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日曜のたこ焼き考

先日、水族館へいった日のこと。

ペンギンやらコツメカワウソやら、可愛いの権化みたいな生き物たちを見てほっこりしたあと、お昼にいったん外へ出た。お腹がすごく空いてたし、そこらへんでたこ焼きとビールだけ買ってベンチで食べた。日差しが心地よくて、缶ビールとたこ焼きの組み合わせはすごく「正解」のように思えた。なんちゃない、ごくふつーのたこ焼きなのに、やたらと美味しく感じる。お約束のように「あふいあふい」ともがきながら頬張るたこ焼きは、幸せそのものだった。そこで、ふと思い出したことがある。

もうずっと前、大阪の人を好きだったことがあった。大阪でデートしましょう、という話になり、「一番美味しいたこ焼きが食べたい」というと彼はなぜかちょっと顔を曇らせた。「あんま美味しい店とか知らんねん」という気の抜けたような彼の返事に、私は「ふーん」と不満げに返した。結局その日たこ焼きは食べず、彼イチオシの塩ラーメンを食べた。

後日、その人ともっと仲良くなってからこう言われた。たこ焼きっていうのは、並んで食べるようなもんじゃなくて、「そこらへんの、ふつうの」を食べるのが美味しいんだよと。美味しいお店連れてって!とかいう問題ではないのだと。

・・・やっぱりよくわからなくて、「ふーん」と返した。美味しいお店知らんだけちゃう?という意地悪な言葉を飲み込みつつ。

だけどそれから何年も経った日曜日、「なんちゃない」たこ焼きを食べてる最中にふと腑に落ちたのだ。「そっか、こういうことか」と。

デカデカと看板を掲げた有名店に30分並んだのちに小奇麗な店内で食べる特大たこ焼きよりも、名もなきお店のおっちゃんがサササッと作ってくれたたこ焼き(ソースと青のりにムラがあるような)を、そこらへんのベンチとか適当な場所で頬張る。そういうのが似合う食べ物なのかなたこ焼きって。知らんけど。

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片渕 ゆり(ぽんず)
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