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母国の星 Conor Bradley


Conor Bradley

Age:17 (July 9, 2003)

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今回は日本で初めてになるであろうリヴァプールU23に所属する"コナー・ブラッドリー"に焦点を当てたnoteを綴ろうと思います。
このnoteは私自身の処女作なので、多少のミスは大目に見て戴けると幸いです。
※間違いを見つけた場合はお伝え願います。
※拙い文章に御容赦下さい。


序文

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周りの面々よりも一回り細い体格。
それでも当たり負けず、走り負けないフィジカル。
簡単に剥がされない粘り強い対人守備。
ライン側を何度も駆け上がるスピードと体力。
右足から繰り出される高精度クロス。

北アイルランドからマージーサイドへ。
右SBを主戦場とする若者は人生最大のチャレンジに挑み、周囲が目を見張るほどの急成長を遂げている。

弱冠17歳の若者は既にU23の主力である。
更に最近ではトップチームの練習にも参加し、クロップからも高い評価を受けている。

将来、トップチームへの昇格が有力視されているアルスター地方出身の若者は一体、何者なのであろうか。

『コナー・ブラッドリーとは?』


リヴァプールと北アイルランドの繋がり

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1954年4月24日。

リヴァプールはブラックバーンに0-3で敗れ、49年間続いた1部リーグからの降格が決まった。この試合は、北アイルランドのウッドヴェイル出身のサニー・スミスにとって、レッズでの最後の試合となった。

29歳の彼は、週給15ポンドという当時の選手賃金の上限により、故郷のベルファストに戻って父の後継ぎとなることを決め、プロサッカー選手としてのキャリアに終止符を打った。

それから67年という長い年月が流れた。

しかし、サニー・スミスがクラブを去って以来、北アイルランド出身の選手は誰一人としてリヴァプールのピッチに立っていない。北アイルランドの夢を背負い、アカデミーで研鑽を積んだ若者は少なくないが、トップチームの試合に出場するという目標は達成されなかった。

一方で、ライバルのマンチェスターユナイテッドでは、この67年の間にジョージ・ベストを筆頭に、24人もの北アイルランド出身の選手が活躍してきた。

リヴァプールとは長らく縁のない土地だったのだ。
そして、そこに現れたのが新鋭のブラッドリーである。

ブラッドリーがトップチームへと昇格し、大きく羽ばたくことは北アイルランドの希望であり、願いである。彼は北アイルランド人の期待を一身に背負っているのだ。


母国でのサッカー人生

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ブラッドリーは北アイルランドのティロン県にあるキャッスルダーグというアイルランドとの国境近くの村で生まれた。

幼い頃にサッカーを始めた彼は、9歳の頃に地元キャッスルダーグの"St Patrick's"というクラブチームに入団し、キャリアをスタートさせた。

直ぐに頭角を現した彼は、北アイルランド代表の選手を数多く輩出するダンガノンのユースへと加入した。この頃から彼の能力は非常に高く、常に歳上のチームでプレーしていた。

2012年。

彼を取り巻く環境が一変した。

ブラッドリーはアイルランドサッカー協会の育成プログラムに選ばれ、強化指定選手となったのだ。彼は一流のコーチやスタッフを揃える特別な施設で週に三度のトレーニングに励み、プロ選手になる為の英才教育を受けていた。クラブユースも含めて、様々な環境で一流のコーチからの指導で学び、高いレベルに身を置いたブラッドリーの才能は開花し、国内屈指の有望株として名を広めていった。


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(余談)リヴァプール育成センター

(ブラッドリー個人とは少し話が逸れる。
北アイルランドでのリヴァプールの取り組みの話。)

前述の通り、リヴァプールでは北アイルランド出身の選手が67年もの間、トップチームでプレーしていない。元来アイルランド色の強いクラブはこの事実を問題視してきたが、実際に問題を解決するのは非常に難しかった。

そして、この問題の解決に動いたのが"クリフ・ファーガソン氏"である。

2012年、ブラッドリーが育成プログラムの特別指定強化選手に選ばれた際に、北アイルランドサッカー協会へと推薦したのが、ファーガソン氏である。更に、ファーガソン氏は2016年の遠征ツアーでブラッドリーが大活躍した際はメルウッドへと獲得の推薦もしており、クラブがブラッドリーに注目する契機となっている。

また、過去にケレハーがリヴァプールへと移籍する際に重要な役割を果たしたのもこの人物である。

ファーガソン氏は2001年からクラブと繋がりがあり、2004年に正式に採用された。2008年には北アイルランドのストームモントに『リヴァプール育成センター』が設立された。この施設ではクラブと緊密に連携し合い、試合のレポートや選手のプロフィールを文書化して連絡している。

ブラッドリーは2012年に初めてこの施設の門を潜り、その後は週に一度、トレーニングを積んできた。

このようにクラブは北アイルランドに限らず、世界各地で若い才能を見つけようと奔走している。
ブラッドリー以外にもこのようなケースは少なくない。

ブラッドリーの活躍はクラブが長年、北アイルランドで取り組んできた努力の結晶であり、この施設にとっては彼の活躍こそが画期的な出来事なのである。


ステップアップ

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転機が訪れたのは2016年4月。

ブラッドリーはドイツ遠征とバルセロナの大会で最優秀選手に選ばれる目覚ましい活躍を披露した。そして12歳の若者は一躍ビッグクラブの注目の的となった。


マンチェスターユナイテッド。
サウサンプトン。
チェルシー。

前者の2クラブはブラッドリーと家族をクラブ施設に招待し、具体的なオファーを提示するなど獲得に全力を尽くした。

しかしそれでもブラッドリーの心は揺らがなかった。新天地に幼少期からサポートしてきたマージーサイドの心のクラブを選んだ。



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2019年7月9日。

リヴァプールが夢とハードワークがあれば、何事も実現可能であると証明した奇跡の夜から2ヶ月後。

16歳の誕生日を迎えた若者はマージーサイドに到着し、長年応援してきた"心のクラブ"と正式な契約を結んだ。

“I went to United and Southampton on trial, but we picked Liverpool. It wasn't just because I support them, it was because they're a real family club and that's something we all really appreciate”

