絵本で楽しく♬英語・文化に触れる:『はらぺこあおむし』の原作を読んでみたら?(大人も!全てのレベル対象◎)
みなさんは楽しく英語学習できていますか?
英語ニュースや参考書で真面目に学ぶのもいいですが、英語で絵本を楽しむのも素敵な息抜きの一つです。
上質な絵本は子供も大人も味わえる普遍的な魅力を持っています。
今回は、多くの方が子供の頃に読んだ事があるであろう『はらぺこあおむし』の原作を素材にして、絵本から読み解く豊かな言語と文化の世界を覗き見たいと思います。
The Very Hungry Caterpillarってどんなお話?
調べてみると、1969年が初版のこちらの作品。
子供の頃に読んだきりなので、内容を軽くおさらいします。
端的に言うと、小さなあおむしの孵化から羽化までの1週間を描いたお話です。
「曜日」や「数」の概念、「食べ物の名前」「生活環」などの教育的要素を含んでいます。
(ちなみに読者の想定年齢は3-6歳程度。
保育園から小学校入学前あたりですね!)
当時の絵本に画期的な、切り抜きの要素を巧みに活用した作りで、体感的に物語に入り込みやすい仕掛になっています。
そして、なんと言っても!
作者の専門であるイラストのセンスが際立っています。
あの、一度見たら忘れられない、カラフルでユニークな芋虫さん…。
ポップでありながら温かみのある、独特なタッチやテイストの画風は、異国情緒たっぷりで、俄然テンションが上がりますね♬
作者のEric Carleってどんな人?
子供の頃読んだ日本語版の絵本には、作者は「エリック・カール」とカタカナで書いてあった記憶がありますが、そもそも、どんな方なのでしょうか?
…と思い、調べたところ公式サイトに作者の略歴がありました!
以下はそちらを基にした内容です。
Eric Carleは、1929年、ニューヨーク州シラキュース生まれ。
(今は亡き私の母方の祖父とほぼ同じ年ですね!)
その後、6歳の時に両親と共にドイツに移住して、そこで名門の芸術大学を卒業しました。
卒業後の1952年にアメリカに戻り、The New York Times社でグラフィックデザイナーとしてキャリアを開始。
…という事で、Eric Carleは絵が専門で、広告畑の出身なんですね!
そんな彼が絵本の創作を始めたのは、教育者で作家のBill Martin Jr.との出会いがきっかけ。
2人の協働で生まれた記念すべき第1作はBrown Bear, Brown Bear, What Do You See?(原版:1967年)。
(邦題は『くまさん くまさん なに みてるの?』偕成社 1984年初版)。
それを皮切りに、話の内容もオリジナルの作品を立て続けに発表。
処女作の翌年には、1,2,3 to the Zooを、さらに翌年の1969年に発表されたのが、本記事で紹介しているThe Very Hungry Caterpillarです。
年齢とキャリアのバランスが取れてきて、丁度乗りに乗っている30代後半の頃ですね!
今や、こちらの絵本は、60ヶ国語以上で翻訳され、累計5000万部突破の大ベストセラーになっています。
Eric Carleのその他の英語絵本は?
その後もEric Carleは精力的に絵本の制作を続け、その数は40冊を超えます。(※一部は絶版。)
先に挙げた3冊以外のラインアップはこちらの公式サイトからご覧になれますよ◎
絵本の表紙を眺めているだけでもワクワクしてきますね♬
美しくて独創的な絵画に癒されながら、たまにはゆっくり息抜きしてみるのはいかがでしょうか?☕
作品に登場する英語表現や文化背景は?
それでは、さっそく、作品の内容に入っていきましょう!
物語の始まり…🌝🌃
月の光で照らされて、小さな卵が葉っぱの上に乗っています🍃🥚
さぁ、みなさんなら、この情景をどのように英語で表現しますか?
作品中では、自動詞"lie"の過去形"lay"が使われています。
私の時は高校英語で習いましたが、"lie"や"lay"は、自動詞・他動詞の区別や時制、さらにその多義性から、混乱しやすい単語の1つですね!
