-K6ですが、UV-K5、UV-K5 (8)でも同じです。

UV-K6(正面)

キーパッドの各ボタンは短く押すと左半分に印刷されている文字を入力し、長押しで右半分に印刷されている機能を呼び出します。

UV-K6(サイド)

サイドキー1/2も短く押す、長押しで異なる機能を呼び出します。
なお、サイドキーは呼び出す機能をカスタマイズすることが出来ます。

UV-K6(トップ)

カスタムファームウェアへ書き換え

書き換えはChrome等のブラウザから UVTools を利用して書き込みます。他のファームウェアに書き換える際も特定の物(日本語化ファーム)を除いて同じように出来ます。

UVTools
https://egzumer.github.io/uvtools/?firmwareURL=https://github.com/egzumer/uv-k5-firmware-custom/releases/download/v0.22/egzumer_v0.22.packed.bin

 ブラウザで開いた直後のUVTools

Browse をクリックして、ZIPファイルから解凍した firmware.N3.40.bin を指定してください。

UVToolsにfirmware.N3.40.binを読み込ませたところ

プログラミングケーブルと無線機をPCに接続し、無線機のPTTボタンを押しながら電源を入れます。無線機上部の白色LEDが点灯した状態になっていることを確認し、Flash firmware ボタンをクリックします。

無線機のヘッドホン&マイクのゴムの蓋を開け、プログラミングケーブルを奥までしっかりと差し込みます。最初は結構硬いです。

プログラミングケーブル
奥までケーブルを差し込んだところ
LEDが点灯している状態で起動したところ
シリアルポートへの接続を要求される

ダイアログが開いてシリアルポートへの接続を要求されるので USB Serial Port (COMn) - ペア設定済み を選択し、接続ボタンをクリックします。
Flashing firmware…
Flashing… 50%
と表示が始まれば成功です。
ファームウェアの書き込みは数分を要します。
書き込みに失敗(Unusual error occured, check console for details.)した場合、何度かケーブルの抜き差しと無線機の電源を入れ直してみてください。

無事書き込みが終わったところ

Successfully flashed firmware.
が表示されていれば書き込みに成功しています。
PCと無線機からプログラミングケーブルを外して無線機の電源をOFFにしてください。

無線機の設定

ここからが大切な設定です。必ず行ってください。まだ無線機にアンテナを付けないでくださいね。

無線機のリセット

ファームウェアを書き換えた直後(同じファームウェアのバージョンアップを除く)は必ず無線機をリセットしてください。

サイドキー1を押しながら(SERVICE ONで)無線機を起動します。
通常起動と違いメニューの項目が増えます。

起動直後

メニューボタンを押し、キーパッドで 5 7 と押してRESETメニューに移動します。Up/Downボタンでも同様に移動できます。
初期設定はVFOが設定されています。

RESETメニューに移動したところ

メニューボタンを押してRESETメニューを編集します。

RESETメニューを編集

Up/DownボタンでALLを選択し、メニューボタンを押します。

Up/DownボタンでVFO → ALLに変更したところ

RESET ALL SURE?(リセットは大丈夫?)と聞かれるのでメニューボタンを押します。

RESET ALL SURE?(リセットは大丈夫?)

インジケーターが緑色に等間隔で点滅しながら無線機をALLリセットします。約1分ほどでリセットが終わり、通常起動します。

無線機のALLリセット中

以上で無線機のリセットは終わりです。
無線機の電源をOFFにして次へ進んでください。

送信を無効にする

次に送信機能を無効にします。無効にする理由は先に書いたとおりです。
まだアンテナは付けないでくださいね。もう少し待ってください。

サイドキー1を押しながら(SERVICE ONで)無線機を起動します。
通常起動と違いメニューの項目が増えます。

起動直後

メニューボタンを押し、キーパッドで 6 6 と押してTxp ENメニューに移動します。Up/Downボタンでも同様に移動できます。
初期設定はON(送信有効)が設定されています。

Txp ENメニューに移動したところ

メニューボタンを押してTxp ENメニューを編集します。

Txp ENメニューを編集

Up/DownボタンでOFF(送信無効)を選択し、メニューボタンを押します。

Up/DownボタンでON → OFFに変更したところ

EXITボタンを押してメニューから出ます。

次に送信出来ないことを確認します。
PTTボタンを押してスクリーンにTX DISABLE(送信無効)と表示されれば正しく設定出来ています。

TX(送信のこと)DISABLE(無効)

以上で無線機の広帯域受信化改造が完了しました。
無線機の電源をOFFにしてから付属のアンテナを付けてください。
ここまでお疲れ様でした。

IJV Firmware v3 Manual

各商品のリンク

Quansheng UV-K6

何種類かありますが本記事ではUV-K6を使用しています。

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プログラミングケーブル

ファームウェアの書き換えやメモリ編集で必要になるので無線機と一緒に購入してください。

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Walkie-talkiesイヤーピースアダプター

手持ちのイヤホンやヘッドホンを使いたい場合に購入してください。イヤホンジャックが一般的な3.5mmではなく2.5mmなため変換が必要になります。
なおモノラルなので左右で同じものが流れます。

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ではでは

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