【屋久島空港問題 ♯1】 2,000 m滑走路の目的は、屋久島‐羽田間のジェット機就航。1,500m滑走路でジェット機就航中の空港もあるのに。
屋久島空港の滑走路延伸計画の経緯
2015年に、滑走路延伸の可能性を探る調査費を鹿児島県が初計上したところから、本計画がスタート。
2020年に、住民参画用のパンフレット「屋久島空港の滑走路延伸計画(案)について」(以下パンフと称す)を配布し、パブリックインボルブメント(施策の立案や事業の計画・実施などの過程で、関係する住民や利用者などに情報を公開した上で、広く意見を聞いて、それらに反映すること)を実施しました。
2021年には環境影響調査を実施しており、着工までに残す手続きは概ね次のとおりです。
「ジェット機就航の見通し及び整備に必要な用地確保の確認」など→「新規事業採択時評価」→「採択の要望」→「事業着手」
「屋久島空港の滑走路延伸基本計画(案)について」屋久島空港滑走路延伸協議会 (パブリックインボルブメント/住民参画用パンフレット)
1,500 mでは、ジェット機が飛ばせないのか?
本計画における課題と解決策について、パンフは次のように書いています。
主要部分を改めて抜き出すと、以下のことが読み取れます。
「課題」 =ジェット機の就航
「解決策」 =2,000mへの滑走路延伸
「想定機種」=定員160~180名のB737-800又はA320
これを読むと、
「なるほど、2,000 mじゃないとジェット機が飛ばせないのか」
と納得することでしょう。
1,500 mでジェット機を飛ばす空港がある
しかし、札幌市の丘珠(おかだま)空港では
現行の1,500 m滑走路でもジェット機がすでに就航しており、
今後1,800 mに延伸することでA320(エアバス社が開発したジェット旅客機 パンフでも同機の就航を想定)も就航可能と説明しているのです。
NHKのニュース記事も次のように伝えています。(太字筆者)
以上のような丘珠空港の実績を踏まえれば、ジェット機の就航という屋久島空港の課題も、1,500 mや1,800 mで難なく解決できるはずです。
なぜ丘珠空港でできることが、屋久島空港ではできないのか。
なぜ1,500mや1,800mの可能性を無視して、2,000mに延伸したがるのか。
これからその答え探しを始めますが、次回はまず、丘珠空港のジェット機の就航状況を詳しくみたいと思います。
記事まとめ
【屋久島空港問題 ♯0】 「屋久島空港の滑走路延伸計画」は2,000 m滑走路の必要性を捏造している ~その首謀者と目的は?~
【屋久島空港問題 ♯1】 2,000 m滑走路の目的は、屋久島‐羽田間のジェット機就航。1,500m滑走路でジェット機就航中の空港もあるのに。(←現在の記事)
【屋久島空港問題♯2】 1,500m、1,800mでもジェット機が飛ぶなら、2,000m滑走路の必要性はない
【屋久島空港問題♯3】 鹿児島県の態度急変と同期する2,000m滑走路。因果関係があるのでは?
【屋久島空港問題 ♯5】 「新規事業採択時評価」と評価の基準
【屋久島空港問題 ♯6】 需要予測なんかしないで出した “偽りの需要予測” 14万人
【屋久島空港問題 ♯7】 14万人よりかけ離れて少ない実績値(関東からの鹿児島便乗降客数)
【屋久島空港問題 ♯8】 羽田直行便就航後は軒並み採算ライン割れ それでも就航する航空会社は?