日曜日:あおむしが卵からかえった日🌞
1.「ある(~の)朝に」
"One Sunday morning…"から始まる、記念すべき青虫の誕生1日目。
ちなみに私は、この表現を見て、Jay Rubin訳の村上春樹さんの短編"On Seeing the 100% Perfect Girl One Beautiful April Morning"を思い出しました。
(※原題は、「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」
こちらの短編小説は、『象の消滅』(英訳:The Elephant Vanishes)に収められています。ご興味がある方はぜひどうぞ!)
少し脱線しましたが、このように、「ある(~の)朝に(または「~夜に」…などなど!)」と言いたい時に、”on”などの前置詞は不要です。
2.擬音語(onomatopoeia)
絵本では、"pop!"という擬音語を用いて青虫が卵からかえる様子を表現しています。
「ポン!」と勢いよく飛び出てくる姿が目に浮かびますね!
ちなみに、他にも、英語の擬音語はこんなにたくさん!!
聞いている音自体は同じなのに、文化によってこんなに違うのはおもしろいですよね♬
3.伝えたい内容を後ろに!倒置表現
擬音語に続いて、青虫が卵から誕生する場面では、倒置表現が巧みに用いられています。
本文では、"out of the egg came a ~ caterpillar"です。
「ポン!」という音と共に、卵から登場する小さくて腹ペコのあおむし君のイメージが、映像のように浮かんでくる語順ですね!
4.未来を表す不定詞と現在(や過去)を表す動名詞
卵からかえったあおむし君。さっそく食べ物さがしに出かけます。
絵本では、”started to look for~”と不定詞を使っています。
”started looking for~”と動名詞にしてもよさそうですが…?
みなさんならどちらにしますか?
ここで、両者の違いを軽くご説明すると…
不定詞の場合:これから探しに出かける
動名詞の場合:すでに探し始めている
イメージです。
絵本では、不定詞で表現しており、食べ物探しの旅に(これから)「出発する」ニュアンスです。
お話の流れでも、次の日から「日替わりメニュー」が始まるので、不定詞が表す未来の含みが活きていますね◎
月曜日~金曜日:反復表現と長方形の段々カットが「いい味」出してる…!
月曜日から金曜日までの描写は、曜日はもちろん、身近な果物の名前や数の概念をリズミカルに学べる工夫が満載です♡
"On ~day he ate through one (,two, three…) ○○"
と同じ型が繰り返し登場します。小さな子供が英語のパターンやリズムを習得するのにぴったりですね◎
段々にカットされたページと果物のイラストによる視覚効果は、大人になった今でも十分に楽しめますよ!
1.ちなみに出てくる果物は…
one apple🍎
two pears🍐
three plums(絵文字なかった…ww)
four strawberries🍓
five oranges🍊
どれも美味しそうですね♡
日本でもなじみ深いものばかりですが、英語だとアクセントの位置が違ったりするので、付属CDを聞きながら読むと面白いかもしれませんね☆
2.句動詞のイメージを掴もう!
みなさんは、「動詞+(前置詞派生の)副詞」の句動詞表現は得意ですか?
私は、中学生の時にやや混乱した覚えがあります…。
理由の一つは、前置詞と同じ形なのに、目的語が省略されて副詞として用いられている事が挙げられます。
たとえば、絵本の英文では、"ate through one apple"ですが、語順を変えて、"ate one apple through"としても文法的には正しいわけです。
食べた結果、食べ物を「貫通させた」事を強調したければ、"through"を最後に置きます。
絵本では、食べて貫通させたのが「リンゴである」事を強調したいので、"one apple"が最後に置かれていますね!
この仕組みと元の前置詞の意味を押さえれば、句動詞はそれほど難しくありません◎
英文読解の際はもちろん、ご自身で英文を書く際も、このポイントを意識してみてくださいね☆
前置詞由来の副詞を使いこなせると、表現に躍動感が生まれますよ♬
さて、ここまで絵本の内容をなぞりながら解説してきましたが、いかがでしょうか?
意外に英語のエッセンスが詰まっている事に驚かれた方もいるかもしれませんね。(私も驚きました!笑)
平易な英語と情感あふれるポップなイラストの組み合わせが魅力の絵本。
英語に疲れた時でも、直感的に楽しめるのではないでしょうか…?
