漫画感想:普通の人でいいのに! 普通と理想と現実と
しばらくは昔の名作を中心に摂取していこうと思っていましたが、ネット上でふと見つけた「普通の人でいいのに!」という漫画を読んでガツンと頭を殴られたような気分になってしまったので感想を書いていきます。
この漫画を読んでガツンと来てしまった理由は、おそらく主人公及び彼氏の嫌な部分が自分に似ているからだと思う。自分の中にある「普通でありたい」「自己中心的」「自分が嫌い」といった自分の醜い部分を引っ張り出されて見せつけられたような気分だった。
まず主人公の女性。彼女は言ってしまえば「何もない人間」だ。友人のように熱中しているものは無く、特徴もない至って「普通」の人だ。彼女にとっての「普通」は「つまらない現実」のことであり、普通な自分や普通な彼氏(で妥協するしかない自分)にうんざりしている。だが、彼女は普通であることから逃れられない。ホモソーシャル的思考が嫌いでも彼氏に求められれば「女らしい」人間を演じてしまうし、相手が嫌いだろうが一応表面上は取り繕う。彼女は感情が爆発する瞬間まで「普通」に縛られ続けていた。自分を見ているようで本当に嫌になる。彼女は最後に旅立とうとしたことで変われたのだろうか。変われていたらいいな。
次に主人公の彼氏。彼は「相手が見えていない人間」だと思う。彼女と話しているのに、彼女のことが見えていない。「会話をすること」ばかり考えて、話してばかりで人の話はろくに聞いていない。本気で「自分が楽しければ相手も楽しいはず」とか考えていそうだ。しかも彼女は表面上楽しそうにするから全く気づけない。彼にとっての「普通」は「目指すゴール」であり、普通に会話が成立し、普通に自分が楽しめたらそれで良い、それで相手も満足すると考えているように思える。現状維持で満足して、相手が不満を感じていることについては気づいてすらいなかったんだろう。やっぱり自分を見ているようで本当に嫌になる。彼も彼女の爆発を機に変われたら良いな。
この二人を見ていると、「普通」に縛られて人間関係が苦痛だったことや、「普通」を演じることに気を取られるあまり相手を見られず、相手を不快にさせてしまったことなどの数々の嫌な思い出が頭の中をぐるぐるしてとても辛かった。私にインタビューして書いたのか?と聞きたいくらい自分の「嫌な部分」を濃縮したような漫画だった。
まとめると、人間関係への恐怖心を色々抉られた漫画でした。正直、リアルでも嫌なこと色々あって憂鬱な気分だったので、それがよりしんどく感じた理由なんでしょうね。特に恋愛周りは本当にわからないし怖いし辛いです。その辺もどこかで文章化したら整理できるかな。いつかやってみます。