映画プリキュアオールスターズFの感想文
前置き
皆さんご存じ女児向けアニメ『プリキュア』ですが、私は今作の『ひろがるスカイ!プリキュア』にハマりしました。
故に映画を観て来ましたので感想を書き連ねたいと思います。
本題
ソラ・ハレワタールについて
まず『ひろがるスカイ!プリキュア』(通称「ひろプリ」)にハマった要因として、今作の主人公「ソラ・ハレワタール」の存在があります。
単純にデザインが好き、寒色系のイメージカラーが好き、活発な女の子のキャラクターが好きと自身の性癖を触発されたことが今作を見始めるきっかけになったのですが、事前情報で気になって見始めてもリタイアする作品は多くあります。やはりそれはデザイン性よりもキャラクター性の方が作品における比重が大きいからだと感じます。
つまり私はソラ・ハレワタールのキャラクター性に魅力を感じているということになります。
私の持論として「キャラクター性は過去に宿る」というものがあります。正確には過去の経験が現在のキャラクター性を形成しているということです。
ソラ・ハレワタールは事ある毎に「ヒーロー」と口にし、自身の目標を語ります。これは過去に青の護衛隊隊長シャララに助けられ、シャララ隊長に憧れを抱いた為です。この日からヒーローを目指した孤独な修行の日々を送り、友達のいない状態から始まります。そこから最初の友達となる「虹ヶ丘ましろ」と出会い、少しずつ成長していくのが今作の物語です。
つまりは友情を知らないソラ・ハレワタールが友情を獲得する物語といえます。
過去作を履修していない私にとってこの「友情」というテーマが『ひろプリ』のテーマなのか『プリキュアシリーズ』通しての一貫したテーマなのかは判断できませんが、ソラ・ハレワタールが「友情を獲得する」というテーマの体現者であることは間違いないでしょう。
またテーマを体現するにあたり「テーマから離れた状態で物語を始める」というのが定石ですが、「友情を裏切られた」というような複雑な人間関係を始まりとしていないところは低年齢層向けとして重要なところです。
加えてソラ・ハレワタールのキャラクター性である「快活・素直・天然・無知(異世界から来た事によるもの)」はすべて子供の一般的な要素に当てはまります。これにより共感のしやすさを押さえるのと同時に、これらは友情を得る上で物事を円滑に進めるのに役立つ性格だったりします。
ここから分かるのはソラ・ハレワタールは友情の獲得というテーマから遠く離れた存在ではないということで、つまり友情を「+」とするなら「-」の存在ではなく「±0」の存在であるということです。
友情に対し苦手意識などを持たず、その不器用さは経験値の無さという印象を与えます。私はそこに純粋さを見出し、それを魅力と感じているのだと考えられます。
またソラ・ハレワタールは当初から友情を求めてはいなかったが友情を得るだけの素質があり、テーマの方向性を内包するキャラクターと言えます。これはキャラクター自身がテーマを求めるという以外に、性格特性からテーマに向かう必然性がテーマの体現の説得力たり得るという事実を物語っています。
つまりソラ・ハレワタールが友情を獲得する事に視聴者は疑問を持たず、その後の展開へ円滑に移行できるという事です。そういう意味では前述から「友情の獲得」がテーマと言ってきましたが、「友情の獲得からの成長」がテーマの本懐なのかもしれません。あくまでも成長を描くのが主であり、獲得までの過程は円滑に行なうことを目的としているという解釈です。
映画について
さて、ソラちゃんについて少々語りすぎた気もしますが、ようやく映画についての話をします。
ひろプリからの新参者のためオールスター映画を楽しめるのかという一抹の不安はありましたが、結果として楽しめました。
まず構成として初めから戦っているのが良かったです。戦闘シーンや変身シーンはキャラクターを知らなくても楽しめ、特にアクションシーンの作画はどこを切り取っても魅力的でした。
またオールスターというもの自体が初体験でしたが、まとまりが良く随所にキャラの魅力が描かれていたこともあって制作陣の力量の高さが伺えます。
しかしながら一つの疑問があります。
タイトルの「F」って何?
映画を知った段階からの疑問でしたが作中でも触れられる事は無く、結局疑問は残ったままになってしまいました。
調べた所によると
・プリキュア同士の「友情(Friendship)」
・プリキュアの絆は「永遠(Forever)」
・20周年を記念した「祭り(Festival)」
などの意味があるとの事です。
友情…どこかで頻繁に聞きましたね。
本映画の物語も仲間を探す所から始まり、途中で出会った別のプリキュアと生まれる新たな友情やシュプリームとプーカとの友情の芽生えがテーマとして描かれていました。
一貫して友情や友達を意識する物語となっている為、やはり「友情」はプリキュアのテーマと考えてよさそうです。
本映画のテーマを言語化するなら「プリキュアの強さは仲間との友情の力」といった所でしょうか。
ともすれば友情の力を持たなかったシュプリームの強さとは一体…というのはあまり考えない方が良さそうですね。
最後に
本映画を観て一つ心残りとなったのは、やはりプリキュアを知らなさすぎるという点です。
「このキャラを知っていたらもっと楽しめそうなのに」と思う場面が多々あり、覚悟はしていましたがやはりもどかしさが残ります。
ただしシュプリームの攻撃を生身で跳ね返す初代の2人を観て「これが噂に聞くプリキュア(物理)か」と嬉しくなったもので、これは新参者特有の感動かなと思います。
今後ともプリキュアを楽しむ為に歴代シリーズの履修を視野に入れていますが、ふたプリ〜デパプリまでの通算は918話だそうです。
中々大きな沼に足を踏み入れたな私は。がんばるっきゃない。