あなたもぜひ、日々の学習の合間に、異国情緒を感じながら、最高にお洒落で優雅な息抜きをどうぞ…♡
土曜日:美味しいものオンパレード!!!
以下の食べ物は、あおむし君が土曜日に食べたものです。
みなさんは、下の写真の食べ物を英語で言えますか?
というわけで、Let's take some time and think! (笑)
※下に答えが続きます。
<解答:絵本ではどう書いてある?>
(※全て「1個」の表記になっています。)
one piece of chocolate cake
one ice-cream cone
one pickle
one slice of Swiss cheese
one slice of salami
one lollipop
one piece of cherry pie
one sausage
one cupcake
one slice of watermelon
すべて言えましたか?
以下では簡単に、太字にしたポイントをご説明します。
1.数量名詞:pieceとslice
ものの一部や不可算名詞を数えたい時に用いる数量名詞。
今回出てきた2つは、日本語ではどちらも「一切れ」ですが、"slice"は薄い一切れを表します。
一方で、"piece"は厚みのあるものを表す他、"a piece of information"のように、抽象名詞にも用いられます。
その他にも多くの数量名詞がありますね!
日常英語はもちろん、使いこなせると表現の幅が広がりますよ◎
2.ちょっとした知識で大きく差が付く!食べ物表現あれこれ☆
<甘いもの系🍨>
みんなが大好きなアイスクリーム。
もちろん、"ice cream"でいいのですが、「コーンのやつ!」と強調したい時は、後ろに"cone"を付けて、"an ice-cream cone"と言えます。
応用:では「カップアイス」は?
答え⇨"an ice-cream cup"ですね!
注意点は、"ice cream"自体は数えられないので、何らかの数量名詞が必要です。
スイーツ繋がりでもう1つ♡
見た目もキュート!棒付きの「くるくるキャンディー」は英語で…?
はい!先ほど書いたように、"lollipop"です。(こちらは可算名詞です◎)
辞書での定義は、”a hard sweet on a stick"。
つまり、「棒付きの堅いお菓子」ならなんでも"lollipop"!
子供の頃によく食べた、あの小さくてまあるい棒付きキャンディー「Chupa Chups」も"lollipop"。
ちなみに、日本語の「アイスキャンディー」は"ice lollipop"です。
うーん、たしかに、棒アイスも「棒付きの堅いお菓子」ではありますね…!(笑)
<甘いもの以外🧀>
その他、ピクルスやソーセージは、大きな塊を1つとして数えます。
なので、"one pickle"や"one sausage"といえば、塊1つ分ですね!
では、スライスした場合は…?
忘れた方はページを上にスクロール!!(笑)
また、こちらは少し細かいですが、せっかくなので…。
絵本でもよく出てくる、穴ぼこの空いたあの「典型的チーズ🧀」。
英語では"Swiss cheese"といいます。
チーズはチーズでも、私の好きなカマンベールを始め、モッツアレラやパルメザンなど、たくさんあります。
"ice cream"同様、ただの"cheese"で全然構わないのですが、もしも、あの特定のチーズについて言及したい時はぜひ”Swiss cheese”と言ってみてください!(笑)
(自慢できるかも?ww)
いかがでしたか?日常会話でもすぐに取り入れられそうですね♬
絵本や子供用の図鑑は、生活に密着する語彙の宝庫です。
大人になってから外国語で読んでみると、また新しい発見がありそうですよ◎
ところで、外国文化で登場する食べ物もいいですが、日本の食べ物を英語で表現する時も、迷う事がありますよね…💦
たとえば、「白菜」や「長ネギ」はいかがでしょう?
答えはそれぞれ、"Chinese cabbage"と"green onion"だそうです。
(※他の言い方もあります。)
「へ~!!」って思いませんか?(笑)
簡単ですが、知らないとなかなか出て来ない発想ですよね☆
絵本をきっかけにして、ぜひこの機会に、身近な食べ物の語彙を増やしてみてくださいね♬
そして2度目の日曜日🌞(はー、長かった…)
あおむしの誕生から1週間経過後の2度目の日曜日。
土曜日に食べ過ぎて腹痛を起こすも、葉っぱを食べて無事に回復!