テレビの前で"アンフィールドの奇跡"の目撃者となった北アイルランドの若者は夢を実現させたのだ。

心のクラブと同様に、栄光の瞬間を迎えた。


リヴァプールでの活躍

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奨学金制度を利用した2年契約のブラッドリー。

U18に合流した若者は直ぐに右SBのレギュラーの座を自分のものとした。

それまではウイングを主戦場としていた為、当初は少し苦労したが、試合を重ねる毎に攻守両面で急成長。

U18の主力となり、終盤にはU23でも2試合の出場。

この活躍と成長はブラッドリーの価値と将来性をクラブに信じさせるのに十分過ぎるものであった。



2020年7月9日。

クラブは彼の17歳の誕生日に3年のプロ契約を結んだ。
奨学金制度から異例のスピード出世である。

2020-21シーズン。

U23:16試合:1G2A
U18:5試合(ユースカップ含む)

ブラッドリーはクラブの期待に応え更なる成長を見せ、U23に欠かせない主力としての地位を確立した。

17歳とは感じさせないプレーを披露し続けている。


⬆️アーセナルのネルソンと対峙するブラッドリー。


⬆️U18ユースカップ準々決勝のアーセナル戦。
大外からの絶妙なクロスで先制点を演出。


世代別代表での活躍

アイルランドサッカー協会の育成プログラムに選ばれ、将来のスター候補として期待されてきたブラッドリー。

北アイルランドの世代別代表にも名を連ねてきた。

2016年、北アイルランド代表U16のキャプテンを歴任。
チームをビクトリーシールド優勝に導いた。

今後も北アイルランド代表を背負っていくであろう。


プレースタイル

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現在は右SBでプレーするが、元々は右WGが本職。
彼の能力が最大限生きるのはライン側での攻防。
運動神経が高く、スピードも十分。
足元も含めた攻撃性能が素晴らしく高い。
更にU23では守備面も問題なくプレー出来ている。
経験不足による課題はあるが、対人守備も問題ない。
(トップチームでの守備面は未知数な部分が多い。)

しかし持ち味はそれだけではない。

「メンタリティ」「献身性」「プレー意欲」
彼は十分な才能に加えて、姿勢や挑戦的な態度に関しても絶賛されている。様々な面でトップクラスの選手だ。

教育熱心な家庭で育った若者は知性にも優れている。
(北アイルランドでは飛び級の試験を受けていた。
現在リヴァプールでスポーツとビジネスを学んでいる。)

上記のように、ブラッドリーはトップチームで活躍する十分な才能を備えているだけでなく、ピッチ内外において正しい姿勢も有する素晴らしい選手である。


今後に期待を込めて

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前述の通り、U23の主力として活躍するブラッドリー。

来季のライバルはネコ・ウィリアムズになるであろう。

自分はネコのファンだが、トップチームに定着しているとは言えず、TAAの控えを巡る争いは激化する筈だ。
(ネコ🐈に関しては顔が好きです。はい。)
また、ネコがローンなどで移籍した場合、ブラッドリーにカップ戦で多くの出番が回ってくるかもしれない。

更にブラッドリーはクロップを含むコーチ陣からの評価が高い為、ネコとの序列が逆転しても驚きはない。

私自身は将来的にブラッドリーがリヴァプールの右SBを担う才能を持っていると信じている。

彼の成長がTAAの刺激になるかもしれない。
彼の成長がTAAを中盤起用する契機になるかもしれない。

彼の存在がチームに多くの選択肢を与えてくれる筈だ。

生粋のリヴァプールファンである北アイルランドの若者はアンフィールドに新たな情熱を提供してくれる筈だ。

リヴァプールのトップチームで北アイルランド出身の選手が活躍していないという長い負の歴史に終止符を打ち、満員のアンフィールドのライン側を駆け上がるブラッドリーの姿に、私は夢を見ている。


跋文

今回は推しのブラッドリー君に関してのnoteでした。

処女作ということもあり、纏まり切らない稚拙な文章ながらも、最後まで読んで戴き、有り難うございました。

アンダー世代はブラッドリー君を含め、将来が楽しみな才能の宝庫です。最近ではバラギジ(Balagizi)やスキ君(Musialowski)の名前を耳にする方も多いのではないでしょうか?U16にも楽しみな才能が沢山あります。

DAZNでLFCTVの放送が始まったことにより、アンダー世代の試合を観戦することの出来る機会が増えました。TLの盛り上がりも以前より増してきた印象です。

5/13にはユースカップの準決勝もあり(日程変更の可能性アリ)、ユース世代もシーズンが佳境に入ってきます。


将来のリヴァプールを、ジェラード政権を担う若き才能が開花する瞬間を一緒に見届けましょう。

この記事を通して、ブラッドリー君を少しでも理解して戴けたら幸いです。また、この記事がアンダー世代に関心を持つ契機になれば嬉しい限りです。 

ユース世代に関するnoteを不定期で掲載する予定です。
多くの方々に届く様、拡散して戴けると幸いです。
是非次回も宜しくお願いします。
誠に有り難うございました。

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