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母も私と同じ人間なんだ

帰ってきたと感じる瞬間。
母の料理を食べたとき。
何食べてもおいしいし、人が用意してくれたご飯を食べれるのは幸せなことだと思った。

大学から親元をはなれて、関東に出てきてからは年に1度しか帰らなくなった。
もともと家があまりすきになれなかったし、
帰るのに時間もお金もかかるから億劫になっていた。

1年ぶりに会った母の腰が折り曲がってることに衝撃を受けた。
父の介護、自営業の店の切り盛りで大変なのだろう。
私は母はいつまでも母だと思ってた。
ずっとかわらず、元気でやってくれてると思っていた。
やっぱり変わっていってしまうのだ。
そうだよね、私も年取ってんだし。
母親は魔法使いではない。同じ人間だ。
だったら母も私と同じように自分の人生を生きてほしい。
店がとか、父がとか色々あると思うけど、
自分は何を感じてるのか知ってほしい。
自分に気づいてほしい。

母にそんな話をした。
わかってはいるけどね、という。
私も家のことを考えないようにして自分のことで生きている。
だからそんな強くも言えない。
本人がそれでいいならいいんだけど、嫌ならどうにかするしかない。
でも、周りはなにもできない。
本人がやらない限り。

お金がないと人は動けなくなる。
私もお金の心配があったときは思考が停止した。
色んなことをしたいと一切思わなかった。
今は、生活できる安心があると、色んなことをしたいと思うようになった。
自分がやりたいことをやろう!と思うようになった。

母は父とよく話すようになった。
喧嘩も良くするようになったらしい。
父が病気になって、2人の時間も増えた。
人と話すことができるというのはすばらしいことだ。
自分の外に言葉を出せるのは、自分のことを認識できることでもある。
やっぱり人がいるっていいな。
あんなに嫌いな家だったけど、家族ていいなとやっと思えた。
父にも母にも私は似ている。
話すことをやってくれば自分の頭のなかだけで一人で突っ走らなくてすんでたかもしれない。でも、それがあったから、今強くそう思えるんだろう。

まわり道は多いけど、人生に無駄なことはない。
私にとっては必要な時間だったんだ。

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