猫と暮らす、はじめての一人暮らし


一人暮らしがこんなに愛と温もりに満ち溢れるものだなんて思わなかった。

私が仕事を終えアパートに帰ると、ぐしろとちゃとらんが迎えてくれる。
ぐーちゃんはにゃあと鳴き、ちゃとらんはスリスリ擦り寄ってくる。


私は一人暮らしに憧れながら、ずっと怖かった。
一人暮らしって、冷たいものだと思ってた。
家に帰って「おかえり」って言ってくれる人も、今日あったことを聞いて話してくれる人もいなくて、自由と引き換えの冷たさがあるんだと思ってた。

疲れて帰ってきたときに温かく出迎えてくれる人がいない生活。独りになるのは怖かった。
落ち込んで帰ってきた時に、辛い時に、暗くて冷たい部屋に入って一人で歯を食いしばって耐えなければならないような、一人だけでネガティヴと対峙することを恐れていた。
だからずっと、実家暮らしだった。


わたしがパソコンを使っている時は、膝で寝てたり隣のソファで寝ていたりする。私が立ち上がると猫たちも立ち上がって、私の足元にまとわりつく。

寝る時も二匹といっしょだ。私の両脇に二匹がいてくれる。温かくて可愛くて、私はこの一人暮らしで、温もりと癒しと歓びを感じることばかりだ。


31歳を過ぎて一度も実家から出たことがなかった。
大学も県内、就職先も県内、家族仲も良かったため私は実家から離れる選択ができなかった。
結婚しなければ、正直家を出る理由がないと思ってた。

「母に持病があるし色々心配だから」
「実家でも自立はできるから」
家事の殆どを母親にさせて、巣立つことに踏み切れない自分を正当化していた。

正当化や言い訳は、習慣化すると本心が分からなくなってくる。
一時的には楽になっても、根幹の気持ちは解決してないワケだから、長期はたぶんものすごい毒だね。

本当は、一人暮らしをしたことがない、一日の家事を自分一人でこなせる自信がない、自分のことを自分でできていない焦り、劣等感も持っていたのに。

***

実家から職場まで車で15分。
職場への通いやすさなら、実家からで十分好条件だった。

結婚をして家を出るわけでも無い私に、
自立するきっかけが掴めなかった私に独り立ちの機会をくれたのは職場近くの地域猫。

猫たちに会いに通いつめる間に愛情が湧いた。
(猫たちを見守れる、ここに住みたい)
そう思うようになって、やっと私は動けた。


最初に写真を上げたぐーちゃんとちゃとらんは、私の飼い猫ではない。
海っぺたスレスレを生きてきた11匹の地域猫のうちの2匹だ。

冬の間に手術をして、予後を見なければならない2匹だった。平たく言えば今の私のアパートは、2匹の入院施設なのだ。

ぐーちゃんの手術が終わり、今週末にはちゃとらんが手術を行う。万全の状態でちゃとが手術を迎えられるよう、できるだけのサポートはするつもりだ。

そして知恵熱が出そうなほど沢山のことを考えた結果、11匹の中の最高齢猫🐈ちゃとらんは、私のアパートで引き取ることに。(医療付き老猫ホームにゃ🐾)
また、手術直後からビビるくらい元気過ぎるぐーちゃんは再び地域へリリースすることになる。



そうしたら絶対寂しくなる。
泣く可能性もワンチャンある。ワンチャンどころかほぼ確実にある。9割9分泣く。

それでも私は社会人になってから、一人暮らしを始められた今が楽しい。

大好きな猫たち(猫全般を指してない。ちゃとらんとぐーちゃんという2匹を指している)と一緒に暮らせているから楽しいのと、日常生活も環境も自分の好きなように送っていいからという理由をいっしょくたに記している為、ウェブ記事としては良くないかもだけど笑

それでも私は、人生でいちばん今がしあわせだ。
二匹と一緒に過ごせる時間はあと1月半。
かけがえがない時間とは、きっと、とても短い時間のなかで過ごす幸せと喜びの日々を指しているんじゃないだろうか。

幸福を、預かり猫と一緒に抱きしめる。
今だけの、かけがえのない時間と幸せを噛み締めながら。


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