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教科書だけで解く早大日本史 2021商学部 18終

2021商学部編の第18回です。このシリーズは今回で終了です。

※大学公式ページで問題を確認してください。執筆時未掲載

※東進データベースは要登録です。執筆時未掲載

〇問G エネルギー産業をめぐる当時の状況を説明

80字以内 語句指定 ①~⑤を使用

① 解雇 ② エネルギー革命 ③ 三池争議 ④ 斜陽化 ⑤ 閉山

商学部は30時論述が出題されてきましたが、今年は指定語句を利用した80字論述となりました。

下線部ハは「安価な原油の安定的な供給」です。指定語句から②「エネルギー革命」、③「三池争議」があるので、石炭から石油への転換と石炭産業の衰退について説明すればよいでしょう。

エネルギー革命① 石炭産業は安価な石油におされて衰退し、「斜陽産業」と呼ばれるようになった。1960(昭和35)年に三井鉱山三池炭鉱での大量解雇に反対する激しい争議(三池争議)が展開されたが、労働者側の敗北に終わった。以後、九州や北海道で炭鉱の閉山があいついだ。(395頁 脚注①)

ほぼ「教科書」の記述に沿って解答すればよいでしょう。

(解答例)
エネルギー革命がおきると、安価な石油におされて石炭産業の斜陽化が進んだ。大量解雇に反対する三池争議で労働者側が敗北して以降、各地で炭鉱の閉山があいついだ。(77字)


〇問H 松本清張または司馬遼太郎の作品でないもの

1. 『砂の器』
2. 『梟の城』
3. 『飼育』
4. 『点と線』
5. 『坂の上の雲』

松本清張は推理小説や社会問題を描写した小説で人気を博し、いまなおテレビドラマの原作に数多く採用されています。また、元産経新聞記者出身の司馬遼太郎は歴史小説で人気を博し、登場人物に自らの思いを代弁させる形で描かれる「司馬史観」は賛否両論ありながらも、大河ドラマなどを始め多くのテレビドラマで採用されています。

そんな2人は、明治維新をどうみるかというテーマで対談したことがあります。

さて、この2人は代表作が多すぎて霊を挙げるのも困りますが、「教科書」では、385頁の「占領期のおもな文学作品」の一覧に松本清張『点と線』があるのみです。

この一覧の松本清張の上に大江健三郎『飼育』があります。これは大江健三郎が東大在学中に芥川賞を受賞した作品です。大江健三郎はのちに川端康成に次いで日本人2人目のノーベル文学賞を受賞します。早稲田出身の「あの人」は毎年候補に挙がるのになかなか受賞できませんね。

そういうわけで、3の『飼育』が松本清張、司馬遼太郎の作品ではありませんでした。

1の『砂の器』は松本清張の作、2の『梟の城』と5の『坂の上の雲』は司馬遼太郎の作です。

×問I 日本人がノーベル賞を受賞した時期の順序

1. 朝永振一郎⇒川端康成⇒佐藤栄作⇒江崎玲於奈⇒福井謙一
2. 川端康成⇒朝永振一郎⇒江崎玲於奈⇒佐藤栄作⇒福井謙一
3. 朝永振一郎⇒江崎玲於奈⇒川端康成⇒佐藤栄作⇒福井謙一
4. 川端康成⇒朝永振一郎⇒佐藤栄作⇒江崎玲於奈⇒福井謙一
5. 朝永振一郎⇒川端康成⇒江崎玲於奈⇒佐藤栄作⇒福井謙一

教科書にノーベル賞受賞年が書かれているのは、湯川秀樹(1949年)、朝永振一郎(1965年)、江崎玲於奈(1973年)の3人の物理学賞だけです。

20世紀末から21世紀初頭にかけて毎年のように受賞者が出たため、もはやすべてのノーベル賞受賞者を覚えるのすら困難になりましたが、1980年代まではまだ1桁台でしたから全員覚えられる程度でした。

ノーベル文学賞を受賞した川端康成は戦前から活躍した作家です。文学賞の受賞は1968年(「用語集」310頁R)。

ノーベル平和賞を受賞している元首相の佐藤栄作の受賞年は1974年(「用語集」356頁R)。

福井謙一はノーベル化学賞を受賞。受賞したのは1981年です。

福井謙一の受賞年が「教科書」にも「用語集」にもなかったので×評価です。


以上、6⃣も終了です。6⃣は◎4〇2△1×2でした。

以上で2021商学部編も終了です。

全59問の内訳は、◎37〇11△7×4でした。「教科書」本文のみで解ける◎は37/59(62.7%)、「教科書」脚注・資料なども含めると48/59(81.3%)でした。法学部の90%にはさすがに届きませんが、8割を超えてきました。昨年の◎50%→◎〇76%からすると、やや「教科書」だけで解きやすかったと言えるでしょう。

次回からは、2021人間科学部編がスタートします。どうぞよろしくお願いいたします。

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