「宇宙に行きたい」と思わないのは、なぜだろう
物心ついたときからずっと冒険やら探検やらが好きだ。はじめて先生に褒めてもらった作文も「きんじょのたんけん」についてだったし、大人になった今も「私も行きたい」と指をくわえながら、ナスDのアマゾン探検チャンネルを凝視している。
だけど不思議なことに、「宇宙に行きたい」と思ったことがない。
なんでだろう。星を見ると美しいと思うし、天体望遠鏡がほしいと親にせがんだこともあった。だけど私の中で、星はあくまで「眺める」対象であって、そこに行ってみたいという気持ちはじつのところそんなにない。行ったら行ったで楽しいだろうけど・・・(ってなんだか気乗りしない飲み会みたいな言い方だな)。
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同居人がTSUTAYAで借りてきた「宇宙兄弟」を読みながら、ぼんやり考えていた。
ナスDには嫉妬するのに、ムッタには嫉妬しない。ムッタに対しては、素直に「がんばれ!」と思う。ナスDの大冒険を観てるときのように、「私が行きたいのにぃ!!!」とはならない。この違いはなんだろう?距離感?お金?危険度?どれもピンとこない。
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たどり着いた答えは、「人が住んでいるかどうか」だった。
自然が生み出した奇跡の絶景よりも、さびれた裏路地に惹かれてしまったり、ぽつりと交わした地元の人との会話が忘れられなかったりする。遠くの銀河もきっと美しいけれど、水たまりに反射した街灯の光に魅入ってしまう。
いいとか悪いとかでなく、どうやらそういう性格らしい。
自分の知らない場所で、人がどうやって生きているか。生きてきたか。そんなことばかり考えてしまう。私の興味の対象は、いつだって人間の感情に向いているらしい。
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