見出し画像

ウルトラマンブレーザー感想#2『怪獣って…かわいい!』

『ウルトラマンブレーザー』の第1話は素晴らしかった。結論から言うと、第2話、第3話も最高だった。

・・・・

 その前に、怪獣は可愛いという話をする。怪獣はかわいくて、いとおしい。
 怪獣は、ヒーローに対する悪役として配置されることが多い。しかし、ただの悪役には収まらない魅力を持っている。
『帰ってきたウルトラマン』にタッコングという怪獣がいる。風船のように丸い胴体にはその名の通りタコの吸盤が並んでおり、そこからはまるで申し訳程度に短い手足と顔が生えている。タコの触手を取っ払って最大限デフォルメしたような姿だ。抱くタイプのぬいぐるみが欲しい。
 また、タッコングは別に人間に悪意があるわけではない。タッコングが暴れる原因は地球の地殻変動や地殻変動としか劇中で語られていないが、オイルを食べる描写があったので食事のために街に現れたと考えるのが自然だ。だが、タッコングが現れるたびにコンビナートが大火災に見舞われる。そのため防衛隊やウルトラマンは彼/彼女を殺すことになる。それはどうしようもないとはいえ、怪獣が死ぬシーンは爽快感だけではなく、一抹の物悲しさを感じさせる。
 おそらく日本で最も有名な怪獣・『ゴジラ』にも同じことがいえるだろう。ゴジラは人類に死と破壊をもたらすが、もともとは核実験の、人類の所業によって生まれた被害者である。博士の犠牲の下ゴジラが海底に沈むシーンはやはり悲痛で、登場人物は誰も喜びはしない。命が奪われる瞬間はいつも悲しい。
 怪獣には生物としての愛嬌がある。そして人類にとって傍迷惑な存在ではあるが、彼らは彼らで懸命に生きている。だからこそ彼らは可愛く、いとおしいのだ。


「ヒルマゲントの元に集う精鋭たち。
 大海を割り出現した深海怪獣ゲードスを前に、特殊怪獣対応分遣隊の初陣が開始される!
 次回ウルトラマンブレーザー、『SKaRDを作った男』。結集せよ、志共にする者たちよ!」

ウルトラマンブレーザー第2話次回予告より抜粋

「新たなエネルギー源・液化ティーテリウムを貪り食う甲虫怪獣タガヌラー。
 刻一刻と迫る大爆発の危機を打破するため、23式特殊戦術機甲獣がそのベールを脱ぐ!
 次回ウルトラマンブレーザー、『その名はアースガロン』。戦士たちが駆るは、鋼の体を持つ獣」

ウルトラマンブレーザー第3話次回予告より抜粋

 第1~3話は2024年1月現在Youtubeで無料公開中です。ぜひ↓


 第1話はバザンガ襲来というシチュエーションに焦点を当てていたが、第2、3話ではブレーザーの世界の概観が語られる。そして主人公ヒルマ ゲントは、新設部隊『SKaRD(スカード)』の隊長となり仲間たちと怪獣災害に立ち向かうことになるのだ。
 特に2話のドラママシーンがクールでお洒落で大好きだ。台詞で説明しすぎず、くどい演出もなく、自然に隊員たちの人となりが頭に入ってくる。
 これは後に語ることとして、今回の主題は怪獣だ。

 第2話と第3話には三体の怪獣が出現した。
 一体目は深海怪獣ゲードス。魚をそのまま二本足にしたような怪獣で、地域の人間に海の魔物として恐れられている。
 二体目は甲虫怪獣タガヌラー。液化ティーテリウムという燃料を摂取する怪獣で、その二つ名の通り昆虫のような、ゾウムシに似たフォルムをしている。
 そして『23式特殊戦術機甲獣 アースガロン』。主人公が配属されることになる『SKaRD(スカード)』が運用するロボット怪獣だ。

 ゲードスとタガヌラーには、往年の怪獣がもつ愛嬌があった。ゲードスは魚介が好物で、襲った船のコンテナを海底であさったり、地上のかまぼこ工場に口を突っ込んだりする。そこを防衛隊に攻撃され、食事を邪魔されてまた被害を増やす。強敵と戦うときには頭上の触手をチョウチンアンコウのように伸ばし、ブレーザーが必殺技を出そうとすると逃げ出してしまう。特に触手のギミックはソフビにも搭載されていて、ぞりぞりぞり、と引き出す感覚がとてもキモかわいい。二話の放送が終わって、数年ぶりにおもちゃ屋に駆け込んでしまった。
 タガヌラーはぼーっと空を見ているような目が印象的な虫怪獣だ。そのとぼけた表情とは裏腹に、燃料タンクを襲撃すると体内温度が上昇し、しまいには大爆発の危機を引き起こす。ブレーザーがタガヌラーの表皮に触れるたび「アッツィ!」と声を上げるので、緊迫した状況なのになぜかおかしみがある。

 アースガロンは、その二体とはまた別種の愛くるしさがある。アースガロンはいわゆる味方枠の怪獣で、頻発する怪獣災害に対する切り札として用意した機動兵器という設定だ。
 ウルトラシリーズの防衛隊は伝統的に飛行機や戦車で怪獣に立ち向かっていたが、2020年の『ウルトラマンZ』からはロボット怪獣が人間側の兵器として登場するようになった。アースガロンは『Z』に登場するセブンガーの後輩である。
 アースガロンはこの番組の主力玩具のひとつでもあり、ミリタリーな外見とゴジラ型怪獣の愛らしさを備えた素晴らしいデザインだ。しかも目がにっこり笑ったり、ぐるぐるになったり。そして初陣を飾るのは荒々しい『ワンダバ』だ!!

 こんな素晴らしい怪獣が3体も!?しかもオープニング映像にはさらにたくさんの怪獣たちの姿が!?ていうかOPのサビをヒーローじゃなくて怪獣が飾るのマジで前代未聞じゃない!!!!??
 これは本当に怪獣を主役にしたウルトラマンが始まったらしい。オタクは気合を入れて土曜朝を待つことになった。


いいなと思ったら応援しよう!