17,離婚話をすると包丁を取り出す
振り返ると、別れ話をするとストライキを起こして自室に閉じこもったり、自殺予告の電話を警察にしたり、想像を超える周りを巻き込んで大事にする夫。しかし、黙って家を出たからと言ってそれで事が進むわけでもなく、何かちゃんと伝えなくては子供のこともあるし…と日常を過ごしながらも考えていた。毎日毎日仕事と家事と子供の保育園の送迎とフル回転で現実と向き合ってきた。土日になると、タイミングを見計らっては「少し話してもいい?」と夫に声をかけた。ある時は他人の視線のある方が良いと思い、そとに出かけないかと声かけて喫茶店などで話たりもした。少しは聞いてくれるものの、途中から話題をかえてはぐらかすのは常だった。ある日のこと、家で子供も寝静まった時間に少し話すタイミングがあって、もう別々に生きていきませんか?と話しを振った。子供はどうする?家や今の状態をどうするつもりなのか?話が深くなっていくと、リビングで座っていた夫は黙って立ち上がり、暗いキッチンへ向かった。何をするかと思ったら…包丁を持ち出し、それを片手に「もしも離婚するなら俺は死ぬ」と切腹のまねをし、警察へ電話した時の様に脅してきた。もう会話にならないし、二人では答えが出せないんだなと確信した。第三者を巻き込まないと前には絶対すすめられない相手なんだと。弁護士を立てるのか、親を交えて話すのか。事を進めたかった私は、数日後、親を交えて話す機会を作った。そして、親はすぐの離婚じゃなくてとりあえず約束をさせたらどうかと言い出し、「〇〇君(夫)が暴力をすることが問題だから、二度としないと約束してくれて、今ここで一筆書きなさい」と提案した。夫はどうしても離婚したくないからそうします・・・と署名した。私は親に言った「そんな紙切れ一つじゃ、どうにもならないよ。どうせまた感情のまま暴れるに決まってるんだから。」と意味がないことを言ったけど、親は医者である夫の肩書が好きだった。「一筆サインもらってるし、ちゃんと見張ってるから大丈夫だよ。」と。なんだかごまかされた気がした。もう弁護士しか頼れないのか…。