見出し画像

人生を運転する人

役所広司主演映画の『PERFECT DAYS』を観る。トイレの清掃員として慎ましやかに暮らす男性の日々を描いた物語。2020年の『ノマドランド』が思い出される。『ノマドランド』では、キャンピングカーに乗って各地で季節労働をしながら暮らす女性が描かれる。

いずれの作品でも、老いて独身で慎ましく、けれど趣味も喜びも人との紐帯も持っていて、他人の反応がどうあれ、自分のスタイルを貫いて満足した生き方が示されている。

自分の人生に適切な速度や様式をわかっていて、それを自分で手入れをして、維持できることって、生きることの肯定感や幸せを感じる上で重要な項目だと思う。

どちらの作品でも、主人公が自分の車を所有して、使いこなし、運転している様子が何度も登場するのだけど、まさしくその様子が自分の人生に対しての姿勢そのものなのでは、と思う。

コミュニティに属さない孤独と、経済的な貧しさと、世間からの哀れみと、それらが傷を負わせてきても、自分にとっての幸せが守れる逞しさが羨ましい。

いいなと思ったら応援しよう!