見出し画像

37ミリのコンプリケーション:PATEK PHILIPPE 5110R

複雑機構に焦がれる気持ちは、機械式時計に魅了されたときに同時に芽生えたような気がします。
デジタルにはない、独特の空気感。
綺麗に仕上げられたケースに収まる部品の数々は、そのひとつひとつが左腕に乗る小さな機械を動かすために存在しています。
それらがただ時分秒だけを刻み続けることもまたロマン。ですが。
今回は趣向が変わり、いわゆるコンプリケーションウォッチ。パテックフィリップのその真髄……
ほんの一端かもしれませんが、レビューします。

◆PATEK PHILIPPE
パテックフィリップは、〝雲上〟と称えられるブランドのひとつ。
そのタイムピースはひと世代に収めるには惜しいほど美しく精巧です。

父から子へ、パテックフィリップの経営がそうであったように、受け継がれるべきプロダクト……。
それほどまでにこの時計は、荘厳さを感じさせます。
まさに家宝と呼ぶにふさわしい逸品でしょう。

◆5110R
なかでも5110Rは、複雑な機構を携えた〝コンプリケーション・ウォッチ〟です。
その特徴は「世界中の時間がひと目でわかる」というもの。
5110は、ワールドタイムと呼ばれます。
ローズゴールドのケースを携えたものが5110Rです。
他にイエローゴールド、ホワイトゴールド、プラチナがラインナップされていますが、プラチナのみ別枠と捉えたほうがいいでしょう。

タイムトラベル様より引用。インダイヤルが青い。

このワールドタイムは、かつて独立時計師ルイ・コティエ氏が発明した機構をパテックフィリップが製品化したもの。
その機構は複雑ですが、使い方はシンプルそのものです。
Instagramに使用している様子をアップロードしているので、ご覧になってみてください。

10時位置のプッシュボタンで操作し、24時間表記のリングと時分針が連動して動きます。
針が指し示す時刻は、12時位置に記された都市の時刻と連動しています。

プッシュボタンをおすことで時刻の知りたい国の時分をだしても良いですし、そのままでも24時間表記のリングがそれぞれの都市の時刻を指し示します。
まさに複雑機構ですが、操作はボタンひとつ。

シースルーバックから確認できるムーブメントも素晴らしい仕上がりです。
このムーブメントはcal.280/188。
ちょっとややこしいからあんまり限定品みたいな名前をムーブメントにつけないでくれないか。

◆コーディネートとしての5110R


実際、腕に乗るとそのサイズの秀逸さが伝わるものかと思います。
僕もはじめてこの時計をみたときは美しさには驚きましたが、腕に乗せてまた驚きました。
凄まじいバランス。まさしくドレスウォッチと呼ぶにふさわしいサイズ感でしょう。


バックルにははじめからDバックルが採用されています。
先日中古時計店を覗いたら、このバックルだけで60万円の値がついていました。
「そんなもん誰が買うねん!!」と言いそうになりましたが、このバックル。

ものすごく雰囲気のあるバックルなんです。
華やかでありながらも静謐な面持ち。
パテックフィリップだからこそ維持できるバランスなのでしょう。納得。

スーツやジャケットスタイルに合わせることが基本かなとは思いますが、デニムスタイルにも合わせてしまってます。
ワールドタイムならではの文字盤の賑やかさが、あらゆる服装を受け入れてくれるようなきがします。
よって夏でもつける予定です。

◆あとがき
あえて僕が語るべくもないことを書き連ねましたが、本当に良い時計だと思います。
その所以は価格やブランドの力だけでなく、圧倒的なバランスにあるものでしょう。

この文字盤にこのサイズ、機構、ギョーシェ、針のデザイン。
リューズガードまでもが調和して、ひとつのオブジェを創造しています。
曲線の美に見惚れていると、パテックフィリップの真髄に少しだけ触れられたような気になりますね

いいなと思ったら応援しよう!