NPO団体に対する大きな誤解〜私がSVP東京で学んだこと
私は2018年からソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(以下、SVP東京)のパートナーとして活動していますが、SVP東京がNPO法人であることを知ったのは、入会してしばらく経ってからでした(笑)。
それまで「NPO=非営利組織」であり、基本的にお金を稼ぐことはできないと思い込んでいました。しかし、NPO法人も収益を上げることができると知ったとき、正直驚きました。
それ以来、NPO法人とは何か、どういう仕組みで運営されているのか興味を持つようになりました。SVP東京の運営や支援先団体との協働を通じて、断片的には知ることができるものの、きちんと学ぶ機会がなかったため、改めて調べてみることにしました。参考にしたのは以下の書籍です。
このnoteでは、NPO法人に対する一般的な誤解とその実際の姿を、SVP東京で学んだ重要なポイントとともに紹介していきます。
1. NPOとNPO法人の違い
そもそもNPOとNPO法人は異なります。NPO(Non-Profit Organization)は、「非営利組織」を意味し、営利目的ではなく、社会的な活動を行う団体全般を指します。 町内会やボランティア団体など、法的な認証を受けていない非営利の組織も含まれます。
一方、NPO法人は、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づいて認証された法人です。NPO法では、20種類の活動分野が決められており、最低1つは該当する活動を行なっている必要があります。この法律によって、NPO法人は法人格を持ち、法的に認められた活動を行うことが可能です。
特定非営利活動促進法(NPO法)については以下をご覧ください。
2. NPO法人はお金を稼いでもいい
「非営利活動」とは「無償である」ことを意味するわけではありません。ボランティア自体も無償である必要はなく、「有償ボランティア」と言う言葉も存在します。
私が誤解していた部分もこのあたりにありますし、きっと多くの人が誤解しているところでしょう。 NPO法人はお金を稼いでもまったく問題ありません。寄付金や助成金だけでは、5万法人以上も存在するすべてのNPO法人をまかなうことができないので、むしろ稼いでください。
ことを意味します。これは、会社のように株主への配当や特定の人への分配を目的としていないことが前提です。
それでも、NPO法人の中には事業収入を得ることが難しい社会課題に取り組んでいたり、事業を拡大できるほど十分なリソースがないステージということもあります。そのような団体については寄付や助成金に頼る必要があります。
3. NPO法人のタイプ
NPO法人には、活動のスタイルや目的に応じてさまざまなタイプがあります。
ボランティア型: 主にボランティアの協力で運営される団体で、寄付や助成金を活動資金の中心としています。ボランティアには無償で活動するものと、有償で報酬を受け取る「有償ボランティア」も含まれます。
収益型: 自ら事業を展開し、得た収益を活動に再投資するタイプです。例えば、 学童保育や介護施設、 障害福祉関連の事業所などがあり、事業を通じて資金を得るモデルです。
広報窓口型: 自社の事業や活動を支援するための広報や集客の窓口としてNPO法人を活用するケースです。社会課題の啓発やイベントの企画・運営などがこれに当たります。
本業発展型: 企業がCSR(企業の社会的責任)の一環としてNPO法人を設立し、本業で培ったノウハウやリソースを活用して社会貢献活動を行います。この取り組みが、会社のブランディングや信頼構築にも寄与することがあります。
4. SVP東京はどのタイプ?
SVP東京は、おそらく複数のNPO法人のタイプが組み合わさった組織といえます。主に、パートナーからの年会費で資金を調達している点から、「収益型」の要素を持っています。一方で、社会課題への意識啓発や支援の促進といった活動を行うことから「広報窓口型」の性質も強いです。さらに、パートナーが自らのスキルや経験を生かしてボランティア的に支援活動に参加しているため、「ボランティア型」の側面も持ち合わせています。
SVP東京のように、単一のタイプに限定されず、複数の要素を組み合わせたNPO法人は、柔軟性と持続可能な運営を実現することができるのかもしれません。このような複合的な特性により、社会課題に対する多様なアプローチが可能となり、より幅広い社会貢献を行うことができます。
5. SVP東京のパートナーとは?
NPO法をみると、「不特定多数の利益の増進に寄与すること」と規定されています。SVP東京は入会制のNPO法人であり、パートナーとして入会した人たちに支援やサービスを提供しています。この点で、一見すると特定の人に限った活動をしているように見えますが、実際にはその活動を通じて社会全体に利益をもたらすことが目的です。
NPO法における「社員」とは、社員総会で議決権を持つ人を指し、NPO法人の構成メンバーとしての役割を持ちます。NPO法人は、設立に際してさまざまな種類の会員(例えば、正会員、賛助会員、一般会員)を自由に設定することができますが、その中で「社員」としての位置づけが重要になります。
SVP東京の場合、年間10万円の会費を支払う「正会員(パートナー)」が社員とされ、社員総会での議決権を持ちます。この議決権を通じて、SVP東京の運営や方向性に関わる意思決定に参加できます。
また、会費の金額についても、適切な設定が求められます。金額が不当に高額になると、NPO法上の「不特定多数への利益提供」という要件を満たさないとみなされ、入会制限として問題視される可能性があります。SVP東京では、適正な会費を設定することで、活動の透明性と公平性を保ちながら、持続可能な運営を実現しています。
6. 2024年投資・協働先団体
本日、SVP東京の2024年投資・協働先となる4団体が決定いたしました!
採択された4団体は、2024年10月1日より最大2年間、SVP東京のパートナーと共に社会課題の解決に向け事業を進めていきます。SVP東京は、お金のコミットメントだけでなく、パートナー個人の専門性を生かした時間の貢献や、一緒に汗を流すことを通じて、社会やビジネスのあり方に変化をもたらすことを目指しています。
私は、リカバリーの協働チームに参加して活動を始めています。NPO法人リカバリーは、依存症、精神疾患、暴力など、人生における様々な困難に直面した女性たちが、安心して自分の居場所を見つけられるようサポートする団体です。
7. SVP東京関連メディア
SVP東京関連のソーシャルメディアは以下の通りです。ぜひアカウントフォローをお願いします。