丸々と肥えたあおむし君は、繭を作って蛹になります。
2週間超そこで過ごした後、繭を食い破って外に出て…!!
(続きはぜひご自身でご確認ください♬笑)
※以下、作品中に出てくる単語を軽く補足しておきます。
なお、繭と蛹の違いは、
繭:"a silky case"
蛹:"an insect in its inactive immature form"
つまり、「繭=入れ物」で「蛹=虫自体(成虫になる準備中)」という事です。
(蛹については、この下で解説しています。)
ちなみに、作中では、"cocoon"は"a small house"と表現されていますが、とても分かりやすいですね!
その他、作品に関連する英語表現は?
あおむしの生活環に関する語彙
卵からかえり、幼虫になり、蛹になり、羽化して成虫になるまでの過程を表す語彙群です。
hatch (v.)
(of a young bird, fish, or reptile) emerge from its egg.
"ten little chicks hatched out"
(孵化する)
larva (n.) plural: larvae
the active immature form of an insect, especially one that differs greatly from the adult and forms the stage between egg and pupa, e.g. a caterpillar or grub.
(幼虫 ※あおむしは蝶々の幼虫ですね!)
pupa (n.) plural: pupae; verb: pupate
an insect in its inactive immature form between larva and adult, e.g. a chrysalis.
(蛹 ※類義語:繭)
emerge (v.)
(of an insect or other invertebrate) break out from an egg, cocoon, or pupal case.
"the larvae pupate among the roots of trees to emerge as the adults"
(羽化する ※「現れる」という意味ですが、「羽化」の意味もあります!)
(※こちらの定義は、GoogleのEnglish Dictionaryに基づいています。)
付属CDを活用するのもGood!!
なんと、今回私が図書館から借りた本には、Eric Carle自ら吹き込んだ読み聞かせCDが付いていました!
しかも、ムード溢れる音楽付き♬
自分で聞いて楽しむのはもちろん、小さいお子さんへの読み聞かせにも最高ですね♡
絵本をきっかけにもっと英語の世界を広げるには?
言語と視覚による情緒豊かな表現を楽しんだ後は、Eric Carleの公式サイトがおすすめ◎
The Very Hungry Caterpillarを含め、各作品の書評が読めます。
その他、お馴染み、英語版Wikipediaでも作品概要や背景について読む事ができますよ。
お話を楽しんだ後は、これらのサイトを参考に、英語でお話について説明したり、感想を語り合ってみるのもよいですね♬
スピーキングやライティングのよい練習素材になりそうです◎
アウトプットの場所としては、英会話セッションや、英語の本のレビューサイトの他、AIチャットボットのCopilotもおすすめですよ!
(手軽なアウトプットの方法については、また記事を書く予定です♬)
(※Copilotとの英語チャットについては、こちらの記事でも触れています。ぜひ併せてどうぞ!)
英語絵本はどこで手に入る?
Am〇zonなど、インターネットで購入するのもいいですが…
個人的には図書館がオススメ!
こちらのThe Very Hungry Caterpillarも、今回の記事を書くにあたって、図書館から拝借してきました。
私の家の近くの図書館では、子供の絵本コーナーの一角に外国語絵本がありました。
(※図書館ごとに異なる場合があります。)
それ程数は多くはありませんが、それでもざっと見て、数十冊以上はあるようでした。
よほどのこだわりがない限りは、まずは身近な図書館で英語絵本を見つけてみてはいかがでしょうか?
無料で気軽に借りられるので、楽しんで読んでいるうちに、自然と生活に密着した表現が身に付いているかも知れませんよ☆
さぁ、あなたも英語絵本の豊かな世界へ
『はらぺこあおむし』の原作を題材にした、絵本による英語「楽習」のご提案はいかがでしたか?
上質な絵本は、年齢を超えた普遍的な魅力に溢れており、近年大人の間でも静かなブームになっています。
英語絵本は、ささやかな癒しと異文化体験、そして語学「楽習」の全てを叶えてくれる欲張りで贅沢な存在です。
日々の真面目な学習に疲れたら、ぜひ、こんな角度から遊び心も取り入れてみてくださいね♡
それではみなさま、引き続き、Happy English Learning♬