サンタクロースに寄せて。
12月。街中がキラキラと輝くイルミネーションに彩られ、いつも行くデパートの前にも装飾されたツリーが聳え立ち、否が応でも今年もクリスマスがやって来たのだ、と実感させられる。私はクリスマスツリーを見上げて、少しだけ暖かい気分になった。綺麗なものを見ると心が浮き立つようになるのは、きっと性なのだろう。
寒い空気をシャットダウンするように、私はマフラーを結び直した。
子どもの頃、クリスマスは楽しみを運んできていた。
イブの夜に布団に入るのが楽しみだった。翌朝目覚めると枕元にどんなプレゼントがあるか考えただけでうきうきしていた。
枕元にあった包装紙に鮮やかなリボンがかかったそれは欲しかったゲーム機だったり、ポケモンのゲームソフトだったり、スニーカーだったり、子ども用のメイクセットだったりした。サンタさんがくれたポケモンを遊び倒して視力が落ちたことは今では笑い話だ。あの頃のサンタさんは私に夢中になるという感情を教えてくれた。
メイクセットは少しだけお姉さんになれたようでとっても嬉しかった。あの時のセットに入っていた水で落ちるピンクラメの輝きを私は今でも思い出せる。
幼い頃の私にとって、サンタさんは欲しいものをくれる魔法使いのような存在だった。
なぜサンタさんがくれたプレゼントがあんなにも特別だったかを考えると、それには毎年メッセージカードが添えられていたからだという答えに辿り着く。
「今年も一年よくがんばったね。えがおなすてきなかえでちゃんにサンタからのプレゼントだよ。だいじにしておくれ。 サンタクロース」
綺麗な文字で書かれたそれが私はとっても嬉しかった。私のためにサンタさんが書いてくれたお手紙だ!と思い、両親に自慢そうに見せた。両親は嬉しそうに笑って、「来年ももらえるといいね。」と言った。あの頃の両親は今の両親より勿論若かったけれど、今と変わらない笑顔だったように思う。
サンタさんがくれたメッセージカード、その筆跡は今考えるとある人の字体によく似ていて、どうしようもなく暖かい気持ちになる。いたんだ、間違いなく。
あの頃に、私だけのサンタクロースが。
あの頃のサンタクロースに寄せて。
本当にありがとう。愛してくれて、素敵なメッセージと贈り物をくれて。成長を毎年見守ってくれて。
私は子どものサンタクロースになることはきっと無いけれど、今も笑顔で過ごせています。
大切な誰かを見つけて、お互いが素でいられる存在になれたらなと思います。将来、大切な人と一緒にウェディングドレスを着れたら素敵だなと思っています。そのためにはもっと自分を磨かなきゃね、とサンタさんに怒られそうだけど。
寒い冬の空気が私を纏う。
あの頃と見える景色は違うし、私も年を重ねたけれど、やはりクリスマスの空気感は私を嬉しくさせる。
サンタが忙しい今夜、みんなに素敵な笑顔積もりますように。ウォークマンから聴こえる曲は本当に素敵なクリスマスソングだった。
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