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CA春田創一の孤独について
最終回から半年以上が経過した「おっさんずラブinthesky」だが、見たいときに楽しく見せてもらっている。
ただ最近、春田って孤独だなあ、と思うようになってきた。
常に明るくて前向きで仲間を思いやって仕事を一生懸命にやってる春田なのだが、他の人物と違う雰囲気を感じる。その感じたことについて少し書いてみたい。
おそらくおっさんずラブに新たに加わった人物に深みを持たせる為に、成瀬と四宮はそれぞれのメイン回で、家族が登場する。
成瀬はどうしようもない父親とその間を取り持とうとしてくれる妹。
四宮は離婚して10年会っていない元妻と息子。
春田は、亡くなった父親と最後の別れができるように成瀬の背中を押し、外国へ立つ元妻と息子に会えるようにやはり四宮の背中を押す。
微かな恋心や仲間としての想いを持ちつつ、春田は他人の為に行動している。
では、春田はどんな扱いをされているか。
第1話で武蔵と四宮が春田を好いていることが分かる。この2人は、春田の仕事のフォローをしたりご飯を作ってあげたりするのだが、最終回までの間、春田に告白をして諦め、ヒナや成瀬のことも考え、春田を好きでありつつ自分の想いに向き合うことに比重がおかれていて、春田の内面を理解して受け止めているように見えない。
この状況が、春田が孤独だと思わされる理由の一つ。
不動産編の春田が、母親と一緒に暖かみのある生活を作り上げていた実家を持ち、その雰囲気が春田の人物像の一部になっていた。
インザスカイの春田に家族の気配は全くない。ゆくくるSPで年末に実家に帰っていることが分かるが、実家について触れているのはこれが唯一だ。
春田の過去に関しても、私達に知らされているのは運動靴を作る会社で働いていたことと、高校時代にバスケ部だったことだけである。
バスケ部の後輩だったヒナは、不動産編のちずに近い役割かとも思われるが、やはり幼馴染みだったちずのような春田の一部を形作る存在までにはなっていない。
家と家族と過去が見えないことによる春田のやや薄い人物像が、春田に孤独感を感じるもう一つの理由である。
「インザスカイでの春田の存在は他の登場人物と比べて大きいので、春田の背景は描かなかった」というような内容のことを、脚本の徳尾さんが何かに書いていたと思う。
その狙いは成功で、確かにそうしたことで成瀬と四宮に立体感が出て、春田と対等に存在し物語が作られた。
続編があるとしたら、春田の人格を形成した家族や過去の話をぜひ加えて欲しい。
春田自身の物語を知りたいし、そうして厚みを持った春田は、武蔵や成瀬や四宮とまた新しい物語を作っていけると思う。