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タマゴを草木染め 2023

毎年、2月頃になると、インスタグラムなどにはイースターエッグの作品が多く流れてきます。多くは海外のクラフト作家さんですし、私個人としてはその背景方面への造詣は深くないのですが、カラフルに彩色されたそれらを眺めていると、自分も草木染めで参戦したくなってしまうのです。

タマゴを植物染め

用意するもの

たまご(殻だけ、またはゆでたまご)

過去2回くらい記事にしたときにはゆでたまごを染めていました。
それだと最終的に食べないと申し訳ないし、食べる前提だとあまり過激なことはできないし(しませんが)、なので今シーズンは中身を抜いて殻だけにしたものを使いました
中身の抜き方は割愛しますが、上下(膨らんでいる方が下)に穴を空けて息を吹き込んで押し出す方法です。身は卵焼きにして美味しくいただきました。

染める植物の染液と容器

植物を煮出した染液を用意します。
液量は、マグカップなどにたまごを沈めて十分浸る程度で、濃いめに煮出します。
草木染めで使う素材ならなんでもOKですが、ゆでたまごを使う場合は食べられるハーブや野菜などに限定する方が安心ですね

ここで何色に染まるのかが気になるところですが、実は煮出し液や布を染める場合の色とは異なる発色になることも多いです。いわゆる媒染剤を使わないことと、たまごの殻は炭酸カルシウムが主成分で弱アルカリ性なので、pHで色が変わる色素はアルカリ性での発色となるためです。特に赤、青、紫のアントシアニン系の色素は変化してしまうのですが、それはそれで、狙って使えば素敵です。

特殊な染料植物ではなくてハーブや野菜を使った場合の変化の例
・染液の色が黄色(フラボノイドが多いもの→黄色の花や緑の葉物全般)
・・・薄いオレンジ〜黄色〜黄緑
・染液の色が赤、青、紫(アントシアニン系→赤青紫の花弁や野菜)
・・・青〜緑〜黒

模様づけ

葉っぱや型抜きした紙などで防染をすることで、白抜きの模様をつけることができます。

・ハーブ、野草などの葉 (肉厚で硬い木の葉などはくっつきにくいので不向き)
・トレーシングペーパー、ワックス紙など、水を通しにくい紙を切り抜いたもの

上記の葉っぱや紙を貼り付けるために、
・糊(水溶性のものを使いやすいように薄めて筆で塗ると楽)
・ストッキングまたはストッキングタイプの排水溝ネット、留めるための輪ゴム

そのまま使えるもの
・マスキングテープ
・蜜蝋やロウソク、色の薄いクレヨン(模様を描いたところが染まらずに残る)

手順

事前)たまごの殻または殻付きのゆでたまごを用意する
1)植物を煮出して染液を作り、冷ます
2)たまごの殻に模様をつける
 a)たまごの殻に葉っぱをのせ、糊で仮留めする、さらにストッキングで包み、葉っぱが浮かないようにする。※よく引っ張った状態で端を輪ゴムで留める
 b)マステを貼ったり、ロウソクで模様を描いたりする
3)たまごを染液に浸し、時々向きを変えたりして1日程度おく。
4)取り出したたまごを軽く水洗いして葉っぱや余分な染液を落とし、殻の中に入り込んだ水分も抜いてよく乾かす
5)(オプション)乾かした後、オリーブオイル等で磨く

たまごを草木染め

模様の葉っぱは、その辺で採取した、
オキザリス、よもぎ的な何か、謎の蔓の雑草、です。
葉の反りをみて内側に薄めた糊を塗って貼り付けたあと、ストッキングタイプの排水溝ネット(半分に切りました)を被せて輪ゴムで留めています。

ひとつ、葉っぱがついていないものは、クレヨンで落書きをしてあります。

写真右下、今回はたまごの殻だけを使ったのでそのまま染液に沈めることができず、染液ごとポリ袋に入れて空気を抜き、満遍なく液に浸るようにしています。
中身を抜く穴をなるべく小さくしたのが敗因で、もう少し大きくして中に簡単に染液が入り込むようにしておけば、割と簡単に沈んだのではと思います。

染液については下でできあがりの色と合わせて紹介します。

たまごを草木染め

1日漬けて取り出す予定でしたがちょっと時間が取れず、まる2日間弱、漬けてありました。途中、何回もひっくり返しています。

ネットを外して、水洗いして乾燥、サラダ油で磨きました(クレヨンの色を落としたかったというのもあります)

完成

使った植物(染液の色)と、できあがりの色
写真上から
・山桜の小枝(赤く煮出したもの)・・・オレンジ
・マーガレットの花殻(黄色)・・・ 黄緑(黄色の見込みが、想定外!)
・マーガレットと紫キャベツのブレンド・・・青緑
・紫キャベツ(赤紫)・・・ 水色(想定より薄い)
・ハイビスカス/ローゼル (赤)・・・ 青味の黒(真っ黒を目指していた)

たまごを草木染め

想定外だった部分としては、
マーガレットは鮮やかな黄色、紫キャベツは濃い青、その2つのブレンドはしっかり緑、を目指していたのですが、マーガレットは黄緑になり、紫キャベツは濃く染まらず、結果としてブレンドもふんわり緑に、というところです。

紫キャベツだけでなく、全体としてゆでたまごの時より染まりにくかったと思います。以前のゆでたまごの紫キャベツ染めは半日くらいでかなり濃い青になりました。
1日以上置いていたのには、それで様子を見ていたということもあります。実際、ローゼルは1日超えてから色がはっきりしてきました。
茹でる工程を経ることで殻の表面のクチクラ層が綺麗に剥がれたりということが関係しているのか?(クチクラはパック詰めの際に洗われ済みじゃないかとか、残ってたとしてもタンパク質なので寧ろ染まりやすいのではないかという気もしますが)
また、手前側のローゼルや紫キャベツは色ムラやブツブツが目立ちますが、奥のマーガレットや山桜は写真マジックではなく実際にスベスベで色むらもありません。特にローゼル は染液のpHが低かったはずで、長いこと浸していたこともあって殻の炭酸カルシウムが溶け始めているのかもしれません。

まあ、想像の通りにならなかった部分はありますが、黄緑なんて狙って作れなかったし、水色綺麗だし、ムラのある黒も味わい深いし、全部お気に入りです。

まとめ

実は普段たまごを購入しているところでは赤玉しか扱っておらず、染めるためにわざわざ白いたまごを手に入れるところが地味にハードル高かったです。
今だけで済めば良いのですが、買う気満々でスーパーマーケットに行っても欠品していたなんてこともありましたし。。。

上では浸すだけの染め方を紹介していますが、バンドルダイのように加熱して植物の形を移しとるというのにも少し挑戦しています。こちらは確実に色が出る素材と固定と加熱時間や方法のバランスが難しく、やり方としてご紹介できるほどにはまだまだです。チラ見せだけ写真を置いておきます。うまく行ってはいないものの、味はありますね。

たまごを草木染め

こちらはゆでたまご
青は紫キャベツ、黄色はカモミール、オレンジはルイボスティー です。

ゆでたまごを草木染め

また、以前のピンクのゆでたまご記事リンクも貼っておきます
簡単なので、ぜひ作ってみてくださいね。


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ゆりくま 〜せっけんと葉っぱと色と香り〜
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