深夜基地AM1:16
可愛いだけで買ったフェラガモのパンプスが踵を削る
ソーシャルなビューティーの為に血も流せるけど、ああもうこの靴メルカリ行きだなって脱いだ、コンビニで買った600円のスリッパで捕まらないタクシーが走る街を歩く
安い化繊が柔らかく纏わりついてふと、
間違っていたのだろうかと思う
どう生きたって繕ったって一生自分でそれこそが希望だ
誰にも影響なんて受けられなくてそれだって希望だ
自分自身を可哀想だと思うことは簡単で絶望ぶるのはさぞ楽しい
脳を麻痺して甘やかす快感もわかる
だけど、それでも、
違うもんは違うじゃん
許せなかった事がどうでも良くなるのも自分で
ぶら下げた荷物が指に食い込んで今すぐ捨てたいけど掴み直して歩く
夜の匂いに溶かす優しさという名の蔑み
何の期待もしてないから君のこと怒ったりしない
極端な人間で疲れると同時にわたしをわからないやつなんて感性がおかしいと思う
深夜の住宅街を歩く音は吸い込まれて響きもしない
全部要らないし全部欲しいなんて嘘ばかり思う
誰にも見えない無人塔から絶えず発信する
聞こえる?聞こえないよね
深夜基地から飛ばす周波数の合わないラジオ
一生ダイヤルが合わなくても余裕の笑みを浮かべちゃうよね